記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/10 記事改定日: 2018/10/23
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
便秘になると、お腹の張りやおなら、腹痛などの不快な症状が出ることがありますが、吐き気や下痢が起こることもご存知でしょうか?
この記事では、便秘が引き起こす可能性のある諸症状や、対処法についてご紹介していきます。
便秘になると腸内で出し切れていない排泄物の腐敗などが進行して有害物質が生成され、ガスが発生して腸が膨張してしまいます。ガスによって肥大した腸が周辺の臓器を圧迫するため、お腹が痛くなることがあります。
また、腸内環境の悪化によって生成される悪玉菌の存在も原因のひとつです。悪玉菌は便秘を引き起こす要因でもあり、ガスを発生させて腸の活動を鈍らせます。加えて、腸内環境の乱れやストレスで腸の働きが弱くなっていることも、ガスの排出がうまくいかない原因のひとつです。
子供の腹痛の原因として、便秘は非常に多いといわれています。この腹痛は腸の中の便やガス溜まりが原因で起こるもので、下腹部がパンパンに張っていることが多く、下腹部を触られると痛がる傾向があります。
便秘による腹痛は、腸のたるみが多い場所でよく起こります。とくに、S字結腸という左の下腹部で起こることが多いといわれています。
腸内に便が溜まって腸の機能が低下すると、消化液が消化管に溜まることで吐き気を引き起こすことがあります。また、他にも以下のような症状が出ることがあります。
便秘と腹痛、下痢を繰り返している場合、過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。過敏性腸症候群とは、検査では異常は見られないのに、下痢や便秘が慢性化してしまう病気で、30代以下の若い人に多くみられます。主な原因はストレスと考えられています。
過敏性腸症候群には「下痢型」「便秘型」「混合型」があり、それぞれ以下の特徴があります。
以上のような症状、便の特徴があるときは注意しましょう。
便秘による腹痛を緩和するには、原因であるガスを出すことと、悪玉菌を減らして腸内環境を改善することが効果的です。それぞれに有効な方法をご紹介します。
仰向けに寝転んで膝を立て、腸の動きを感じながら両手で時計回りにお腹をなでるようにマッサージしましょう。これによって腸が温まり、腸の動きが活発になります。
マッサージは一度だけでなく、何度か繰り返し行うことで徐々に腸が活発になってガスが排出されやすくなります。症状が改善するまでは、時間を見つけて継続するようにしましょう。なお、このマッサージは子供の便秘による腹痛にも有効です。
根本的な便秘対策は腸内環境の改善です。腸内の悪玉菌を減らすと、そもそも便秘になるリスクが下がります。悪玉菌を減らすには善玉菌(ビフィズス菌など)を含むヨーグルトなどの食べ物を摂ることや、運動で腸を適度に刺激するのが効果的です。
人の腸内のビフィズス菌は年齢とともに低下していくため、食べ物やサプリメントなどを利用して体外から補いましょう。
食物繊維は整腸作用があり、水分を吸収してスポンジのような働きをして排便をスムーズにしてくれます。食物繊維が不足すると水分を保てずに便が硬くなってしまい、便の詰まりや便秘が起こりやすくなるのです。
ただし、不溶性食物繊維は便秘を悪化させてしまうことがありますので、ゴボウなどを食べて腹痛や便秘が改善しないよなら、海藻などの水溶性食物繊維を食べるようにしましょう。
人体の中でも消化器官は特にストレスに弱いです。そのため、ストレスが腸の働きに影響されて便秘を引き起こしていることがあります。ストレスを発散することやストレス因子から距離を置くことも、腸内環境を改善する助けとなります。
便秘で腹痛が生じる場合、便秘による腹部膨満感などが原因となって腹痛が生じている場合もありますが、大腸がんや腸閉塞などの病気が原因となって便秘が生じている可能性も考えられます。
便秘・発熱とともに以下のような症状がある場合は病院を受診するようにしましょう。
また、病院ではレントゲンやCTなどの画像検査、血液検査などが行われ、腸に器質的な病変がないか検査が行われます。その結果、腸の病気が発見された場合はその病気に対する治療が行われ、腸に病気がない場合は摘便や高圧浣腸などが行われます。
便秘は腹痛だけでなく吐き気などの他の症状の原因ともなります。生活習慣を見直し、便秘にならないようにしていきましょう。また、下痢や便秘、腹痛を繰り返す場合は過敏性腸症候群などの病気の可能性もあるので、専門外来で治療を進めることも大切です。
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