インフルエンザの異常行動から子供を守るための対処法とは?

2017/9/21 記事改定日: 2018/11/2
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

子供がインフルエンザを発症したとき、部屋から飛び出したり、窓から飛び降りようとしたりするといった異常行動がみられることがあります。
この記事では、インフルエンザによる異常行動の事例や対処法とともに、異常行動を示す重篤な合併症であるインフルエンザ脳症についても解説します。

インフルエンザによる異常行動とは

子供がインフルエンザを発症したとき、急に走り出したり、部屋から飛び出そうとしたりするといった異常行動がみられることがあります。極めてまれですが、異常行動が原因で転落などによる死亡事故も報告されています。

インフルエンザの発症でみられる異常行動の例として、以下のようなものがあります。

  • 興奮のあまり、部屋から出ようとする
  • 突然笑い出したり、意味不明なことを言ったりする
  • 泣きながら部屋中を駆け回る
  • 話しかけても反応がない

かつて、こうした異常行動の原因はタミフル®︎(インフルエンザ治療薬のひとつ)が原因ではないかと考えられていました。しかし、そのほかの治療薬(リレンザ®︎、イナビル®︎など)を服用したときや、薬をまったく服用していなかった場合でも異常行動が現れています。このため、現在は治療薬の種類や服用の有無に関係なく、異常行動に注意すべきである、という見解が主流となっています。

異常行動から子供を守るための対処法とは?

子供がインフルエンザを発症し、自宅で看病するときは、インフルエンザ治療薬や薬の服用の有無に関係なく、以下のことに気をつけてください。

  • インフルエンザの治療を始めてから少なくとも2日間は、子供を1人にしない
  • マンションやアパートの高層階に住んでいる場合は、玄関や窓に必ずカギをかける
  • ベランダに面していない部屋に寝かせる
  • 一戸建ての場合は、できるだけ1階で寝かせる

異常行動を起こす深刻な合併症、「インフルエンザ脳症」とは

インフルエンザ脳症は、インフルエンザの発症によって引き起こされる可能性がある深刻な合併症です。発症すると重い後遺症が残ったり、死に至る恐れもあります。
インフルエンザ脳症患者の多くは幼児期の子供です(毎シーズン100~300人ぐらい発症すると言われています)。大人の発症数は少ないですが、死亡例も報告されており、決して軽視できません(なお、インフルエンザ脳症による死亡率は10%程度と言われています)。

インフルエンザ脳症の症状・診断方法・治療法

症状

インフルエンザ脳症を発症すると、インフルエンザの発熱から24~48時間以内に、嘔吐、異常行動、意識障害(呼びかけても反応しないなど)、熱性けいれんといった症状がみられます。

年齢によって現れやすい症状はさまざまですが、どの年代でも約90%の高い確率で現れるのが発熱です。以下に、年代別の特徴をご紹介します。

  • 0~4歳:頭痛や嘔吐があまりみられないが、熱性けいれんの発症率が高い(約80%)
  • 5~19歳:熱性けいれんの発症率が下がる(約47%)が、頭痛と嘔吐の発症率が上がる(頭痛は約13%、嘔吐は約18%)

診断方法

異常行動や熱性けいれんといった症状がみられ、インフルエンザ脳症の可能性が疑われる場合、すみやかに頭部画像検査(CT、MRI検査)や血液検査、髄液検査、脳波検査が行われます。

治療法

インフルエンザ脳症の治療法はまだ確立していないため、対処療法が行われるのが一般的です。症状に応じて、痙攣をコントロールしたり、呼吸や循環器をチェックしたり、脳圧を下げたり、けいれんを抑える薬を処方したりします。

また、熱を下げるために解熱剤を処方することもありますが、その場合はアセトアミノフェンが処方されます。代表的な解熱剤としてアスピリンがありますが、アスピリンはライ症候群を引き起こす疑いがあると言われているため使用しません。アスピリンは市販薬にも含まれているため、注意が必要です。

なお、インフルエンザ脳症を発症した人のうち、約25%に何らかの後遺症がみられることが報告されています。いずれも運動麻痺や知的障害といった重度の後遺症のため、インフルエンザ脳症を発症した場合は早期に治療を行うことが非常に重要です。

インフルエンザ脳症は予防できる?

インフルエンザ脳症は、インフルエンザを発症したことが原因で引き起こされる病気なので、インフルエンザウイルスの感染自体を予防できれば、インフルエンザ脳症も予防できます。
したがって、インフルエンザの予防接種を受けることが重要になります。また、日ごろから外出先から帰ってきたら手洗い・うがいをする習慣をつけたり、インフルエンザの流行時は混雑した場所に近寄らないよう心がけたりすることも大切です。

大人にも異常行動が起こることがあるの?

子供に比べて発症率は非常に低いですが、大人でもインフルエンザ脳症を発症して意識障害や異常行動などを引き起こすことがあります。特にインフルエンザと気づかずにバファリンなど市販のNSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛剤)を服用すると発症してしまう可能性が高くなるので、インフルエンザの流行期に高熱などの症状が出た場合は安易に自己判断で市販薬を服用しないよう注意しましょう。

また、非常に稀ですが、タミフル®を服用した後に副作用として異常行動が現れるとの報告もあります。特に高齢者での症例に多く、タミフルを服用後はなるべく周囲に家族がいる状態にしておくと安心です。

おわりに:子供がインフルエンザを発症したら、必ず付き添って異常行動から守ってあげよう

子供がインフルエンザを発症したときにみられる異常行動は、インフルエンザ治療薬の種類や、治療薬の服用の有無に関係なくみられる可能性があります。もし、お子さんがインフルエンザを発症してしまったら、少なくとも治療を始めてから2日間は必ず付き添うとともに、戸締りをしっかりして、お子さんの身を守ってあげましょう。

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