記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
朝起きるのがつらかったり、起きた後にすぐ行動に移れないのは低血圧が原因かもしれません。
この記事では、低血圧だとなぜ朝起きれないのか、低血圧の人がどうすれば朝起きれるようになるかなど、早朝と血圧について解説していきます。
低血圧について、今のところ厳密な定義は決まっていません。ただ、WHO(世界保健機関)では世界共通の基準として、最高血圧(収縮期血圧)100(mmHg)以下、最低血圧(拡張期血圧)60(mmHg)以下を低血圧と定義しています。
低血圧になると現れる代表的な症状として、以下のようなものがあります。
低血圧そのものが、直接的な寝起きの悪さの原因になっている訳ではありません。ただ、低血圧になると心臓から体の各部位に向けて血液を送り出す力が弱くなるため、全身の機能も低下しやすくなって日常生活に影響が出ることが考えられます。
また、自律神経の働きが弱っていることも、低血圧の原因になっているとも考えられます。すでに述べたように、朝は血圧を上昇させて朝の覚醒を促すために、交感神経が優位になります。しかし、ストレスや睡眠不足などで自律神経の働きが鈍くなっていると、起きるのに十分な血圧の上昇や覚醒につながなくなり、結果として朝起きるのがつらくなってしまう可能性があります。
低血圧は、原因が何であるかによって以下の3つに分類されます。
そのほか、食後のときだけ血圧が急降下する食後低血圧や、神経系の障害が原因で起こる起立性低血圧症(特発性起立性低血圧症)もあります。
自律神経のリズムを整えて、朝しっかりと血圧を上げることができれば、スッキリと目覚めることができます。そのためには、自律神経のリズムを乱している原因を解消することが大切です。たとえば、ストレスが原因になっているなら、それを解消することが大切ですし、睡眠不足が原因になっているなら、睡眠時間を確保するために生活習慣を見直すことが大切です。
そのほか、以下のようなことを心がけることも、自律神経の乱れを整えるのに役立ちます。
近年、早朝のみに血圧が高くなる「早朝高血圧」の患者さんが増えています。早朝高血圧とは、日中や夜間は正常な血圧であるものの、早朝や起床後1時間以内に高血圧であることを指します。
このため、健康診断や病院受診で発見されにくく、特に自覚症状もないため放置されてしまうケースが少なくありません。早朝のみの高血圧でも、心筋梗塞や脳卒中の危険性は高くなりますので注意が必要です。
低血圧も高血圧も早めの対策や治療が必要ですが、自覚症状が少なく発見が遅れる傾向にあります。このため、健康管理のためにも朝起きたら血圧を測って記録する習慣を身に着けるとよいでしょう。
低血圧に加えて生活習慣の乱れが重なってしまうと、自律神経がきちんと働かなくなり、その結果、朝起きるのがつらいといった症状が出てきます。
病気が原因でない低血圧であれば、食事や運動など、生活習慣を見直して自律神経のリズムを整えることで、朝のつらさを解消できる可能性があります。ただし、病気などが原因の場合は、原因疾患の治療が必要です。また、普段の血圧は正常値なのでに、朝起きたときだけ高血圧になる早朝高血圧もあります。
低血圧も高血圧も、早期発見が重要になります。家庭用でかまわないので、日常的に測定することをおすすめします。
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