記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
花粉が飛散する時期になると気分が落ち込む花粉症患者も少なくありませんが、実は花粉症を緩和できる食べ物や飲み物の研究が進んでいます。今回の記事では、花粉症の対策に有効と言われる具体的な食べ物や飲み物や、その他の対策をご紹介していきます。
近年、花粉症を緩和する効果がある食べ物に関する研究が進んでいます。即効性のある食べ物については研究段階ですが、継続的に摂取することで症状の緩和につながるとされる食べ物には、以下のものがあります。
アレルギー症状を緩和するには免疫機能を上げることが大切なのですが、この免疫機能の多くは実は腸に集中しています。つまり、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えることが花粉症の緩和につながるとも考えられるのです。
善玉菌を増やすのにおすすめの食べ物が、ビフィズス菌や乳酸菌入りのヨーグルトです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌には、花粉症の原因であるIgE抗体の活動を抑える作用があるとも言われています。
このほか、納豆やキムチ、ぬか漬け、麹などの発酵食品も、腸内環境を整える作用があるのでおすすめです。
先述の善玉菌は、食物繊維を餌にします。つまり、レンコンやニンジンやゴボウなどの食物繊維を多く含んだ根菜を食べると、善玉菌がよく増えるようになり、花粉症の症状が改善しやすくなります。
特に、レンコンはおすすめの根菜です。アレルギー症状の緩和だけでなく、喉の痛みを和らげる効果もあると考えられています。
ニンジンやほうれん草などの緑黄色野菜には、粘膜を補強するビタミンAが含有されています。摂取することで、鼻炎や目のかゆみなどの粘膜の症状の緩和につながります。
サバやアジ、イワシなどの青魚に含まれるDHAやEPAなどの脂肪酸は、免疫機能を整え、アレルギー症状を和らげる効果があると考えられています。
玄米に多く含まれるマグネシウムやナイアシンには、アレルギー症状の緩和効果があると言われています。
そもそも花粉症は、花粉が目や鼻に侵入した際、リンパ球が花粉を異物と認識することでIgE抗体という物質を作るところから始まります。このIgE抗体が目や鼻の粘膜にある肥満細胞と結合すると、再度花粉が侵入した際、花粉を追い出そうとヒスタミンを分泌することで鼻水や目のかゆみ、くしゃみなどを引き起こすようになるのです。
つまり、このヒスタミンの分泌を抑えることが花粉症の対策となるのですが、そこでおすすめの飲み物が「甜茶(てんちゃ)」です。
甜茶は中国にあるテンヨウケンコウシという植物の葉から作られるお茶で、ヒスタミンの分泌を抑制する作用があると言われています。ネット通販などで取り寄せる際は、テンヨウケンコウシ100%の甜茶を購入するようにしてください。
また、甜茶の他に緑茶も花粉症対策におすすめの飲み物です。緑茶に含まれるポリフェノールの一種・カテキンには粘膜を保護する作用があるとされ、鼻づまりなどの緩和につながると考えられています。
花粉は早朝に飛散し、空気が暖かくなってくると、私たちの頭より上くらいの高さまで舞い上がります。夜になって空気が冷えると、再び花粉は下に落ちます。そのため、朝と夜の早い時間帯に症状が出やすいのです。
とくに、暖かくて日差しの出ている日は顕著に症状があらわれます。以下に、花粉を防ぐための方法をご紹介します。
口腔アレルギー症候群の原因となる野菜や果物などの食べ物と、花粉症の原因となる花粉に含まれる成分は構造などが似通っているものが多いため、口腔アレルギー症候群は花粉症を罹患している人に発症しやすいことがわかっています。
花粉症の人は、メロンやスイカ、オレンジ、リンゴ、サクランボなどの果物やトマト、セロリなどの野菜で口腔アレルギー症候群を起こす可能性があります。口にするときはかゆみなどが起こらないか注意しながら食べるようにしましょう。
花粉症対策としては、花粉と接触する機会を最大限に少なくすることが有効ですが、通勤などで外出する機会の多い人にはなかなか難しいことです。花粉症を緩和する効果があると言われる食べ物や飲み物を日々の献立に取り入れるなど、花粉が飛散する前から日常的に対策を続けていきましょう。