記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
外耳道の奥に痛みやかゆみを感じるのが外耳炎ですが、ひどくなければ、自然に治ることも多い病気です。ただ、日常生活に影響するほどの痛みを感じることもあるため、このコラムで外耳炎の知識を身につけ、しっかり対策しておきましょう。
外耳炎は、外耳道の炎症、もしくは感染症のことを言い、皮膚が炎症し、激しく痛む慢性型の疾患です。
重要な原因は、水との過剰な接触、イヤホンなどの物体を耳道に深くまたは頻繁に差しすぎることなどが挙げられます。
頻繁に泳ぐ子供たちに起こりやすいため、通称「水泳者の耳」とも呼ばれています。
・外耳炎は、水泳や日課のシャワーを浴びるなど、耳が過剰に水にさらされることでよく起こります。
水が外耳道に溜まると(耳あかが封じ込めてしまう場合もあります)、耳道内を裏張りしている皮膚が柔らかくふやけ、バクテリアの培地になります。この湿り気により、外耳道の内側の皮膚が剥がれ落ち、かゆくなります。
また、イヤホンなどの物体で外耳道の内側のかゆい箇所を引っかくと、バクテリアや真菌による皮膚の侵食が促され、炎症が起こります。
・ひどい外耳炎は主にレンサ球菌、ブドウ球菌、緑膿菌系のバクテリアによるバクテリア性感染症です。
・慢性的な外耳炎はバクテリア性の感染症で起きますが、外耳道の慢性的な皮膚炎によってより起きやすくなるといわれています。さらに湿疹、乾癬、脂漏性湿疹などの慢性的な皮膚病を患っている人は、外耳感染症に感染しやすいです。
・すでに炎症や肌の傷がある状態で、汚染された水の中で泳ぐことも外耳炎の原因となります。湿った、炎症のある外耳道は、水中のバクテリアは理想的な環境といえるでしょう。
・耳垢をとりすぎてしまったり、激しく引っ掻くように掃除してしまうと、感染症を起こす場合があります。耳垢は耳道を湿度が過度にならないようにする働きを持ち、常在菌が住みやすい環境を整えてくれます。
・泡風呂やシャンプー、ヘアスプレー、染髪料の使用は外耳道を傷つけ、外耳感染症につながる可能性があります。
・耳を掃除したり掻いたりしようとしたとき、異物が耳に入ったまま放置されてしまうと炎症を起こすことがあります。また、補聴器やイヤホンなどの異物を入れっぱなしにすることも、慢性的な炎症の原因になります。
・熱く湿った気候は外耳感染症の発達を促進します。
・虫が耳の中に閉じ込められてしまうことで、外耳炎になることがあります。
・中耳疾患による慢性的な排液も外耳に感染症を作ります。
・糖尿病は外耳炎の特定の深刻な状態とよく結び付けられます。
・タバコの煙や高度に汚染された空気に接触した子供たちは、耳の感染症になるリスクが高いです。
・耳の感染症は秋と冬になりやすいといわれています。これはおそらく、家庭で暖房が使われ湿気が下がるからでしょう。乾燥した空気は皮膚や粘膜を乾燥させるので、ウイルスが体内に侵入しやすくなってしまいます。
自然に治ることが多いため、軽く考えがちな外耳炎ですが、頻繁になる場合は、糖尿病などで起こりやすくなっている可能性も考えられるので、早めに病院を受診するようにしましょう。
また、予防も大切です。手荒な耳掃除で外耳炎になってしまうこともありますから、耳はやさしく扱うようにしてください。