記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/7
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
赤ちゃんを生んで母親になるときは、幸せな気持ちと、そして不安がつきものです。
妊婦のために知っておきたい出産準備の方法、特に出産時の知識を中心に解説します。
出産は、なんといっても体力勝負です。ママになる第一歩として、しっかり体力をつけて出産に臨みたいものです。
陣痛を乗り切るのに必要なカロリーは2,000キロカロリーです。これは成人一日あたり必要なカロリーで、富士山を登るのと同じくらいです。ほかの運動だと、サイクリング約7時間、ウォーキング約6時間半と同じです。いかに大変なものかがわかると思います。
妊娠中はのど越しの良い食べやすいものが中心になりますよね。以下のものは比較的食べやすくておすすめです。
・おにぎり
・サンドイッチ
・ゼリー
・バナナ
・プリン
・チョコレート
妊娠中は、しっかり検査をうけ、準備をしっかり整えておきたいものです。
出生前診断は、胎児に先天性の病気、奇形、染色体異常がないかどうかを調べる検査の総称です。
通常の妊婦健診で行う超音波検査と区別して、妊娠11~13週に受けられる検査で「胎児超音波スクリーニング検査」とも呼ばれます。
超音波で胎児の位置などを確認したあと、母体の腹部に長い針を刺して羊水を少量ずつ採取します。羊水の成分で胎児の遺伝子構造から健康・成長なども診断します。
痛みに耐えての出産ですが、その他のにもいろんな状況に備えて、無事に産むために知っておきたいことがあります。
陣痛には3つの大きな前兆があります。
1.おしるし(産徴)
お産が近づくと、子宮の出口が徐々に開いていきます。そのとき、卵膜という赤ちゃんを包み、羊水がたっぷり含まれている袋と子宮壁との間にズレが生じ、少量の出血が起こります。この出血は、今まで子宮頸管をふさいでいた粘液と共に膣内へ押し出されてくるため、ドロっとした血の混じったおりもののような感じがします。
ほんの少し、下着に血が付く程度から、生理の始まりの時のようにしっかりとした出血まで、おしるしには大きく個人差があるようです。中には全くおしるしがなかったという妊婦もいます。陣痛が全くないのに出血している場合、月経のような出血が続く場合、血の量が増えてきたり、下腹部痛がある場合などは、なにか異常が起きている可能性があります。至急病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。
おしるしは陣痛の始まりを予感させる大きな前兆ではありますが、この後すぐにお産がはじまるというわけではありません。陣痛の始まりは、次の日かもしれませんし、3日後かもしれません。慌てずに「そろそろ陣痛がくるのかな?」というような気持ちで様子を見ましょう。
2.破水
破水とは赤ちゃんを包む卵膜が破れ、中に含まれる羊水が排出されることを言います。陣痛が来てからしばらくして、出産直前に破水するという順番でとらえている方も少なくありませんが、実は陣痛が来る前にいきなり破水することもあるのです。これを前期破水といい、妊娠37週を過ぎた妊婦さんでしたら誰にでも起こりうることです。重いものを持ったり、妊娠後期の性行為なども破水の原因になるようです。
その他の多くの症状のように、やはり破水にも個人差があります。ちょろちょろと少しずつ出てきたり、ドバっとゴム膜が破れるように破水したり様々です。
臨月になると、おりものが増えたり、大きくなった子宮により膀胱が圧迫されて、尿漏れを起こすことも多いので、破水と尿漏れとの違いが非常に分かりにくいのですが、一つの特徴として、破水は自分の意思では止められません。そして、破水の場合は匂いがすこし独特です。尿の匂いとは明らかに違う、生臭いような、甘酸っぱいような匂いがします。
色は人それぞれ透明の場合もあれば、少し黄色みがかった場合もあるため、色では判別しにくいです。
3.臨月
臨月に入って起こるお腹の張りは、前駆陣痛がほとんどです。これはお産当日に来る本陣痛のための予行練習のようなもので、偽陣痛とも呼ばれています。
