記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
2017/7/26 記事改定日: 2019/6/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
現在、全国的に話題となっている重症熱性血小板減少症候群(Severe fever with thrombocytopenia syndrome; SFTS)。
最近のニュースでは、野良猫に噛まれたことでマダニが媒介するウイルス感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を発症した50代の女性が死亡したことが明らかになったとの報道がありました。
今回の記事では、このSFTS(重症熱性血小板減少症候群)について解説します。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは、2011年に新しい感染症として中国の研究班によって報告された病気です。
2013年1月、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の患者が国内で初めて確認されて以降、毎年60名前後の患者が報告されています。
主な感染経路はSFTSウイルスを保有するマダニにかまれることであり、他にも患者の血液・体液と直接接触したことによる感染も報告されています。SFTSウイルスに感染すると、6日〜2週間後に発症して下記のような症状が現れ、重症化すると死亡することもあります。
SFTSは血液などの体液から、ウイルスを検出することで診断できます。
ただ、感染初期のことは風邪や胃腸炎、インフルエンザなどと症状が似ているため鑑別が困難です。
あきらかにマダニにかまれたとわかっている場合や、マダニにかまれる可能性がある行動をとった場合は、必ず医師に伝えましょう。
SFTSはマダニを介してウイルス感染症ですが、抗ウイルス薬は開発されていません。このため、治療は諸症状に対する対症療法が主体となります。
具体的には、発熱に対する解熱剤、頭痛や関節痛などに対する消炎鎮痛剤などが使用され、血小板が極端に減少して出血しやすい状態になった場合には血小板輸血などが行われることもあります。
もし、マダニに噛まれた数日後に、発熱などの症状があった場合は、医療機関で診察を受けましょう。
マダニ類の多くは、人や動物に付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、数日から、長いものは10日間以上吸血します。なかにはマダニに咬まれたことに気がつかない場合もあるといわれています。
吸血中のマダニに気がついても、無理に引き抜こうとしないようにしてください。マダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりする恐れがあります。
必ず皮膚科などの医療機関での処置をしてもらいましょう。
マダニにかまれないようにするためには
マダニの活動が盛んな春から秋にかけては危険性がとくに高まります。十分に気をつけましょう。
報告数は少ないのですが、ネコにおいても、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)を発症したという報告があります。発症したネコの便や血液からウイルスが検出されたことから、発症したネコの便や血液を介して、ヒトに直接感染する可能性も示唆されています。
また更に稀にはなりますが、イヌでも感染した報告例があります。
SFTS感染リスクを軽減するために以下のことに気をつけましょう。
もし、ダニにかまれた数日後に体に不調を感じたら、早めに医療機関を受診してください。受診する際は、ダニにかまれたことについても医師に伝えましょう。
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