SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは ~ 症状や治療法を解説 ~

二宮 英樹 先生

記事監修医師 東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

現在、全国的に話題となっている重症熱性血小板減少症候群(Severe fever with thrombocytopenia syndrome; SFTS)。最近のニュースでは、野良猫に噛まれたことでマダニが媒介するウイルス感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を発症した50代の女性が死亡したことが明らかになったとの報道がありました。今回の記事では、このSFTS(重症熱性血小板減少症候群)について解説します。

もくじ

SFTSとは

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは、2011年に新しい感染症として中国の研究班によって報告された病気です。2013年1月、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の患者が国内で初めて確認されて以降、毎年60名前後の患者が報告されています。感染経路は、SFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることだと考えられています。その他にも、患者の血液・体液と直接接触したことによる感染も報告されています。

マダニに咬まれるといったきっかけでSFTSウイルスに感染すると、6日〜2週間後に発症して、発熱や吐き気・下痢などの消化器症状があらわれます。

重症化すると死亡する例も珍しくないことから、最近話題になっています。

 

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の症状

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)に感染すると主に、
・発熱
・消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)
といった症状が起きます。

その他にも下記のような症状があらわれることがあります。
・頭痛
・筋肉痛
・神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)
・リンパ節腫脹
・呼吸不全症状
・出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)
・全身倦怠感

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)が重症化すると、死亡することもあります

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の診断

血液などの体液から、ウイルスを検出することで診断できます。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)と同じような症状の病気はたくさんあります。特に最初は、かぜや胃腸炎、インフルエンザとの見分けも難しいです。

マダニに噛まれた数日後に発症したこと、血液検査でSFTS(重症熱性血小板減少症候群)に特徴的な所見があることをきっかけにこの病気を疑い、ウイルスを検出する検査を行うことになります。

 

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の治療法

現在のところ、抗ウイルス薬等の有効な治療法はありません。あらわれた症状をおさえる対症療法が主体になります。リバビリンという抗ウイルス薬が効くのではないかと期待されたこともありますが、今までの研究結果によると、治療効果は期待できません。また、ファビピラビルという抗ウイルス薬は動物実験で治療効果があることがわかっていますが、現時点ではヒトのSFTS患者に対しての治療効果は証明されていません。

もしマダニに噛まれてしまったら

もし、マダニに噛まれた数日後に、発熱などの症状があった場合は、医療機関で診察を受けて下さい。マダニ類の多くは、人や動物に付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、数日から、長いものは10日間以上吸血します。恐ろしいことに、マダニに咬まれたことに気がつかない場合もあるといわれています。

マダニとSFTS(重症熱性血小板減少症候群)について

マダニはSFTS(重症熱性血小板減少症候群)以外にも、日本紅斑熱、Q熱、ライム病など様々な病気を媒介することで知られています。

これまでに中国・日本・韓国でSFTS(重症熱性血小板減少症候群)の発生が報告されていて、中国ではマダニの中でも、フタトゲチマダニとオウシマダニから、SFTSウイルスが見つかっています。

マダニはネコ、イヌ、ネズミ、ウサギ、シカ、イノシシ、ヒトといった動物に付着して、吸血をします。マダニは春から秋にかけて活動が盛んになるため、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)も春から夏にかけて、日本では特に5月〜8月にかけての報告数が多いです。

マダニに気がついた時の対策

吸血中のマダニに気が付いた際は、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりする恐れがあるため、皮膚科などの医療機関での処置が必要です。

マダニから身を守る方法

マダニに咬まれないように気をつけることが重要です。特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては、咬まれる危険性が高まります。マダニに噛まれないための予防法を以下に示します。

・マダニに対する虫よけ剤として、ディート・イカリジンといった成分が有効なので、それらが含まれる市販の虫よけ剤を使う
・虫よけ剤でもマダニを完全に防げるわけではないので、下記のような対策を行う
・草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合、長袖・長ズボンを着用し、シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる
・首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくする
・上着や作業着は家の中に持ち込まないようにする
・屋外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認する(特に、首、耳、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏など)

猫や犬などから感染するのか

報告数は少ないのですが、ネコにおいても、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)を発症したという報告があります。発症したネコの便や血液からウイルスが検出されたことから、発症したネコの便や血液を介して、ヒトに直接感染する可能性も示唆されています。

また更に稀にはなりますが、イヌでも感染した報告例があります。

 

SFTS感染リスクを軽減するために

SFTS感染リスクを軽減するために以下のことに気をつけましょう。
・動物を飼育している場合、体液や嘔吐物、下痢に直接触れずに、適切に処理をする(次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が推奨されます)
・動物に触ったら必ず手を洗う
・動物のダニは適切に駆除する
・飼育している動物の健康状態の変化に注意し、体調不良の際には動物病院を受診する

おわりに:SFTSの疑いがあれば早めに医療機関を受診

もし、ダニに噛まれた数日後に体に不調を感じたら、早めに医療機関を受診してください。受診する際は、ダニに咬まれたことについても医師に伝えましょう。

【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html

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