糖尿病を予防するために ~ 生活習慣の見直しがポイント! ~

2017/8/29 記事改定日: 2018/3/6
記事改定回数:2回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

「健康診断の結果を見たら、血糖値が高いとの結果が出た。でも、特に自覚症状はないから大丈夫かな」なんて思っていませんか?
実は、血糖値が高い状態をそのままにしておくと、糖尿病を発症する可能性があります。糖尿病は放置すると深刻な合併症を引き起こすため、できる限り予防することが大切です。この記事では、糖尿病を予防すべき理由とともに、予防法もお伝えしていきます。

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糖尿病ってどんな病気?

糖尿病は、インスリンの働きが低下もしくは作用しなくなったため、血糖値(血液に含まれるブドウ糖の濃度)の上昇を抑える働きが低下して、慢性的に高血糖の状態が続く病気です。
高血糖の状態が続くと、血管の内皮がダメージを受けたり、動脈硬化が進行して血管が詰まったりするようになります。その結果、血管障害が原因の病気を発症する恐れがあります。

インスリンとは?

インスリンは、すい臓のランゲルハウス島から分泌されるホルモンのひとつです。インスリンは、血糖値が上がるとすぐに分泌され、エネルギーとして利用できるようにしたり、たんぱく質の合成や増殖を促したりします。

糖尿病には2種類ある

糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病の2種類あります。糖尿病を発症する原因には、「遺伝的要因」と「環境的要因」の2つが考えられますが、特に環境因子が主因である2型糖尿病は、日本の糖尿病患者の大部分を占めています。

2型糖尿病

2型糖尿病は、インスリン抵抗性(インスリンが正常に働かなくなった状態)が原因で、体に入った糖をエネルギーとして変換できなくなった結果、血糖値が上昇してしまう病気です。体が作るインスリン量が少ないことも、発症に関係しています。
2型糖尿病は、食事療法と定期的な運動、薬やインスリンの投与などによって血糖値を管理すると、合併症の発症を遅らせたり、予防したりすることができます。
2型糖尿病は40歳以上の人が発症することが多いのですが、最近は子供でも発症することが増えています。また、発症する人に肥満の傾向がみられることも特徴のひとつです。

1型糖尿病

1型糖尿病も2型糖尿病と同じく、インスリン欠乏とインスリン抵抗性によって発症しますが、肥満や食生活の乱れではなく、ウイルスや遺伝などが原因ですい臓のインスリン産生細胞が壊れてしまうことが原因で発症します。
すい臓でインスリンを作ることができないため、1型糖尿病の人は、食事療法や運動ではなく、毎日自分でインスリン注射をして血糖値を管理する必要があります。

2型糖尿病を予防したほうがいいのはどうして?

糖尿病を予防したほうがよいのは、糖尿病によって慢性的に高血糖の状態が続くと、全身の血管がダメージを受けてしまうためです。
血管がダメージを受けると、細い血管の障害として糖尿病網膜症や糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害といった三大合併症が、太い血管の障害として心臓病、脳卒中といった深刻な病気を発症する恐れがあります。

【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-048.html

2型糖尿病を予防するために、食事で気をつけることは?

2型糖尿病は、生活習慣の乱れが原因で発症します。したがって、糖尿病を予防するためには、食生活の改善がとても重要です。
食事の上でまず気をつけるべきことは、カロリーを摂りすぎないことです。糖分が多い食べ物や、脂っぽいものを摂りすぎると内臓脂肪が増え、糖の代謝に異常が出て糖尿病を発症するリスクが高くなります。
「糖尿病=肥満の人が発症する」と思っている方は多いかもしれませんが、やせ型の人でも高カロリーな食事を続けていると隠れ肥満になり、糖尿病を発症することがあります。体重に関わらず、食生活に気をつけることは大切です。
また、食物繊維には血糖値を下げる効果があると言われています。このため、食物繊維を多く含むものをたくさん摂ることも糖尿病の予防に役立ちます。野菜やきのこ、海藻類といった食べ物を積極的に摂りましょう。

【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-002.html
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-004.html

糖尿病を予防するためには運動も大切

糖尿病予防のためにもうひとつ重要なのは、定期的な運動に取り組むことです。適度な運動をすると血糖値を下げたり、脂質の代謝を促したりするだけでなく、肥満を改善してインスリンの働きをよくする効果があります。
目安としては、週に3~5日、少しきついと感じる有酸素運動(ウォーキングやジョギング、水泳など)を20~60分程度行うのが理想的です。最終的には毎日運動するのが理想的ですが、大切なのは「楽しんで運動を継続すること」です。長く、楽しみながら続けられそうな運動に取り組みましょう。また、慣れてきたら少しずつ運動量を増やしていってください。

【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-005.html

おわりに:毎日の生活習慣を見直して、糖尿病を予防しよう

糖尿病は進行すると、三大合併症や脳卒中などを引き起こす可能性のある、恐ろしい病気です。でも、生活習慣を改善することで、糖尿病の発症を予防することができます。血糖値が高いと言われたこの機会に、ぜひ生活習慣を見直して糖尿病を予防しましょう。

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