痛風の症状の特徴 ― 痛みは足の指だけじゃなく足首にも出る!?

2017/8/15 記事改定日: 2018/3/20
記事改定回数:3回

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

「風が吹いても痛い」と言われるほどの激痛が突然襲ってくる「痛風」。親指の付け根付近に症状が現れることが多く、、他にも足首や足の甲にも現れることもあります。
この記事では、痛風の症状の特徴と原因について解説します。

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痛風の症状はどのように現れる?

痛風の症状は痛風発作と呼ばれ、急に足の指の付け根や関節に激痛が走ります。
やがて患部が赤く腫れ上がり、耐え難いほどの痛みがしばらく続きます。そして、1週間から10日ほど経つとしだいに治まり、症状は消えていくという状態を繰り返します。

この痛みは尿酸結晶が蓄積することによって生じます。

重度の痛風(高尿酸血症)を放置していると、増え続けてきた尿酸がコブのようにふくらんで無痛性の痛風結石ができ、それが大きくなると関節が変形し始めることもあります。

さらに重症化して慢性化すると、腎機能障害を起こしたり尿路結石になるなどの合併症を引き起こすこともあるのです。

偏った食事が痛みの引き金に

痛風の原因となる尿酸はプリン体からも生成されます。プリン体は、レバーなどの内臓、魚卵、貝類、ビールなどに多量に含まれます。適量であれば、体内に入ってもそのほとんどが腸管内で分解されますが、食べすぎてしまうと尿酸が増えるのを助長して痛風の引き金となってしまいます。

捻挫や打撲などのケガが引き金になることも

痛風の痛みはある日突然起こることが特徴です。
特に捻挫や打撲など外からの刺激によって体内に溜まった尿酸結晶が剥がれ落ち、その剥がれ落ちた結晶を白血球が異物とみなして攻撃することによって突然痛みを伴うことがあります。
つまり、尿酸値が高い人はいつでも痛風発作が出現する可能性があるということになるのです。

痛風発作の痛みが起こる場所はどこ?

痛風発作はまず初期の段階では足の親ゆびの付け根などの関節に耐えがたいほどの強い痛みが出現します。
痛みは一旦おさまるものの、繰り返していくうちに足首や膝の関節まで痛みが出るという特徴があります。その他、足の甲やアキレス腱のつけ根、手関節にも激痛発作が起こることがあります。

痛みが足首に発症することがある?

上記で説明したように、高尿酸血症が続いた結果起こる、最初の発作は足の親指の関節で起こることがもっとも多いですが、他の関節でも起こります。
とくに、膝から下に起こりやすく、足首周辺も発作が起こる頻度が高い部位です。

これは、尿酸が重力によって下に移動するためであり、足首付近の体温が低いため、尿酸が溶けにくい状態になるからと考えられています。

捻挫か痛風かを見分けるポイントは?

足首に症状が出た場合は、捻挫や骨折をするようなきっかけとなる出来事があったかどうかを思い出してみましょう。
また、痛風は「風が吹いても痛い」と言われるほど、強い痛みを足首を動かさない状態でも感じます。捻挫は、歩こうとして足をつくと痛いなど、何かしらの動きや負荷が関節にかかったときに痛みが大きくなるという特徴があります。

痛風発作の予防は尿酸値のコントロール

痛風発作の原因となるのは、どんな人でも体の中に持っている「尿酸」です。
尿酸は体内の新陳代謝によってできる物質で、通常は1日に作られた量と同量が毎日排泄されます。
さらに、痛風による激痛のもとになる尿酸の原料はプリン体です。
これは食品の中に含まれていたり体内の細胞に存在するものが古い細胞が分解される際に出てきたり、急な運動をしてエネルギーを使ったときに産生されます。

しかしなんらかの原因で体内の尿酸量が増え、尿酸値の値が7.0mg/dlを超えている状態を高尿酸血症と呼びます。さらに、8.0mg/dlを常に超える状態になると痛風が起きる可能性が高まり、高尿酸血症の薬の治療を検討され始めます。

ただし高尿酸血症だからと言って、必ずしも痛風の発作が起きるわけではありません。実際に痛風が起きている患者さんの採血をしても、尿酸値が7.0mg/dlよりも低いこともあります。血中の尿酸値が上がったり下がったりするなど、急な変動があったときに、関節の中で尿酸が結晶化し、痛風が起きると考えられているのです。

少なくとも尿酸値が9.0mg/dlを超えると、痛風が起きるリスクが高まりますし、その他にも腎臓への悪影響なども出てきて、要注意な状態です。

そのため、尿酸値が高くならないようにすることが、痛風発作の予防につながります。

痛風の症状を抑えるための生活習慣

痛風の症状を抑えるためには生活習慣を見直すということも大切です。
痛風の原因となる尿酸は絶えず体の中で作られているため、尿酸が必要以上に体内に取り込まれないようにする必要があります。
そのためには食生活の改善が必要です。

食事は野菜中心に切り替え、プリン体の少ない食事を積極的に摂ることがすすめられます。
プリン体の少ない食事は具体的に野菜やチーズ、鶏卵などです。
また、お酒を飲むのであれば焼酎やウイスキーなどが良いでしょう。
野菜は尿をアルカリ性にし、合併症でもある尿結石を防ぐ役割もあるため特に積極的に摂るようにしてください。
逆にプリン体の多い食材はアジの干物やレバー、大正エビやビールなどがありこれらは避けるようにしましょう。

また、肥満の人は肥満を解消するだけで痛風の原因となる尿酸値が低下します。
肥満の解消には食事だけでなく適度な運動も必要不可欠です。
特に軽い有酸素運動は原料だけでなく尿酸値を下げる効果もあるため、ウォーキングやサイクリング、ジョギング、エアロビクス、水泳などを継続して行うようにしましょう。
さらに水分をたくさん摂るようにすることで尿から尿酸が排出され、腎臓に尿酸がたまることを防ぐこともできるため、糖分の含まれていないお茶やお水などをこまめに飲むことをおすすめします。

おわりに:痛風の症状は足首に出ることも。捻挫の心当たりがなければ病院で診察を

膝から下の関節に症状が出やすいのが痛風ですが、とくに足首周辺は出やすい場所です。
原因に思い当たるフシがなく、突然、痛みと赤い腫れがやってきた場合は痛風の可能性が高いので、すぐ病院で診察してもらいましょう。

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