記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/28
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に無呼吸を繰り返す病気です。気道が狭くなったり閉じたりしたときに呼吸が中断され、血液中の酸素レベルが低下してさまざまな合併症を起こすことがあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状は、眠っている本人は気づきません。ほとんどの場合、その症状に気づくのは家族です。
次のような症状が起こることがあります。
・いびき
・呼吸を停止する睡眠中の症状の出現
・落ち着かない、または爽やかでない睡眠
・毎晩頻繁にトイレに行く
・朝の頭痛
・過度の昼間の眠気および過敏症
・集中力の低下
・性的欲望(リビドー)の喪失
SASは、30~65歳の太りすぎの男性に最も多くみられ、女性ではあまり一般的ではないようです。また、子どもでも口蓋扁桃肥大またはアデノイドがあると発症することがあります。
未治療のまま放置すると、高血圧、冠状動脈性心疾患、脳卒中、糖尿病のリスクが高まることがあります。
またSASをもつ運転手は、法的飲酒運転制限を超える血中アルコール濃度を有する運転手よりも交通事故を起こす可能性がはるかに高かったという報告もあります。
SASの疑いがあると、睡眠ポリグラフ検査(PSG)で睡眠中の呼吸状態を追跡検査します。センサーを装着して一晩寝ることで、血中酸素レベル、いびき、心拍数、呼吸運動などを測定します。
SASの治療法には、持続陽圧呼吸療法(Continuous positive airway pressure:CPAP)が一般的です。鼻と口の上にマスクを着け、呼吸する空気の圧力を機械で上昇させ、調節します。これは、睡眠中に気道がつぶれるのを防ぎます。
ほかには、マウスピースを使用して下あごを前方に移動させる治療法もあります。子どものSASでは、アデノイド・口蓋扁桃摘出術が有効です。
・肥満者は減量しましょう(無呼吸の程度が軽減します)
・食生活や運動など生活習慣の改善を心がけましょう(アルコールは睡眠の質を悪化させます)
(参考:日本呼吸器学会 http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=42)
睡眠中の呼吸困難は、脳を目覚めさせ睡眠を妨げる原因となります。SASと診断されたらそれはよいことです。早めに治療し、無呼吸を制御することで睡眠の質が向上し、注意散漫にならないというよい改善結果が得られます。また、いびきも抑えてくれるので家族もよりよく眠ることができます。となりで寝ている愛する人の呼吸、確認してみませんか?