記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
世の中にはたくさんの新しいダイエット法がありますが、健康的にダイエットするための基本は食事と運動です。一度基本に戻って、ダイエットを成功させるためのヒントをみていきましょう!
よく言われていることですが、ダイエットのために食事の回数を減らす必要はありません。
特に朝食を抜く人が多くみられますが、研究によると、朝食を抜く人は朝食を食べる人より体重が多い傾向があります。
それは結果として1日の中の摂取カロリーが、3食きちんと食べた場合よりも増えてしまうことが多いからです。
食事を抜くとカロリーを減らすことができるような気がしてしまいますが、実際は食事を抜くことで却ってカロリーを摂ってしまうため、ダイエット中にこそ3食をきちんと食べることが大切です。
理想的な朝食は、タンパク質と食物繊維の両方が含まれているメニューです。
例えば卵、トースト、グレープフルーツ半切れは腹持ちも良く、全部食べてもわずか250キロカロリーです。
糖質を控えることはダイエットのポイントです。
糖質は主にエネルギー源として利用される栄養素ですが、脂肪を蓄積しやすくする作用(食後に血糖値が上昇すると「インスリン」というホルモンが膵臓から分泌され、インスリンがエネルギー源として使いきれなかった余った糖を脂肪に変えて蓄えようとします)があるからです。この性質を利用して糖質の摂取量を減らすとインスリンの分泌量を抑えることができ、脂肪が体に蓄積しにくくなります。
以下に糖質を多く含む代表的な食品をあげます。
◆白米、パン、ラーメン、パスタ
◆かぼちゃ、いも類、栗
◆ドライフルーツ
◆砂糖、片栗粉、小麦粉、味醂、蜂蜜、みりん、ソース、トマトケチャップ、コンソメスープの素
◆スナック菓子、和菓子、洋菓子、甘い飲み物
ただし、過度な糖質制限や長期間の糖質制限については安全性に懸念があるため避けましょう。
糖質制限で陥りがちなのが「主食を完全にカットしてしまう」というパターンです。
ごはんもパンも、麺も、全て摂らないという極端な食事をしてしまうと、長続きせずに挫折したり、無理して続けていると急激にやせすぎてしまい、筋肉が減ってリバウンドを招きやすくなります。
ごはんを毎食90グラム、おにぎり一個分は糖質を摂り、あくまで糖質を控える程度にとどめておくことが安全にダイエットを行うポイントです。
記入内容に明確なルールはありませんが、何を食べたか、どれくらい運動したかを毎日記録しましょう。そして、週の終わりには同じノートに体重を書いて、自分が目標に到達するためにどのようなことに取り組んでいるのか可視化できるようにしましょう。
胃はすでに満腹状態でもその信号が脳に伝わるまでに最低15分ほどかかることがわかっています。
食事をおかわりしたいと思ったら、10分ほど待って実はもう満腹状態になっていないかどうかを確かめてください。
満腹感を得るのが難しい場合には、水やお茶などのカロリーがない飲み物を1日に8杯以上飲むように心がけることで、おなかが多少膨れて気分もすっきりします。また、野菜や果物を生で食べることでも満腹感を得やすくなります。
ダイエットにおいて運動を一緒に行うことはとても大切ですが、やみくもに長時間運動すればよいというわけではありません。
運動を続ける際に下記のような2つの重要なポイントがあります。
ダイエットに運動を取り入れる際は、自分が楽しめる運動を選ぶことが大切です。自分が楽しいと思える運動の方が続けやすいからです。
例えばジョギングが嫌いなのに無理にジョギングをする必要はありません。ジョギングをウォーキングに変えて、時間を10分から20分に延ばす、回数を週に2回から3~4回に増やすなど工夫して、自分が取り組みやすい方法やペースを探していきましょう。
今の自分の能力の範囲内で運動をし、体を酷使しすぎないようにしましょう。
また、あまり大きな目標を立てないようにすることもポイントです。
「週に5回、20~30分運動する」というような目標はダイエットの結果は比較的早く出るかもしれませんが、到達するのは難しいことが予想されます。より現実的な目標を設定し、目標を継続するようにしましょう。
より痩せやすい体をつくるには、有酸素運動と同じくらい筋トレを取り入れることもおすすめです。
筋肉は脂肪よりも多くのカロリーを消費するので、筋肉を鍛えることでより効率的にカロリーを燃焼できるようになるからです。
週に2回それぞれの主要な筋群(腹筋、二頭筋、殿筋、大腿四等筋)に対して12~15分間の反復運動を1~2セット行うことがおすすめです。このような筋トレをすることは単に新陳代謝を促進する以上に、心臓、骨、さらには気分にさえも良い影響を与えると言われています。
余分なカロリーを消費するためには1日の中で最低30分の程度の運動をするのが望ましいと言われています。ですが、1日30分の運動を毎日続けるのは難しいという方も多いでしょう。
そこで、中々運動する時間がないという方にもおすすめなのが普段の活動量を振り返ること。
実は何気なく行なっている〈階段を上る、ベビーカーを押す、ガーデニング、散歩をする〉などの活動も、立派な運動です。日常的な動作の量や取り組み時間増やすことで、運動量を簡単に増やすことができます。
たとえば〈自宅の最寄り駅手前で降りて一駅多く歩く、エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う、散歩のときの歩くペースを早めてみる〉など、少し工夫をして運動量を増やしましょう。
ダイエットを成功させるためには、食事と運動という基本を継続することが大切です。
短期間で大幅な体重の減少を求めず、無理をせずに計画的に続けることが結果的にダイエットを成功させる近道になります。