記事監修医師
工藤内科 副院長 工藤孝文先生のスマホ診療できるダイエット外来
工藤 孝文 先生
食物繊維は便秘解消やダイエットの心強い味方といわれますが、摂り過ぎると逆に便秘になったり、太ったりしてしまうというのは本当なのでしょうか?以降で解説していきます
便秘の予防や解消に効くとされている「食物繊維」ですが、便秘になった人が食物繊維をとり過ぎると便秘が悪化してしまう場合があります。
食物繊維には、大きく「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。水溶性食物繊維は、水に溶ける性質があり便に水分を与えて柔らかくし排出されやすくします。一方、「不溶性食物繊維」は水に溶けず、水分を含んで膨らみ量(かさ)を増やすことで腸壁を刺激し、腸が波打つように収縮する「ぜん動運動」を活発にすることで便を留まらせないようにします。
しかしこの不溶性食物繊維を多くとり過ぎてしまうと、特に便秘の人の場合ぜん動運動の機能が低下しているため、便のかさだけ増えてもスムーズに進まずそのまま腸に水分を吸収され固まってしまいます。その結果、さらにひどい便秘を引き起こすことがあります。食物繊維はたっぷりの水分と一緒にとることが大切です。
便秘解消や血糖値の上昇を抑制する食物繊維は、食べ過ぎても排出されるのでダイエット中でも安心して取り入れられると思われがちです。
しかし、食物繊維を多く含む食材は、少量で済ませると腹持ちが悪くすぐにお腹が空いてしまうので、次の食事や間食の量が増えてしまいがちです。また、濃い味付けのものが多いものを食べ過ぎてしまったり、調味料をかけ過ぎてしまうなどして、摂取カロリーが増えてしまう場合もあります。その結果太ったり、食物繊維のとり過ぎからしっかり便を排出できない状態になって体重は重いままということもあります。これがストレスとなって状況をさらに悪化させてしまう可能性もあります。
食物繊維を多く含む食材は水溶性と不溶性の両方を併せ持っていますが、水溶性食物繊維を特に多く含む食材としては、大麦、ひじき、海藻類、寒天、こんにゃくなど、不溶性食物繊維を特に多く含む食材としては、きのこ類、豆類、ゴボウ、切干大根、パイナップルなどがあります。バナナやアボカド、納豆などは両方を多く含みます。それぞれ働きが違うので、多種類の食品からとるように心がけましょう。
また、基本的に洋風より和風料理の方が食物繊維が多く含まれている傾向にあります。根菜類や乾物、イモや豆の煮物やきんぴらなどには食物繊維が豊富です。洋食派の人は、ご飯を玄米や雑穀にしたりパンを全粒粉やライ麦粉を使ったものにしたり、野菜類などは加熱してかさを減らしたくさんとれるようにすると良いでしょう。果物も毎日の献立に組み入れ1日3食きちんと食べれば、いろいろな種類の食物繊維をたくさんとることができるでしょう。
食物繊維には、水分で便を柔らかくする水溶性食物繊維と、水分を含んで便のかさを増す不溶性食物繊維があり、腸の動きが鈍くなっている人が不溶性をとり過ぎると便が留まって固まり、便秘が悪化する可能性があります。また、食物繊維だけとっても間食や調味料の使い過ぎなどで逆に太ることがあるので、多種類の食材からバランスよく食事内容を整えることが推奨されます。
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