禁煙のビフォーアフター 成功に導くための解決策10か条

2017/2/9

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

禁煙を成功させるのはとても大変なことのように思われていますが、一日3箱程吸っていた人でも禁煙できたという人もいます。
しかし、思い立ってすぐにやめれた、というわけではないようです。喫煙の習慣が惰性的な人ほど難しいかもしれません。でも、いかに禁煙のコツをつかむかが禁煙成功の鍵になります。この記事では、喫煙の危険性から禁煙を成功に導くためのコツを紹介していきます。

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喫煙てほんとにヤバイ!?

簡単に禁煙しようと思っても、そうすぐにはできませんよね。

そこでまずは、今タバコを吸っているその瞬間、まわりにどんな危険を発し、またどんなデメリットを知らず知らずのうちに受けているのかをみていきましょう。

間接喫煙にはこんな危険性が!!

間接喫煙とは、喫煙者が吐き出した煙やタバコから出る煙を吸ってしまうことです。子どもは間接喫煙にさらされるたびに、7,000種類以上の化学物質を吸い込んでいます。それらのほとんどは有害で毒性があり、子どもの健康と発達に影響を与える可能性があります。また、これらの化学物質のうち約70種類はがんを引き起こす可能性があり、依然として間接喫煙が健康に及ぼす悪影響について叫ばれています。

また、煙は家の空気、カーテン、寝具、カーペット、家具などに染み付くため、子どもはしばらく間接喫煙の悪影響にさらされ続ける可能性があります。

間接喫煙はすべての人にとって有毒ですが、脳や身体の発達途中の赤ちゃん、幼児、10代にとってはさらに危険です。不幸なことに、乳児や幼い子どもは誰かが喫煙している家や車から離れられないため、大人よりも間接喫煙にさらされています。

健康改善のために

禁煙はご自身の健康を守るだけでなく、子どもが間接喫煙をうけないことにもつながります。

・家と車
子どもは間接喫煙にさらされた分、より多くの化学物質を吸い込みます。煙が家や車の内部に入らないように、外で喫煙してください。車の窓を開けながら喫煙しても、意味がありません。また、家族や友人、ベビーシッターに家の中で喫煙しないよう伝えてください。

・公共の場所
たとえば、禁煙のレストランやホテルを選択することで、子どもが吸い込む間接喫煙の量を減らすことができます。喫煙可のレストランに行くくらいなら、別のレストランを選ぶ方が良いでしょう。また、多くのホテルは喫煙ルームと禁煙ルームとで分かれています。
スポーツ施設などの公共施設の場合、基本的には施設内での喫煙は認められていません。しかし、出入口付近に多くの喫煙者がいる可能性があるので注意してください。出入りする際に間接喫煙を経験するかもしれません。

・子どもへの教育
タバコの煙の危険性について伝えてください。
決して喫煙しないように強調し、子どもの成長に伴い、友人の誰かが喫煙をしているかどうか、子どもに尋ね、健康的な生活を送るよう促進してください。

間接喫煙についての注意事項

間接喫煙は、子どもにとって短期的あるいは長期的な病気につながる可能性があります。喫煙者のいる家庭で育った子どもは、喫煙しない家で育った子どもより血流内に高レベルのコチニンを保持しています。ニコチンは、タバコの煙が体内に入った後に形成される成分で、間接喫煙した子どもが若いほど深刻な影響を含みます。
以下を参照してください。

・慢性の耳感染症(耳管の手術が必要なことがある)
・喘息の発症や悪化
・低出生体重
・肺機能の低下
・慢性の咳、痰、息切れ、気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症
・急性乳児死亡症候群(SIDS)(SIDSは、1歳未満の赤ちゃんが突然死亡する原因不明の症状)
・肺がんや心臓病

