風邪を引いた訳でもないのに咳が続くのはストレスのせいってホント?

2017/9/4

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

咳が2週間も3週間も止まらず、また治る気配もないなどというとき、それは風邪の咳ではないかもしれません。さまざまな病気を引き起こす、ストレスが原因となっている可能性があります。なぜストレスが原因となるのでしょうか? また、どのような症状が現われるのでしょうか?

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ストレスが咳を起こすのはなぜ?


さまざまな病気を引き起こす「ストレス」ですが、ときには「咳」も発生させます。このように、心の状態によって起こる咳を「心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)」と呼びますが、ストレスがなぜ咳を起こさせているのか、はっきりとした原因はわかっていません。

ひとつ言われているのが、「ストレスの発散のため」です。本来、ストレスを解消させるためには、好きなことに没頭したり、心からリラックスできる時間をつくったりすることでなされます。しかし、このようなことができるタイミングがなく、ストレスがたまっていく一方となったとき、体はそれを解消しようとします。そこで現れるのが咳という症状です。

体が、たまりすぎたストレスを無意識のうちに発散しようとして行なう、一種の自己防衛反応であるといえるでしょう。

また、たとえば怒りや悲しみ、そして不安や緊張などの心理的なストレスによって引き起こされた神経作用が、気道を刺激することによって咳が出ると説明される場合もあります。

ストレスによる咳の症状の特徴は?


ストレスを原因とする咳の症状には、以下のような特徴があります。

・長い期間、たとえば3週間以上も咳が止まらない
・「ゴホゴホ」とした重い咳ではなく、「コンコン」といった乾いた空咳が出る。痰はほとんどからまない
・病院での検査で、のどや肺など、体の異常がみられない
・日中に咳が出るが、夜になると止まることが多い
とくに、仕事をしていて緊張を強いられているときや、ストレスがかかっているときによく出るが、睡眠中など、リラックスしているときに止まる傾向があります。
・鼻づまりや鼻水、発熱、下痢、腹痛、関節痛など、風邪のときにみられる症状が咳以外はみられない
・風邪薬や咳止め薬を服用したにもかかわらず、まったく効果がみられない
・悪化すると、のどの炎症など声を出す器官に異常がみられないまま、失声症や手足の麻痺へと進むことがある

ストレスによる咳の対処法は?


前述のように、市販薬で止まることはほとんどありません。医師に診てもらうなら、心療内科にかかるのがよいでしょう。精神安定剤や、対症療法的に、咳を緩和する薬を処方してくれます。

ただし、根本的な改善には、やはりストレスと向き合い、それを克服するか、うまく付き合っていける精神状態をつくっていくことが大切です。
考え方のクセや、完璧主義だったり、理想が高かったり、人に頼るのがヘタなど、性格的な部分の改善を図ってみましょう。
しかし、なかなか性格を変えるというのは難しいものです。すぐにできる現実的な対策として、以下のことを実践してみましょう。

・規則正しい生活をおくる(朝は、起きたらすぐ太陽の光を浴びましょう)
・疲れをためない工夫をする
・栄養バランスのとれた食事を摂る
・あなたが好きで時間を忘れて取り組めたり、楽しいと感じることをする
・適度な運動を行なう
・入浴の時間をたっぷりとって、リラックスする
・友人とすごす時間を増やす

おわりに:発熱や鼻水など、咳以外の症状が出てきたら病院で診察を

ストレス性の咳は、心が発しているSOSです。自分でも意識していなかったストレスを教えてくれているのかもしれません。今一度、自分の生活を見直してみましょう。
なお、発熱や鼻水など、咳以外の症状が出てくるようなことがあれば、改めて病院で診察を受けるようにしましょう。

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