記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/27 記事改定日: 2018/10/16
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肺炎の中には、高齢者などに多い誤嚥性肺炎があります。これは肺に唾液や食べ物が入ってしまい発症する肺炎であり、普通の肺炎とは症状が異なります。この記事では、肺炎の中でも特殊な、誤嚥性肺炎の症状や発症のメカニズムについてまとめました。
早期発見のために役立ててください。
一般的な肺炎は、咳や多量の痰、息苦しさなどの呼吸器症状と共に高熱が出るのが特徴です。細菌やウイルスに感染することで発症し、中には風邪やインフルエンザなどが悪化して肺炎を引き起こすこともあります。
一方、誤嚥性肺炎は寝たきりの高齢者や手術後の人に多く見られ、一般的な肺炎のように典型的な呼吸器症状がないものの高熱が出たり、呼吸状態が悪化するのが特徴です。悪化すると膿のような痰が出ることもありますが、発症初期には呼吸器症状がほとんどなく、のどがゴロゴロなる・食欲がない・活気がないなどの症状のみの場合が多いです。
誤嚥性肺炎は寝たきりの高齢者や手術後など嚥下機能が低下している人に起こりやすい病気です。食事でむせ込みやすい人は注意が必要であり、経口摂取をしていない人でも唾液や胃液などが気管へ流れ込んで誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。
発症初期には典型的な呼吸器症状がないことも多く、誤嚥のリスクがある人に何となく元気がない・微熱がある・喉がゴロゴロなっているなどの症状が現れたときは、なるべく早めに医療機関を受診するようにしましょう。
誤嚥性肺炎は、悪化すると死に至ることもあるため、早期から適切な治療を受けられるよう、上記のようなちょっとした変化を見逃さないようにしましょう。
嚥下とは物を飲み込むことを表す言葉ですが、食道に入るべきものが、誤って気管に入ることを誤嚥といいます。誤嚥性肺炎とは、入るべきでない異物が気管に入り、そのために肺に炎症を起こす肺炎のことをいいます。
寝ている間に起こりやすく、自覚がないことも多いです。そのため、繰り返し発症することも少なくありません。
体力の弱っている高齢者(特に要介護者)に多く、ときには命を脅かすこともあるため、口腔ケアなどでできるかぎり予防することが大切になってきます。
高齢化や脳血管障害の後遺症などで嚥下機能や咳をする力が弱まると、口の中にある細菌や食べかす、逆流した胃液などが気管に誤って入りやすくなります。異物が肺に入った結果、肺炎が発症します。
栄養状態がよくなかったり免疫機能が低下していることが原因になることも多く、嘔吐時に食物と胃液を誤嚥してしまい発症することもあります。
誤嚥性肺炎かもと思ったときは、すぐに病院を受診しましょう。
胸部X線(レントゲン)検査で肺炎の有無を確認し、白血球の増加や炎症反応がみられたら肺炎と診断されます。寝たきりの高齢者など、誤嚥の高リスク患者で肺炎が発症した場合には、誤嚥性肺炎が疑われます。
治療は、抗生物質を用いた薬物療法を基本に行います。呼吸状態や全身状態が重症で、危険が伴う場合は、入院して治療を行います。口腔ケアを徹底し、嚥下指導が行われ、嚥下機能に悪い影響を与える薬の服用がないか確認します。
その上で、嚥下機能の改善に効果のあるACE阻害薬などを服用する場合もあります。
喫煙は、気道粘膜の浄化を阻害し、細菌が付着しやすくなるため、禁煙したほうが良いでしょう。また誤嚥防止のリハビリテーションも有効でしょう。介護者をするときは、ゆっくりと咀嚼・嚥下するよう指導してあげてください。また、肺炎球菌のワクチンも受けておくことをおすすめします。
高齢者や中枢神経系障害などで寝たきりの人は発症するリスクが高く、慢性的に繰り返す場合もあります。予防のために口腔ケアを徹底しましょう。
誤嚥性肺炎は、発熱や咳などの肺炎らしい症状がみられないことが特徴です。高齢者や寝たきりの人に、ふだんより元気がない、食欲がない、喉がゴロゴロいうなどの症状がみられたら、すぐに病院を受診しましょう。
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