帯状疱疹は薬で治せる?どんな副作用があるの?

2017/7/27 記事改定日: 2019/4/24
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

帯状疱疹の治療方法は、大まかに「抗ウイルス薬による治療」「補助療法」の2つがあります。
この記事では、帯状疱疹の治療薬について解説していきますので、基礎知識として覚えておきましょう。

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帯状疱疹の代表的な薬物療法とは?

帯状疱疹の主な治療方法は「アシクロビル®」「ファムシクロビル®」「バラシクロビル®」などの抗ウイルス薬による治療です。これらの抗ウイルス薬を投与することで、ウイルス排出期間が短くなる、新しい発疹ができにくくなる、皮膚病変が治りやすくなるなどの効果が得られます。

また、疼痛期間の短縮と重症度の低減効果が得られることも明らかになっています。

「ファムシクロビル®」と「バラシクロビル®」は「アシクロビル®」よりも効果が高く、1日の投与回数が少なくて済むため(成人の場合、アシクロビルは800mgを7日間1日5回、バラシクロビルは1000mgを7日間1日3回、ファムシクロビルは500mgを7日間1日3回それぞれ投与)、重症度によっては前者を投与することがあります。

薬剤の効果と副作用

一般的に抗ウイルス薬は投与が発症初期から近いほど効果が高く、合併症である帯状疱疹後神経痛の予防にもつながりやすいので、皮膚症状が現れてから3日以内(遅くとも5日以内)に投与を開始することが望ましいといわれています。

「アシクロビル®」「ファムシクロビル®」「バラシクロビル®」はいずれも副作用が少なく、安全性が高いといわれていますが、腎臓から排出されるので、腎機能不全の方に対しては慎重に投与する必要があります。

痛み止め、神経ブロック注射などを使った帯状疱疹の補助療法

帯状疱疹の重症度に応じて、抗ウイルス薬での治療と並行して下記のような補助療法が行われることがあります。

副腎皮質ステロイドの投与

副腎皮質ステロイドを抗ウイルス薬治療と合わせて投与すると、痛みや皮膚の腫れなどの低減効果が認められることが示唆されています(帯状疱疹後神経痛の予防効果があるものではありません)。
なお、50歳以上の患者や糖尿病患者へのコルチコステロイド投与に関しては、副作用の観点からメリットとデメリットを充分に考慮して判断する必要があります。

鎮痛薬(痛み止め)の投与

帯状疱疹による痛みを緩和するために鎮痛薬が投与されることがあります。
処方される鎮痛薬はアセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)であることが多いです。ただし、NSAIDsを高齢者に投与する場合は副作用を十分考慮する必要があります。

痛みのコントロールが困難な場合には、必要に応じてオピオイド系鎮痛薬が処方される場合もありますが、いずれの薬も重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、併用には注意が必要です。

神経ブロック注射

神経ブロック注射も帯状疱疹後神経痛の症状を軽減する効果があるとされています。特に激しい帯状疱疹後神経痛に対しては神経ブロック注射による治療が行われることがあります。

帯状疱疹の治療において注目される「リリカ®」とは?

帯状疱疹の痛みの緩和に効果的だと注目されている薬剤に「リリカ®」があります。
「リリカ®」は解熱鎮痛薬(NSAIDs)では効果を感じにくいような、原因不明の痛みや神経障害をともなう痛みに効果を発揮する薬です。服用してから効果が現れるまでの時間が早く、神経痛に対して高い効果を発揮する特徴がありますが、副作用が多いというデメリットがあります。

「リリカ®」の使用上の注意

腎機能障害のある方、重度のうっ血性心不全の方、血管浮腫の既往のある方は、症状悪化や副作用が発生しやすくなる可能性があるため、使用の際は注意が必要です。
また、高齢者は腎機能が低下していることが多く、〈視力低下、めまい、傾眠、意識消失〉などの副作用によって転倒して骨折を起こしたなどの事例があるため、処方するかしないか慎重に決定する必要があります。

副作用

「リリカ®」の主な副作用としては眼障害があげられますが、そのほかにも多くの症状があります。
下記のような症状に気づいたら直ちに薬剤の治療をやめて、医師の診察を受けてください。

  • ふらつき、意識がぼんやりして睡眠に近い状態、意識がなくなる
  • 呼吸困難、全身のむくみ、体動時の動悸
  • 筋肉痛、脱力感、尿が赤褐色になる
  • 尿量の減少、手足や顔のむくみ、けんたい感
  • 顔面・舌・口唇・のどなどの腫れ、じんましん、呼吸困難
  • 高熱、目の充血、赤い発疹
  • 食欲不振、吐き気、嘔吐、黄疸、皮膚のかゆみ

ヘルペスの市販薬を帯状疱疹に使ってもいいの?

抗ヘルペスウイルス薬を含んだ塗り薬は市販薬として販売されていますが、あくまで軽度なヘルペスの再発に使用するものです。

帯状疱疹の治療は基本的には抗ウイルス薬の内服や点滴投与が行われ、安易に市販の塗り薬を使用すると抗ウイルス薬に対する耐性を持つウイルスを出現させる危険があるとして注意喚起がなされています。
帯状疱疹を発症した場合は、再発であっても市販薬に頼ろうとせず、必ず病院を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

おわりに:帯状疱疹は薬で治療できる! 医師の指示に従って正しく使うことが大切。

帯状疱疹による痛みや皮膚症状は、抗ウイルス薬や鎮痛薬によって緩和させることができます。
医師の指示に従って正しく服用・使用するようにしましょう。
また、副作用と疑われるような症状がみられた場合はすぐに薬剤の使用をやめて医師の診察を受けるようにしてください。

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