心臓弁膜症の症状と原因とは?病態が進行したらどんな変化が現れる?

2017/9/7 記事改定日: 2018/11/20
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

心臓弁膜症とは、心臓の弁の異常で血液がうまく流れなくなってしまう病気です。
この記事では、心臓弁膜症の症状や進行しているときのサイン、発症の原因について説明していきます。
心臓弁膜症の基礎知識として理解しておき、いざというときのために役立ててください。

心臓弁膜症の症状とは!?心臓がどんな状態になる病気なの?

心臓には、4つの部屋があります。全身の血管から心臓に戻ってきて酸素が少なくなった静脈血が入るのが、右心房です。その後、右心室という部屋に入り、そこから肺に送られます。肺ではガス交換がなされて酸素が取り込まれます。動脈血は、左心房から左心室を経由して大動脈から全身に送られます。この一連の血液の流れが一定の方向(一方通行)になるように、部屋には出口には逆流を防ぐ扉があります。この扉が弁膜であり、この心臓弁膜に異常がみられることを弁膜症といいます。

心臓弁膜の異常には狭窄と逆流の2つがあります。狭窄と逆流が同時に起こる場合もあります。扉の動きが悪くなり開かなくなると、出口が狭く(狭窄)なり、血液が通りにくくなります。扉が閉まらなくなったり、壊れてしまったりすると逆流(閉鎖不全)が起こります。

心臓弁膜症の自覚症状には、息切れ、動悸、全身倦怠感、浮腫(むくみ)といった心不全症状が現れたり、不整脈が頻繁にみられたりします。

普段の生活で、呼吸が苦しくなったり、咳や血痰が出たり、動悸が激しくなったりします。夜中に急に息苦しくなり、目が覚めることもあります。

心臓弁膜症が悪化しているサイン

心臓弁膜症は悪化すると、心臓の機能が低下して全身に様々な症状が引き起こされます。以下のような症状が見られる場合は、心臓弁膜症が悪化している可能性もありますので早めに病院を受診しましょう。

  • むくみが生じるようになった、またはむくみが悪化した
  • 息切れがする
  • 立ちくらみやめまいが起こりやすい
  • 夜間、息苦しくて目覚めることがある
  • 痰が多く出るようになった
  • 脈が乱れていると感じることが多くなった
  • 動悸がする

心臓弁膜症の発症の原因とは?

心臓弁膜症の原因には、生まれつきのものと、加齢に伴う心臓弁の変性や石灰化、心筋梗塞などの病気が原因のものがあります。

生まれつきのものは、「先天性心疾患」と呼ばれ、生まれる前から心臓弁に異常が生じているものと、生まれつき体の組織が脆弱である病気などが原因のものがあります。

また、心臓弁は加齢によって石灰化や変性が生じやすいため、高齢者になるほど患者数は増えるとされており、心筋梗塞や動脈硬化などの病気の後遺症として心臓弁膜症を発症することも少なくありません。

心臓弁膜症の検査の流れ

心臓弁膜症の診断のために、問診と器械による検査を行います。

問診
まず、問診でチェックした自覚症状をもとに、NYHA心機能分類をもとに、動悸、息切れ、疲れ、胸痛などをどのくらい感じているかを確認します。

NYHA心機能分類とは、ニューヨーク心臓学会(New York Heart Association)が策定している、重症度を表す指標です。
自覚症状を問診し、ふだんどれぐらい生活や活動が制限されているかを確認して、心臓の機能の状態を4つに分類します。

検査
各種検査(胸部X線検査:レントゲン)、心臓カテーテル検査、心電図検査など)を行い、弁のどこがどれくらい悪化しているかを把握します。

また、心機能全体の状態や、他の臓器への影響、合併症(心房細動、肺うっ血、心不全など)についてなども調べ、その結果をもとに、治療方針を決めます。

心臓弁膜症の治療

異常の原因により治療方法も変わります。
弁膜症は、自然には治りません。状態によって、下記の内科的治療か外科的治療のどちらかを選択します。

内科的治療

心筋の収縮力を増強させる強心剤、血液の量を減らして心負担を軽くする利尿剤、血液の流れをよくする血管拡張剤、脈拍数を落ち着けるβ遮断薬などを投与します。しかし、これらは、症状の緩和や進行を遅らせることはできますが、悪くなった弁機能が治ることはありません。

外科的治療(手術)

外科的治療には、弁の悪い部分を修復する弁形成術と、弁そのものを人工弁に取り替える弁置換術があります。どちらが適しているかは、状態によって異なります。また、近年ではカテーテルを用いた弁の修復術も行われつつあります。

おわりに:気になる症状があれば医師に診てもらおう

動機や息苦しさ、浮腫などの症状がみられたら、早めに心臓外科などを受診し、外科治療や薬物治療などの適切な治療が、早めに受けられるようにしましょう。

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