記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
類天疱瘡は主に高齢者にみられる皮膚の疾患です。この病気にかかると、皮膚に水疱ができ、痒くなります。
今回の記事では、類天疱瘡について解説しますので、発症したときのために参考にしてください。
類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)は、血液中に表皮と真皮の境となる基底膜部のタンパクに対する自己抗体が自分自身を攻撃してしまうことにより、全身に痒みを伴う赤い斑点や水ぶくれを生じる自己免疫性水疱症です。
この病気は70~90歳代の高齢者にみられますが、まれに18歳以下の子供にもみられます。
類天疱瘡は、表皮と真皮の境にある基底膜に存在しているヘミデスモソームの構成タンパクに対する抗体の産生が主な原因です。
類天疱瘡抗原と自己抗体が結合することにより、皮膚を傷害し水疱を形成します。
また、まれではありますが、内臓の病気が原因で発症することもあります。
類天疱瘡は、手足や胸腹部、背中などにやや大きめの水疱が形成され、かゆみを伴うのが特徴です。水疱はパンパンに腫れあがって破裂することもあり、病変部には水疱と破裂した痕のびらんが混在し、皮膚に傷跡が残ることも少なくありません。
稀に表皮だけでなく、口腔内や目、のど、鼻、外陰部などの粘膜で覆われた部位にも水疱やびらんを形成することもあります。
類天疱瘡の治療は、自己抗体を抑えるための副腎皮質ホルモン(ステロイド)の内服を中心に行います。病気の勢いが強い場合(病気の勢いは、水疱の個数や血液中の抗体の量により決まります)や治りにくい場合は、ステロイドパルス療法、血漿交換療法などを併用することもあります。
中等症例であれば、ミノサイクリンやテトラサイクリン(ミノサイクリン)とニコチン酸アミドとの併用内服療法を採用する場合もあります。しかし、テトラサイクリンの代わりにミノサイクリンを用いた場合、副作用が起こる恐れもあるため注意が必要です。
症状が比較的軽い場合は、ステロイド外用の内服のみで病気をコントロールする場合もあります。
治療中は、以下のことに気をつけましょう。
日常生活では、以下のことに気をつけましょう。
類天疱瘡は他人にうつることのない病気ですが、皮膚を清潔に保つことが重要です。治療中は医師の指示を守って薬を服用し、肌を刺激しないように気をつけましょう。