禁煙にまつわる誤解と、禁煙のためのヒント

禁煙するためには、様々な壁を乗り越えなくてはならないかもしれません。禁煙するためにはまず思い込みを捨て、確実な方法で取り組んでいく必要があります。

禁煙に対する思い込みと現実

ケース①「喫煙をやめられません。前にやめようとしましたが失敗しました」
現実:ほかの喫煙者よりもニコチンへの依存度が高いかもしれませんが、禁煙しようとして1回で成功する人はほとんどいません。自分ひとりで禁煙しようとしたことに問題があるかもしれません。

禁煙の手助けをしてくれる医者や、家族、友人、さまざまな支援団体も存在します。タバコをやめると、過敏症、神経質、集中困難、便秘などの禁断症状が出ることがあります。 カウンセリング、薬が、それらに対処するのに効果的です。 どのような治療が適切であるかについては、医師に相談してください。

ケース②「今までに一度も禁煙できませんでした。家族や友人のほとんどがタバコを吸っています」
現実:喫煙者が周りにいる場合、禁煙するのは難しくなることがあります。 しかし、自分や家族にとって何が最善であるかについて、自身で考える必要があります。 家族や友人に近くで喫煙しないように頼み、禁煙に協力してもらいましょう。最初は、他の喫煙者から遠ざかるとよいかもしれません。

ケース③「ストレスが多くて、今は禁煙するのが難しそうです」
現実:体はニコチンに依存しているので、体内にニコチンがあるときの方が、ない場合よりも気分が良くなります。ストレスが多い場合、別の機会に禁煙した方が良いでしょう。ですが、すべての人が同様に、常に何らかのストレスの下にいることを忘れないでください。ストレスがなくなるまで待つというのは、ニコチン依存症と向き合うことを避けるための言い訳かもしれません。

ケース④「タバコをやめたら体重が増えるので、やめることができません。体重が増えると健康にも悪いです」
現実:ほとんどの人は、喫煙をやめると体重が3〜4キロ増加しますが、このリスクは、喫煙による健康リスクよりはるかに少ないです。 定期的に運動をして低脂肪食を心がけると、体重が増えすぎるのを避けることができます。

禁煙するためのヒント

禁煙する前に、次のことを試してみてください。

・タバコの好きな点と、禁煙の嫌な点を書き留めます。その後、喫煙の嫌な点と、禁煙の理由を書き留めてください。
・1日に吸う本数を何本か減らしてください。
・3〜5日間、タバコを吸う度に、いつ喫煙したかを記録してください。 また、タバコに手を伸ばしたときに何をしていたか、どんな気持ちのときかをメモして、喫煙のパターンを探してください。

禁煙時の欲求に対処するには、以下を試してみてください。

・ニコチンパッチ、ニコチンガム、ニコチン吸入器、ニコチン鼻スプレー、ニコチンロゼンジなど、ニコチン補充療法について医師に相談してください。
・吸いたい欲求を抑えるため、ブプロピオンやバレニクリンなどの他の薬物療法を行う可能性について医師に相談してください。
・運動を始めてみてください。運動は、禁断症状を軽減するのに役立ち、欲求が生まれても対処することができます。
・深呼吸、リラクゼーション、イメージングのテクニックを調べて、ストレスや欲求に対処するのに役立つものを、医師と一緒に確認してください。

再び吸わないようにするためには、以下を試してみてください。

・タバコを吸いたくなるようなことは避けてください。禁煙前に書き留めたノートを見直し、どのようなものがあったか確認しましょう。 たとえば、朝コーヒーを飲むときにタバコを吸っていた場合は、代わりにお茶に切り替えてみてください。
・周りにタバコを吸っている家族や友人がいるなどの困難な状況にどう対処するかを考え、ストレスの多い状況を管理し、怒り、悲しみ、不安などの否定的な気持ちをコントロールできるようにしましょう。

禁煙で得られる10の健康メリット

喫煙は健康に悪いですが、禁煙することで人生に一体どんなメリットがあるのでしょうか?禁煙で改善する10の健康上の効果をご紹介しましょう。

呼吸しやすくなる

禁煙すると9ヵ月以内に肺活量が最大で10%向上するため、呼吸しやすくなり、また、咳こむことも少なくなります。
20代と30代では、ジョギングするまで喫煙による肺活量への影響は気づかないかもしれませんが、肺活量は年齢とともに徐々に減少していきます。
晩年に最大の肺活量を持っていると、散歩や階段の昇り降りのときに活発で健康的なお年寄りでいられるか、それとも息切れしてしまう人になるかという違いが生じます。

