突発性難聴で耳鳴りに。治療すれば症状はよくなる?

2017/8/10

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

片側の耳が急に聴こえなくなる突発性難聴。発症すると、めまいや耳鳴り、吐き気などの症状も同時に起きてしまいます。ここでは、とくに耳鳴りを併発した場合の症状や対処について解説します。

突発性難聴の初期症状にはどんなものがある?


人により初期症状は違いますが、ふだんとは違う聴こえ方になったとはっきりわかるレベルで出るようです。

たとえば、片側の耳に何かが詰まっているような感じであったり、水中に潜っているような聴こえ方になります。
片側の耳は聴こえているため会話はできますが、全体としてのボリュームは小さくなり、相手がささやいているかのような声に聴こえます。

また、周りの音が片耳だけやけに反響して聞こえる、雑音がする、といった症状や、軽いめまいを感じる場合もあります。

他には、電話で話をしようとしたときに初めて難聴になっていることに気が付く人や、聴力が低下する前に、「ポン」という大きな音が聞こえたという人もいます。

治療をすれば耳鳴りは治る?


突発性難聴は、早く治療をすれば完治の可能性が高い病気です。発症前後の随伴症状として耳鳴りやめまい、吐き気を伴うことがありますが、こうした症状も突発性難聴の治療が進むにつれ消えていくでしょう。ただし、多少の耳鳴りやふらつきが、後遺症として残る可能性はあります。

その場合、常に頭の中で「キーン」「ピー」という音が鳴っているため、今後、生きていく中でのQOL(Quality of Life/人生の質・生活の質)に少なからず影響が出るかもしれません。
このような後遺症を残さないためにも、突発性難聴の治療はとにかく早く、できれば1週間以内に開始することが大変重要です。

発症からしばらく経っても耳鳴りが治まらない! どうすればよい?


まずは突発性難聴の治療を開始することで、その副症状としての耳鳴りが治まるようにします。すぐに耳鼻科で診断を受けましょう。
しかし、突発性難聴の治療を開始しているにも関わらず、生活に支障をきたすような強いレベルで耳鳴りが続く場合は、他の病気を疑ったほうがよいかもしれません。

たとえば厚生労働省が特定疾患に指定しているメニエール病は、発症したときの症状が突発性難聴に似ていることで知られています。突発性難聴は再発しませんから、耳鳴りやめまい、難聴が数日から数ヵ月の間隔で繰り返すようなら、メニエール病の可能性があります。

他にも、耳鳴りやめまいの他、吐き気や頭痛などを引き起こす外リンパ瘻、内耳・中耳の三半規管の異常が原因となる高音性耳鳴り、さらには脳の病気や全身の病気も含め、あらゆる可能性があります。

耳鳴りを抑えるのに補聴器は有効?


最近、補聴器で耳鳴りを抑えるやり方が、広く使われるようになってきました。脳が過剰に(耳からくる)音の電気信号を拾おうとしてしまうことから起こっていた耳鳴りに関しては、補聴器が音を聴く作業をやってくれるため脳が音を拾う感度を下げられるため、耳鳴りの改善効果が期待できます。
また、周囲からの音がよく聴こえるようになることで、脳の意識が耳鳴りで鳴っている音よりもそちらに向かうという理由もあるようです。

おわりに:耳鳴りは突発性難聴の症状のひとつ。違和感に気づいたらすぐ病院へ行こう

突発性難聴は、文字どおり突発的に片側の耳が聴こえにくくなります。そして、治療を遅らせることで完治が困難となり、結果として聴力を失ってしまうこともあるのです。副症状として起こる耳鳴りも、受診が遅れることで後遺症として残る可能性が高まります。違和感に気づいたら、すぐに病院に行きましょう。

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