ずっと続くこのめまいの原因は何?―めまいの種類と治療

2017/7/18

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

立っているだけなのに体が回っているような感覚がする、目が回ったみたいで気分が悪くなる...

こんなつらいめまいをどう対処すればいいのでしょうか。

めまいにはいくつかの原因が考えられますが、原因によっては深刻なものもあるので注意が必要です。この記事では、めまいの種類とその原因、そして治療法について解説していきます。

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めまいの種類と原因


めまいには末梢性と中枢性の2種類のタイプがあります。めまいそのものは病気ではなく、何らかの病気や健康上の問題から起こる「症状」の一つです。めまいを改善するためには、めまいを引き起こしている原因を知る必要があります。ここではめまいのタイプ別の原因について解説していきます。

末梢性めまい

末梢性めまいは非常に一般的なタイプのめまいです。体のバランスをコントロールしている内耳の問題が原因で起こることが多く、ほとんどの末梢性めまいは比較的すぐ治まっていく傾向にあります。

代表的な内耳の問題には、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、メニエール病があります。良性発作性頭位めまい症は、耳の中にある「耳石(じせき)」と呼ばれる結晶が、本来の位置を離れて他の場所に移動してしまうことで起きるめまいで、自分自身がぐるぐると回っているような感覚に襲われます。

前庭神経炎はウイルス感染が原因と考えられており、突然激しいめまいを感じます。それが2~3週間続くのが特徴です。

メニエール病はストレスやカフェイン、アルコール、塩分の多い食事の過剰摂取が原因で起こると考えられており、めまいと共に難聴の症状が表れることもあります。

他にも、内耳炎、外リンパ瘻、上半規管裂隙症候群が末梢性めまいの原因となることがあります。内耳炎は内耳のウイルス感染が原因となり、外リンパ瘻はスキューバーダイビングなどによる突然の気圧変化、頭部外傷が原因で引き起こされることがあり、上半規管裂隙症候群は内耳に体液を運ぶ管が損傷していることが原因で起こることがあります。

中枢性めまい

中枢性めまいは末梢性めまいと違い、突然始まり長期間続きます。症状も末梢性めまいより強く、支えてもらわないと立ったり歩いたりできない場合もあります。さらに、眼振という自分の意思とは関係なく眼球が動く症状が見られることもあります。

中枢性めまいの原因は以下のような、脳の病気や損傷が原因で発症します。

・頭部外傷
・多発性硬化症
・偏頭痛
・脳腫瘍
・脳卒中(脳梗塞、脳出血、特に脳幹や小脳領域でのものがめまいの原因として多いです)
・一過性脳虚血発作(脳梗塞の前触れとなる症状で、すぐに治まる場合が多い)

めまいの対処法・治療法


ここでは末梢性めまいと中枢性めまいの対処法、治療に関して解説していきます。

末梢性めまい

めまいの原因となっている病気、問題を治療することが対処法になります。

末梢性めまいのなかでも特に多いとされている良性発作性頭位めまい症は、頭を医師の指示のもと動かし耳石を元の位置に移動させることで治療します(この方法はエプリー法と呼ばれます)。

末梢性めまいが前庭神経炎、メニエール病または内耳炎が原因で発症している場合は、抗炎症薬による治療などが行われます。また、メニエール病が原因のめまいの治療には、ストレスコントロールとカフェイン・アルコール・塩分の量を減らすことも大切です。

外リンパ瘻や上半規管裂隙症候群などの疾患が原因の場合は、手術が行われることもあります。

末梢性めまいの原因となる病気、健康上の問題が慢性的なものであったり、発症して間もない場合には、治療は大がかりなものにはならないことも多く、生活習慣の改善や処方薬の服用を長期的に行うような治療がとられることもあります。

中枢性めまい

中枢性めまいは深刻な病気により起こっている場合もあるので、原因となっている病気がまず治療されます。

おわりに:めまいは深刻な病気によって起こっている場合もある

めまいは病気や健康上の問題の症状として現れ、末梢性と中枢性の2種類に分けられます。
中枢性めまいは深刻な病気から起こっていることもあるので、強いめまいがずっと続くようであれば医師の診察を受けましょう。また末梢性めまいも、内耳器官の損傷などが原因で起こることもあるので注意が必要です。「たかがめまい」と軽く考えず、長く続くめまいがある場合は早めに病院を受診しましょう。

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