便秘とは ~ 子供や高齢者の便秘を解説 ~

2017/7/27

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

多くの人は便秘の感覚を知っています。便秘になると、重く、むくんだ感じがして、常に調子が悪く、排便時には痛みと苦しみを感じるものです。しかし、便秘の経験がある人は多くても、その仕組みを知っている人は少ないのではないでしょうか。今回は便秘とは何か解説します。

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便秘とは

便秘とは、便が硬くなり、排出が難しくなったときのことを言います。自分の排便の頻度を気がかりに思っている人もいるかもしれませんが、毎日排便がなければ健康的な排便とはいえない、というのは誤りです。便が柔らかくスムーズに排出できるのであれば、それは便秘ではないでしょう。

食べた物から栄養素が吸収されると、残ったものは腸の蠕動運動によって大腸を移動していきます。その過程の中で水分が吸収され、あとは排泄されるだけとなった固形の便がつくられます。医師による便秘の定義とは、排便回数が1週間に3回より少ない場合です。この場合は、大腸内での便の動きが遅くなっていることが原因と考えられます。

便秘の原因

腸の筋収縮(蠕動運動)がうまく働いていない、もしくは、結腸において便から過剰に水分が吸収されてしまい、排泄が難しくなっていることが便秘の原因として考えられます。便秘は男性より女性、特に妊娠中と出産後の女性は便秘になりやすい傾向にあります。これは、プロゲステロン値が上昇したことで鉄分のサプリメントを服用するようになったことも原因になることがあります。

便秘の解消

医薬品、運動機能の喪失、便意を無視することなども便秘の一因になりますが、一般的な要因は食物繊維と水分の摂取不足です。長期的な解決策では、水をよりたくさん飲み、食物繊維を豊富に含むものを食べるのが効果的でしょう。水溶性の食物繊維(水分を吸収し、便をやわらかくする)と不溶性の食物繊維(かさを増やすため)の両方を多く含む食品には、野菜、果物、マメ科植物、全粒穀物などがあります。ですが、これらを十分に摂取することが難しい場合もあります。例えば、高齢者は味覚が鈍感になり、喉の渇きや空腹も感じづらくなっている場合があり、少量で満腹感を感じてしまうことから、食物繊維を十分に摂取するのが難しくなる傾向にあります。

子供の便秘

大人と同様に、子供の排便の頻度にも個人差があります。新生児は1日に数回、あるいは週に1回だけゆるい便を排出することがあります。乳児の排便はより頻繁で、毎回の授乳後に排便をする場合もあります。一般的に赤ちゃんの1日あたりの排便の回数は、成長するにつれて減り、量は多くなります。

子供の排便のタイプはさまざま

親として知っておきたいのは、子供の排便にはたくさんの「普通」のパターンがあるということです。ときに子供の便が赤くなったり、排便時に力むことがあるかもしれませんが、便が柔らかく、他に問題がないのであれば、心配する必要がないでしょう。ほとんどの子供が時折便秘になります。大抵の場合は、家庭で治療可能な短期的なものですが、頻繁に便秘になってしまう子供もいます。

高齢者の便秘

便秘の症状が最も多いのは高齢者で、65歳以上の男女の50%が便秘になっており、そのうちの74%は老人ホームに入っている高齢者です。これには、便秘が他の病状とも関連していることが理由の1つとして挙げられます。便秘に関連する病気には、過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome: IBS)、糖尿病、腎臓病、神経疾患、脳卒中、うつなどがあります。

おわりに:便秘を理解し解消しよう

便秘は便が硬くなることによって排便時に痛みや排便困難を感じます。その症状は、痙攣痛や直腸痛といった症状や、少量の鮮血が便に付着していることがあります。便秘の一般的な原因は、食物繊維の不足した食生活または水分の不足、あるいはそ両方が挙げられます。しかし、ほとんどのケースにおいて、家庭での治療と予防策の実践によって症状は軽減されるでしょう。

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