記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
突然耳が聞こえにくくなる、「突発性難聴」という病気をご存知ですか?加齢によって聴力が低下する一般的な難聴とは異なり、若い人でも発症する可能性のあるタイプの難聴です。以下で突発性難聴の症状や原因、予防法などについて解説していきます。
難聴とは、加齢や大きな騒音などによって聴力が低下する症状のことです。一般的な難聴のサインには次のようなものがあります。
・他の人の話がはっきり聞き取れず、間違えて聞こえてしまう
・話が聞き取れず、もう一度繰り返してほしいと頼むことが多い
・音楽やテレビを大音量で聞く
・音の発生源がわからない
突発性難聴とは文字通り突然聴力が失われるタイプの難聴で、「朝起きたら耳が聞こえなくなっていた」というような疾患です。一般的には72時間程度の間に聴力が失われていきます。働き盛りの中年層に見られることが多いですが、20~30代の若年層が発症するケースも少なくありません。
突発性難聴を発症すると、多くの場合両耳とも難聴になりますが、片耳のみ難聴となる人もいます。この場合、突発性難聴にならなかったほうの耳から音を聞くことはできますが、音は小さく感じるようになり、普通の音量の会話もささやき声に聞こえます。
また、難聴自体の程度は軽くても、耳鳴りや耳閉塞感、めまいといった何らかの耳症状が現れるのも突発性難聴の特徴のひとつです。こうした軽度の突発性難聴は見逃されやすいので注意が必要です。
突発性難聴は持病のない健康的な人が突然発症することが多く、原因は明らかになっていません。現段階で考えられる原因としては次のものが挙げられます。
・蝸牛循環障害
・ウイルス性内耳炎
・特定の病気
自己免疫疾患や脳卒中、髄膜炎のような深刻な病気によって難聴が引き起こされるケースもあります。ただし、こうした病気が難聴の原因の場合は他の身体症状も現れます。
・耳垢の詰まり
・頭部の外傷
・突然の大きな騒音
・特定の薬による副作用
突発性難聴の主な検査方法としては、以下のものが挙げられます。
・聴力検査
・耳の中の検査
視診により耳垢が溜まっている、外耳道や鼓膜の裏に水が溜まっているといった問題を見つけていきます。
・平衡機能検査
・MRI
・血液検査
突発性難聴の原因と考えられるウイルス感染を防ぐことが、突発性難聴の発症予防につながると考えられますが、そのためには免疫力を維持することが重要です。
「難聴=高齢者が発症する」というイメージがあるかもしれませんが、突発性難聴は若い人でも突然発症する可能性がある疾患です。突発性難聴は早期発見&早期治療をすることが非常に大切なので、「片耳だけ聞こえにくい」「いきなり耳が遠くなった」といった突発的な聴力低下が現れたらすぐに病院を受診してください。
【出典: 難病情報センターホームページ(2017年8月現在)から編集して作成 http://www.nanbyou.or.jp/kenkyuhan_pdf2014/gaiyo036.pdf】