腰痛の原因とは ~ 日常生活の腰に良くない行動 ~

2017/8/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

私達が日常生活において行っていることが、知らず知らずのうちに腰痛の原因となっているかもしれません。今回は腰痛の原因と予防法について解説しますので、腰痛改善のヒントにしてください。

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腰痛の原因

以下に腰痛の原因を解説します。

パソコンやスマホの見すぎ

多い人では、9時間以上もパソコンの前で猫背になって過ごします。同じくらい長い時間をタブレットやスマートフォンに覆いかぶさるようにして過ごす人もいます。これは、背筋の筋力を失う原因となり、使われない関節が滑らかに動きにくくなり老化しやすくなると考えられています。

うつ伏せで寝ている

頻繁な寝返りによって関節や筋肉が悲鳴を上げている状態ではないでしょうか。背筋が伸びた負担のかからない状態を保てるように、仰向け、もしくは横を向いて寝ることを専門家は推奨しています。マットレスを選ぶときは、中程度の硬さのものを選ぶようにしましょう。硬すぎず、柔らかすぎない、自分に合ったちょうど良いベッドで眠りましょう。

腰に良くない靴を履く

靴が原因で腰痛になる場合も少なくありません。

ヒールの高い靴

女性にとって、スチレットヒールはおしゃれかもしれません。しかし、スチレットヒールを履くと腰に大きな負担をかけます。靴を状況に応じて履き替えることをおすすめします。バス停まで歩くときは衝撃を吸収してくれるスニーカーを履き、オフィスについてからおしゃれな靴に履き替えるなど工夫をしましょう。

ビーチサンダル

男性はヒールのある靴を履くことはあまり無いかとは思いますが、ビーチサンダルも同様に腰に負担をかけるので注意が必要です。ビーチサンダルを含むサンダルは、土踏まずのアーチに沿っていないものが多く、足裏への支えがありません。支えの無いサンダルを履いて歩くことは、腰、膝、足に負担をかけ、腰の問題が生じるリスクも高くなります。

喫煙

喫煙は心臓と肺だけでなく、腰にも悪影響を及ぼす可能性があることが示唆されています。ある研究では、ニコチンは椎骨と椎間板への血流を阻害して老化・劣化を促進させる作用があることがわかっています。また、喫煙は身体のカルシウムの吸収と使用にも関わっていると考えられることから、骨粗しょう症のような骨の病気から起こる腰痛の原因になることがあるといわれています。

間違った腰の曲げ方

腰の間違った曲げ方と間違った物の持ち上げ方は、腰部の怪我を引き起こします。こんなに単純で、よく耳にする話なのに、正しい方法はあまり知られていません。この不安を取り除くためにできることをいくつか紹介します。
・膝を曲げ、腰は伸ばしたままにし、腰の辺りで曲げないようにする
・身体から離れるほど腰への負担は大きくなるため、持ち上げる物を身体の近くに保つ
・脇より高い位置や膝より低い位置で物を持たない
・自分の体重の20%よりも重いものを動かそうとしない
・物を持ち上げている間は、身体の向きを変えたり、ひねったりせず、足先が持ち上げているものを向いていることを確認し、正面で持ち上げる

ストレス

ストレスを感じると、腰部を過度に緊張させてしまい腰痛が大幅に悪化・長期化してしまうことがあります。

腰痛の予防と治療

腰痛の治療法を紹介します。

日常でできる腰痛の予防法

・腹筋を鍛えて背筋を伸ばした姿勢を保ち、脊椎にかかる負担を減らしましょう。
・背筋の強化だけでなく、ストレス解消のためにも運動をしましょう 。
・バッグの重さは常に数kgにとどめておき、左右両方の肩で持つよう頻繁にかける肩を変えましょう。もし、重い荷物を持たなければいけない場合は、もう片方の肩で別のかばんを持ち、バランスを保ちましょう。
・車を運転するときは1時間半ごとに休憩をとり、ストレッチしましょう。
・1日中デスクワークをする場合は、立ち上がって動きましょう。20分から30分ごとにストレッチを行いましょう。人によっては、腰に手を当て後ろに反るストレッチが効果的な場合もあります。
・重いものを持ち上げるときは膝を曲げ、背中は真っ直ぐに保ちましょう。

簡単な腰痛の治療法

・医薬品を試してみましょう。ショウノウやメントールが配合された塗り薬を使用することによって、暑さに反応する感覚受容器を鈍らせ、寒さに反応するものを活性化し、感じる痛みを減らすことができます。
・理学療法は背筋が鍛えられ、柔軟性を高められるため、腰が再び健康的に動くようになる手助けになります。
・硬膜外注射は、強力な抗炎症薬(ステロイド)を直接脊椎に注射して、痛みなどの症状を抑える治療です。
・鍼治療(小さな鍼をつぼがある部分に刺す治療法)は、腰痛の緩和に効果的なケースもあります。
・マッサージで緊張をほぐし、血流を促し、酸素を患部に運搬させることで、損傷部位の回復が促進され腰痛が和らぐ場合があります。また、タイ式マッサージのように、マッサージとストレッチを同時に行う施術もあるので、医師に相談したうえで試してみてもいいでしょう。

おわりに:腰痛の原因となる行動を抑えよう

多くの人は腰痛を経験するといわれています。50歳になる頃には、10人中9人が腰痛を経験するとされ、腰痛は45歳以下の人々の身体障害の主因という調査結果あります。医師は、腰痛解消のために鍼治療から手術まで様々な治療法を提案してくれるでしょう。

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