もっとエネルギッシュになる

禁煙から2~12週間以内に血液循環が改善されます。これにより、歩く、走るといった身体活動がずっと楽になります。
また、免疫システムも高まり、風邪やインフルエンザにかかりにくくなります。体内の酸素が増えると、疲労や頭痛の可能性も減らすことができます。

ストレスを感じにくくする

喫煙後体内のニコチンが減ってくると、ストレスが強くなってきます。ニコチンの離脱症状が、ほかのストレスと同じように感じてしまうため、正常なストレスとニコチンの離脱症状とを混同しやすいのです。このため、喫煙はほかのストレスを和らげるように思えるかもしれませんが、そうではありません。
事実、研究によれば、人のストレスレベルは禁煙後に低下することがわかっています。
ストレスを受けやすいとわかっている場合、喫煙をストレスに対処するより健康的な、よりよい方法に置き換えることで、本当のメリットがもたらされます。

セックスの改善

禁煙すると体の血流が改善され、感度が向上します。
禁煙した男性は勃起しやすくなりますし、女性はオルガスムが改善し、興奮しやすくするなるかもしれません。
異性からみて、タバコを吸わない人は、吸う人よりも将来のパートナーとして3倍の魅力があることがわかっています。

生殖機能が改善する

タバコを吸わない人は妊娠しやすいことがわかっています。禁煙すると子宮内壁の状態がよくなり、男性の精子をより強くすることができます。
禁煙する人が増えると、体外受精(In Vitro Fertilization;IVF)で妊娠する可能性を高め、流産の可能性を減らします。
最も重要なのは、健康な赤ちゃんを誕生させるチャンスが増えることです。

嗅覚や味覚が改善する

禁煙すると、嗅覚と味覚が改善します。口や鼻がタバコに含まれる何百もの有害化学物質で鈍感になっていた状態から回復するので、食べ物の味やにおいがいつもと違うように思うでしょう。

肌の老化が改善する

禁煙すると顔の老化やしわが表れるのを遅らせることがわかっています。
タバコを吸わない人の皮膚は、酸素はもとより、多くの栄養素を含んでおり、禁煙すれば喫煙者にありがちな浅黒くてしわの多い肌を改善することができます。

歯が白く、息もさわやかになる

タバコをやめると歯の色素沈着がなくなり、息がさわやかになります。また、かつてタバコを吸っていた人は、今も吸っている人より歯ぐきの疾患や早期に歯を失う可能性が低くなります。

長生きできる

長期にわたってタバコを吸っていた人の半数は、心臓病や肺がん、慢性気管支炎といった喫煙に関連する疾患で、早期に亡くなります。
30歳までに禁煙する男性は、10年長生きします。60歳で禁煙する人は、自分の命を3年伸ばすことができます。
言い換えれば、禁煙から得られるメリットに遅すぎるということはありません。禁煙は、命を延ばすだけでなく、病気のない、豊かでより幸せな老後の可能性を大幅に高めてくれるのです。

愛する人たちを守る

禁煙すると、タバコを吸わない友人や家族の健康も守ることができます。
受動喫煙は、肺がんや心臓病、脳卒中のリスクを高めます。子どもの場合、肺炎や耳の感染症、息切れ、喘息といった胸の疾患にかかるリスクが2倍になります。
また、後年、タバコを吸わない親と暮らす子どもと比べて、肺がんになるリスクが3倍にもなります。

おわりに

禁煙は、簡単なことではないかもしれませんが、まわりの家族や友人にサポートしてもらいながら、タバコを吸わないことによる健康の効果を実感してけば、必ず禁煙に成功しますよ!

この記事を参考にして、禁煙のためのキッカケをつくってみて下さい。

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