潰瘍性大腸炎の治療の目的とは?どんな治療法があるの?

2017/10/10 記事改定日: 2018/10/9
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

近年患者数が増加傾向にある「潰瘍性大腸炎」。指定難病にも定められており、治療は非常に困難なイメージがありますが、いったいどのような治療が行われるのでしょうか?
この記事では、潰瘍性大腸炎の治療の目的と治療方法について解説しています。

潰瘍性大腸炎の治療の目的とは!?

残念ながら、潰瘍性大腸炎は発症原因がはっきりわかっていない難病であり、現時点で潰瘍性大腸炎を根本的に治癒するための治療法は確立されていません。

このため、潰瘍性大腸炎の治療の目的は、症状のない寛解期の状態をいかに長く安定して維持できるか、という点に絞られます。医師の指示通りの服薬を続けていれば、長く寛解期を維持することが可能であり、特別な制限のない通常の生活を送ることが可能です。

中には、数年にわたる寛解期で症状がないからといって自己判断で服薬を中止してしまう人もいますが、結果として再燃を繰り返すことになりますので、必ず服薬を続けるようにしましょう。

症状の再燃と寛解

潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に潰瘍が発生し、持続的な下痢や血便、腹痛などの症状が現れる炎症性疾患です。潰瘍性大腸炎には、炎症が活発化して上記のような症状が現れる「活動期」と、症状が落ち着いて問題なく日常生活が送れる「寛解期」があり、患者さんの多くは「寛解」と「再燃」(症状が悪化した状態)を繰り返す傾向にあります。

潰瘍性大腸炎の内科的治療(薬物療法)

現段階では、潰瘍性大腸炎を完治させる内科的治療はありません。ただ、大腸粘膜の炎症を抑えるのに有効な薬物療法は存在しているため、この投薬を通じていかに症状を緩和し、「寛解」状態をキープするかが治療上のポイントとなります。一般的に処方される薬の種類は以下のとおりです。

5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)
サラゾスルファピリジンやメサラジンがこれに該当します。大腸粘膜の炎症を抑え、下痢や下血、腹痛などの症状を緩和し、再燃を予防する効果があります。軽度~中等度の潰瘍性大腸炎に有効で、錠剤タイプと坐剤タイプとがあります。
副腎皮質ステロイド薬
プレドニゾロンがこれに該当します。中等度~重度の患者さんに処方される薬で、炎症を抑える効果はかなり強いですが、再燃を予防する効果は認められていません。錠剤タイプと坐剤タイプ、注射薬タイプがあります。
免疫調節薬や抑制薬
アザチオプリンやタクロリムスがこれに該当します。前者はステロイド薬の投与を中止すると症状が悪化してしまう患者さんに、後者はステロイド薬が無効の患者さんにそれぞれ有効です。
抗TNFα受容体拮抗薬
インフリキシマブやアダリムマブなどの注射薬が使用されます。一定の効果が得られた場合は、前者は8週ごとの点滴投与、後者では2週ごとの皮下投与がそれぞれ行われます。

潰瘍性大腸炎の外科的治療

潰瘍性大腸炎に対しては薬物療法が実施されるのが一般的ですが、薬物療法で効果が得られない重症の患者さんや、副作用などで内科的治療が行えない場合、大腸からの大量出血や穿孔がみられる場合や癌の疑いがある場合には、大腸全摘術の外科手術が行われることがあります。

大腸全摘術においては、以前は小腸に人工肛門をつくる手術が行われていましたが、近年では回腸嚢(小腸で便をためる袋)をつくって肛門につなぐ手術が主流となっています。

日常生活で気をつけること

潰瘍性大腸炎は過労やストレスによって再燃するケースも少なくないため、「規則正しく就寝・起床し、十分な睡眠をとる」「趣味や自分の時間を確保して、ストレスを発散する」といったことを心がけることが大切です。食事(カフェイン飲料の摂取など)や運動に関しては、寛解期かつ適量であれば特に制限はありません。

おわりに:治療の目的は再発を防ぎ症状をコントロールすること。医師の指示通り気長にとりくもう

根治させる治療法が確立していない現段階では、潰瘍性大腸炎に対しては「再発を防ぎ、患者さんが普通の日常生活を送れるように症状をコントロールすること」を目的とした治療が行われます。病気とは長期的な付き合いになるかもしれませんが、患者さん自身も疲れやストレスを溜めない生活を送るよう心がけましょう。

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