糖尿病治療の血糖自己測定(SMBG)のやり方や目安となる数値は?

2017/8/10 記事改定日: 2018/3/7
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

高血糖状態を放置し続けるとさまざまな合併症が起こる危険性があるため、糖尿病の治療には毎日の血糖コントロールが欠かせません。そのため、医療機関でだけではなく自宅でも血糖値の動きを自分で把握する必要があります。
この記事で血糖自己測定(SMBG)の必要性とやり方を見ていきましょう。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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血糖自己測定(SMBG)とは?

血糖自己測定(SMBG)は文字通り自分で血糖値を測ることです。
血糖を適正にコントロールするためには血糖の動きを観察し、コントロールがきちんとできているかどうかをできるだけ細かくチェックする必要があります。そこで、医療機関でしかできなかった血糖測定を日常の生活でもそのチェックをできるようにしたのが血糖自己測定です。
血糖自己測定(SMBG)よって自分の血糖が把握しやすくなるので、低血糖やケトアシドーシスなど糖尿病の急性の合併症の回避や、網膜症や腎症などの合併症の発症を防ぐことに役立ちます。

血糖自己測定(SMBG)はすべての糖尿病患者に有効ですが、特に外からのインスリン補給(インスリン療法)が必要な場合には1型・2型かかわらず血糖コントロールが必要です。

血糖自己測定(SMBG)のやり方について

血糖測定を行うポイントはふたつあります。
ひとつはコントロールの状態をチェックするために、24時間の血糖の動きを知る必要があること。
もうひとつは、食事や運動、ストレスからの影響を中心にチェックすることです(血糖は食事や運動、ストレスなどによって大きく変動するため)。
血糖測定をすべき時間は人によって異なるので、いつ・どのくらいの頻度で血糖値を測ればいいのかを医師に確認しましょう。

コントロール数値の目安

コントロールの目標値には個人差がありますが、ここでは一般的なコントロール数値の目安を紹介します。

HbA1c値:6.0~7.0%未満

HbA1c値(ヘモグロビン・エーワンシー値)は、赤血球中のヘモグロビンのうちどれくらいの割合が糖と結合しているかを示す検査値です。
血糖値の正常化が目的の場合は6.0%未満に、合併症を予防する目的の場合は7.0%に抑えることを目標にしましょう。

血糖値

HbA1c値(ヘモグロビン・エーワンシー値)を7.0%未満に抑えるには、「空腹時血糖値を130mg/dl」「食後2時間血糖値を180mg/dl」に抑える必要があります。

どんな測定器具があるの?

従来は専用の針で指先などから微量の血を出してそれをチップにしみこませ、測定器に差し込むという自己血糖測定器が主流でしたが、採血の痛みが辛い、人前では測定しにくい、子供や高齢者が扱いにくいなどの問題点がありました。
しかし、現在はそれらの問題を解消した新しい血糖測定機器の使用が開始されています。
以下に、最新の血糖測定機器を2つ紹介します。

〈1〉CGM(持続血糖測定)

血糖値を測定できる小さなセンサーをお腹に貼り付け、1週間の血糖値を5分に1回自動的に記録し続けます(※センサーは入浴中にも貼り付けたままで大丈夫です)。はずした後にパソコンに接続すると、血糖値の1週間分の変化をグラフで見ることができます。
5分に一度という細かい測定によって、これまで見落としていた可能性のある低血糖や、意外な時間に高血糖になっていることなどがわかるようになったため、治療薬やインスリン量をより適切に変更することができます。

ただし、CGMは皮膚の組織間液の電気抵抗を測定した数値を血糖値に換算して表示しるため本来の血糖値と若干のズレが生じる可能性があります。
そこで、補正のために従来の針を刺して血液をとる形式の測定がときどき必要になります。

〈2〉FGM(機械をかざすだけで血糖値を測れる装置)

腕に貼り付けたパッチに機械をかざすだけ(接触する必要はありません)で、血液を採らなくても血糖値を測定することができる装置です。15分おきに血糖値が記憶され、2週間分の動きを測定することができます。
指に針を刺す必要がないため痛みがまったくなく、服の上からでも何度でも血糖値を測れるところ最大のがメリットです。
センサーの寿命は2週間で、貼り付けたまま入浴や水泳をすることもできます。

FGMに表示されるのは現在の血糖値(数値)と過去数時間の血糖値の変化(グラフ)です。
たとえば血糖値が「70mg/dl」と表示されても、現在下がっている途中なのか上がっている途中なのかがわかります。これによって補給すべき食べ物やその量がわかるので、無駄な食べ過ぎや間食や高血糖や低血糖になるリスクを減らすことができます。
お菓子をどれくらい食べるとどの程度血糖値が上がるのか、食べる順番で血糖値の上がるスピードが変わるのかどうか、新しく飲み始めた薬がどのように効いているのかなどを自分で簡単に確かめることができます。

血糖測定をより正確行うコツは?

試験紙の保管期限や保管状態が守られていない、採血前に手を洗っていない、使用時に手が濡れている、測定に必要な量の血液を採血できていない、極端に寒い(または暑い)場所で使用している・・・など、正しくない測定器の扱い方をしていませんか?
正確な測定をしたければ決められている測定方法を守り、測定器具を清潔に保つことが大切です。

おわりに:糖尿病治療には血糖自己測定(SMBG)が不可欠!

糖尿病治療には血糖自己測定(SMBG)が必要なこと、そして測定法や器具について紹介してきましたがいかがでしたか?
血糖自己測定(SMBG)が必要な方は、ご自身の血糖コントロールの参考にしてください(※ただし目標の血糖値や最適な血糖測定方法には個人差があるので、自分に合う方法を必ず医師に確認してください)。

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