クラッとめまいが~②それ、「内耳炎」かも?~

2017/2/6

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

めまいや吐き気で悩んでいませんか? 実は、めまいには耳の病気が大きく関係しているんです。今回は「内耳炎(ないじえん)」についてご紹介します。

内耳炎とは?

内耳炎とは、内耳と呼ばれる耳の内側の一部に起きた炎症です。内耳にはバランス感覚を保つ役割がありますが、内耳炎になると脳は正しいバランス信号を得られず、倒れるようなめまいや回転しているような感覚に見舞われます。

症状

内耳炎の症状は軽度のものから重度のものまであり、起きるタイミングもさまざまです。
一般的な症状は次のとおりです。
・フラフラするようなめまい
・回転しているような感覚(回転性めまい)
・目のけいれん
・吐き気や嘔吐
・片耳の聴力損失
・耳鳴り
上記の症状がある場合は、医師に相談してください。内耳炎ではない別の深刻な病気の可能性もあります。
なお、下記の症状が出た場合は、すぐに医師の治療を受けるようにしてください。
・38度以上の熱
・失神
・麻痺
・物が二重に見える
・重度の嘔吐を伴うめまい

原因

内耳炎の原因のほとんどは、ウイルスや細菌の感染によるものです。
インフルエンザや風邪などに感染した際に内耳炎を発症する人も少なくありません。

診断方法

基本的には医師による問診が行われます。
内耳炎の原因を確かめるために、何らかの検査を行うケースもあります。

治療方法

病院で治療を行う場合は、基本的に以下の薬が処方されます(いずれも内耳の炎症を緩和する薬です)。
・イブプロフェンやナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
・ステロイド薬
吐き気やめまいを和らげる薬が処方されることもありますが、基本的には治療をしなくても数週間で症状が改善します。

嘔吐の症状が重度な場合

脱水を防ぐために短期間入院する場合があります。退院後は、少なくとも1週間から2週間は安静にし、この間は登山や運転などの活動を避けてください。

早く回復するために

早く回復するためのコツや注意点は、下記のとおりです。
・急な動きを避ける(特に頭)
・ラケットボールやバレーボールなど、たくさん動くスポーツを避ける
・症状が出たら横になる
・明るい光を避ける
・(症状が出たら)読書をしない

後遺症が残る可能性は?

ほとんどの場合、2〜3ヵ月以内に完治しますが、特に高齢者の場合は運動機能に数年間影響が残る可能性があります。また、永久的な難聴が残る場合も稀にあります。
ただし、内耳炎が早期に治療された場合には、後遺症は起こりにくいです。

おわりに

いかがでしょうか。内耳炎は風邪がきっかけで起きることもある、案外身近な病気です。早期に発見すれば深刻な症状にはなりにくいので、「もしかして?」と思ったら早めに病院を受診してください。
また、同じ「めまい」を引き起こす病気には「メニエール病」もあります。
気になる人はこちら→クラッとめまいが~①それ、「メニエール病」かも?~

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