前駆陣痛は時間的に不規則で、痛みにもばらつきがあります。全く痛みがなく、キューっとお腹が強く張るのを不規則に繰り返したり、回数も日によってばらばらだったり、本陣痛の準備段階といえます。もしなんとなく痛みが増してきているような気がしたり、時間的にも15~20分間隔のように規則的になってきている気がしたら、一度ゆっくり座って時間を計ってみるといいでしょう。
今は陣痛アプリのような、スタートとストップを押すだけで、あとは自動で痛みの間隔や回数などを記録してくれる優れモノのアプリもたくさんあります。あらかじめ気に入ったものをダウンロードしておき、いつでも開けるようにしておくのも手です。このアプリの場合、最初は陣痛に自信が持てず、適当にスタートを押して、適当にストップを押すなど記録がぐちゃぐちゃになりがちですが、それでもいいのです。あとで削除もできますし、とりあえず計ってみることが大事です。計り始めの時間を、あとで病院で教えることができたり、後々大変役立ちますので、携帯は肌身離さず持っていましょう。
もちろんアプリではなく、時計を見ながら記録する方法もあります。まず手元に時計を準備して、リラックスできる体勢を整えましょう。お腹をやさしく触ってみて、まずはお腹が張っていない、やわらかい子宮の状態を確認するところから始めましょう。
だんだんと子宮が硬くなってきて、お腹が張ってせりだしてきたら、それが収縮です。時計を見て、硬くなってきた時間を確認し、次にお腹が柔らかくなるまでの時間(分)を計測しましょう。また、その状態が何分おきに来るのかという周期も重要ですので、収縮の長さと周期を記録していきましょう。
人生に一度か二度の経験であり、自分や家族が納得のいく方法で産みたいものです。
1.自然分娩
陣痛が自然に来るのを待ち、お産の流れにそって経腟分娩をすることです。自然な経過を重視しますが、分娩監視装置をつける、血管確保のために点滴をするなど、母子の安全確保のための医療を行うのが原則です。陣痛が弱ければ陣痛促進剤を使い、強すぎて危険なときは子宮収縮抑制剤を使うことがあります。分娩が長引いた場合には、吸引分娩・鉗子分娩になることもあります。
2.無痛(麻酔)分娩
麻酔を使って産痛をとる麻酔分娩です。最近はほとんどが硬膜外(こうまくがい)麻酔分娩といって、麻酔の範囲が子宮と産道付近に限られる局所麻酔なので、産婦の意識ははっきりしています。産婦自身もお産の進行がわかり、誕生後の赤ちゃんのうぶ声も聞くことができ、抱いて授乳することも可能です。
3.誘発分娩
予定日を大幅に過ぎた場合や胎盤機能低下など、母子の危険を避けるために、陣痛促進剤などを用いて分娩を誘発する方法です。上の子の預け先がないなどの家庭の都合や病院施設側の受け入れ態勢確保のために行われる場合もあるが、いずれにしても赤ちゃんが十分に成熟していること、子宮頸管熟化など分娩準備状態が整っていることなどが前提になります。
4.帝王切開
経腟分娩ではなく、おなかを切って直接赤ちゃんを取り出すお産です。母体と胎児の状態によってあらかじめ日にちを予定することが多いですが、お産の進行中に緊急に帝王切開になることもある。硬膜外麻酔や腰椎麻酔による帝王切開は、下半身に限る局所麻酔なので、産婦の意識ははっきりしていて、赤ちゃんのうぶ声を聞いたり対面することも可能です。異常分娩なので保険が適応されます。
私が出産したのは妊娠38週5日のことです。36週の時点で子宮口が4センチ開いてしまっていたので、予定日まで待つやめて、39週5日での出産の予約を入れていました。しかし、38週5日目の早朝に本陣痛が始まり、6時には病院へ。7時の時点で子宮口が7センチまで広がっていたため、今日中に出産になりそうだと言われました。
その日は私と同じように駆け込みで病院に来た方がとても多く、分娩室が2部屋に対して妊婦が12人という混みようでした。無痛分娩を予約していたので準備をしてもらいましたが、これがかなりの時間待たされました。3時間は待っていたと思います。ようやく順番が来て麻酔の管を背中に挿入してもらいました…。
出産に向けての準備と出産にまつわる知識を説明してきました。妊娠中、特にはじめての場合は、不安がつきものですが、出産に向けてできる準備をしておくことで、少しでも安心することができると思います。
少しでも安心して出産するために参考にしてみてください。