誤嚥性肺炎の原因とは!?高齢者と子供では原因が違うの?

2017/11/14 記事改定日: 2018/10/15
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

高齢者はさまざまな病気の発症リスクが高いですが、中でも特に注意したいのが「誤嚥性肺炎」です。今回の記事ではこの誤嚥性肺炎の原因とリスク要因について解説しています。また、誤嚥性肺炎は子供にもみられる病気なので、早く気づくためのコツについても紹介しています。

誤嚥性肺炎の原因と発症のメカニズム

誤嚥性肺炎とは、誤嚥が原因で発症する肺炎のことです。通常、人間は空気を吸えば肺につながる気道へ、食べ物や飲み物を摂れば食道へと自然に振り分けが出来ています。ところが、何らかの理由で食べ物・飲み物が気道のほうへ入ってしまい、それを吐き出せない場合、飲食物についていた細菌が肺の内部で増殖し、肺炎を引き起こしてしまいます。これが誤嚥性肺炎です。

誤嚥性肺炎は高齢者に非常に多く見られますが、大きな理由としては「抵抗力・免疫機能の低下」「脳血管障害や各種筋力の衰えによる嚥下能力の低下」などが挙げられます。若く健康な人は間違って気道に食べ物が入った場合でも、咳で吐き出すか繊毛の働きで外へ追い出せます。また免疫機能も強いため、少々肺に細菌が入っても肺炎にまではなりません。しかし高齢者はこのような防御機能が落ちているため、肺炎になりやすくなります。

誤嚥性肺炎のリスク要因は?

誤嚥性肺炎の発症にはいくつかの要因になるものがあります。

ひとつは嚥下障害です。高齢者の多くには脳血管障害がみられますが、脳血管障害があるとスムーズな嚥下が出来ない嚥下障害へ発展します。この状態ですと気道に食べ物が入ってしまいやすく、誤嚥性肺炎を起こすリスクが通常の何倍にもなっていきます。

ほかの原因は、不衛生な口腔環境です。肺に入るのは口腔内でいったん咀嚼された食べ物であるため、唾液に含まれる細菌の量が多いとそれだけ肺炎を起こしやすくなります。つまり、手入れが不十分な入れ歯や慢性の虫歯、高齢で歯磨きの習慣が保たれていないなど口腔内が不衛生で細菌だらけの場合、大量の細菌が肺に入ることになるため、誤嚥性肺炎が起こるリスクはさらに上がってしまいます。

子供の誤嚥性肺炎は原因が違う?

高齢者に多く見られる誤嚥性肺炎は、嚥下機能の低下によって唾液や痰などが気管へ流れ込んでしまうことによって生じます。

一方、子供は唾液や痰を誤嚥することは少ないものの、ピーナッツなどの食べ物や小さなおもちゃなどの異物を飲み込んでしまい、気管へ入り込んでしまうことがあります。このため、子供の誤嚥性肺炎は高齢者の誤嚥性肺炎とは異なり、場合によっては気管に入り込んだ異物を除去する治療が必要になることもあります。

子供の誤嚥は大人が思いもよらないものや場所、きっかけで生じることがあります。
食後や目をはなした後に、

  • 喉をしきりに気にする
  • むせ込むような咳が続く
  • 息苦しい様子である
  • 食欲がなくなる
  • 顔色が悪い

などの変化がある場合には速やかに病院を受診するようにしましょう。

誤嚥性肺炎の症状

誤嚥性肺炎を発症した場合、現れてくる症状はさまざまです。咳や熱、痰などが頻出するといった一般的な肺炎の症状もありますが、やっかいなのは症状がわかりにくいケースです。

とくに高齢者の場合、炎症に対する反応が鈍く表に現れにくいため「なんとなく体がだるい」「食事にかかる時間が普段より長い」「喉がごろごろし、痰がいつもより濃い」等、非常にわかりにくい兆候しか出てこないことがあります。

よほど注意していないと肺炎を疑うことができないため、治療までに時間を要し気づいた時には悪化してしまうという可能性があります。

誤嚥性肺炎の治療法

誤嚥性肺炎の治療には、通常の肺炎と同様に嫌気性菌対応の抗生物質が使われます。症状が進行し、呼吸に問題がある場合は酸素吸入や人工呼吸器で呼吸をサポートする場合もあるでしょう。また、脳血管障害による嚥下障害が発症原因の場合は、脳血管障害を治療する薬が同時に処方されることもあります。

誤嚥性肺炎は治療だけでなく予防も大切であり、普段から誤嚥を防ぐ姿勢や食べ方を心がけるだけでも効果的です。さらに誤嚥が起きたときに備えて入れ歯洗浄を定期的に行い、歯科に通って歯周病を治療するなど口腔内環境を良くしておくことも大切です。とくに要介護状態でベッド上で食事をしている場合は、介護者が正しい介助方法を身につけ、誤嚥を防ぐよう心がけましょう。

おわりに:口腔環境を清潔にし、未然に誤嚥性肺炎を予防しよう

高齢者の場合、加齢に伴い免疫力が低下するため、誤嚥性肺炎の発症リスクは自然と上がります。しかし、普段から入れ歯をこまめに洗浄する、定期的に歯科検診へ通う、など口腔内をキレイに保つことで、ある程度発症リスクを減らすことができるとも考えられています。まずは予防が大切なので、できるところからケアを始めていきましょう。

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