変形性膝関節症の原因とメカニズム ― 再発を防ぐことはできる?

2017/10/24 記事改定日: 2018/12/10
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

膝に痛みを感じ、歩くことも辛くなってしまう「変形性膝関節症」。高齢者の方に多い関節症ですが、何が原因で発症するのでしょうか。
この記事では、変形性膝関節症の原因と発症のメカニズム、再発防止の対策について解説していきます。

膝が痛くなる原因

膝が痛くなる原因にはいろいろありますが、多いのは加齢や運動に伴うものです。

立っているだけでも片方の膝には体重の1.1倍、階段の上り下りは体重の3.5倍もの負荷がかかっています。これだけの負荷が何十年とかかるのですから、軟骨がすり減ってくるのも無理のない事かもしれません。

肥満も膝の痛みの原因となります。体重が重いとその分、膝にかかる負担は大きくなるからです。そのほか、運動不足も膝の痛みを招きます。膝はハムストリングスという大きな筋肉に支えられていますが、運動不足によってこの筋肉が衰えると、膝に衝撃がかかりやすくなり、膝の痛みを引き起こしてしまうことがあるのです。

また、スポーツなどで過去に膝にケガを負った人やO脚やX脚の人も膝が痛くなりやすい傾向にあります。その他、関節リウマチや、痛風、偽痛風、腸脛靭帯炎、膠原病による関節痛など、病気が原因で膝が痛くなることがあります。

膝の痛みの原因で多いのは、変形性膝関節症?

膝が痛くなる原因で最も多いのは変形性膝関節症です。日本で変形性膝関節症の人は、予備群も含めると、男性で約860万人、女性で約1670万人、合計約2530万人もいるといわれています。特に中高年に多く、50歳以上では2人に1人くらいの割合になっています。変形性膝関節症の場合は、動き始めが痛い、正座がつらい、といった特徴があります。

関節リウマチと変形性膝関節症

変形性膝関節症と鑑別が難しい病気に関節リウマチがあります。関節リウマチは自己免疫疾患の1つで、本来はウイルスなどの外敵を攻撃する免疫システムが、誤って自分自身の体を攻撃することで起きる全身性炎症疾患です。膝や指が痛くなるなどの関節痛以外に、倦怠感や微熱が続くなどの症状が現れます。

関節リウマチでは、起床時の指が動きにくく、こわばるのが特徴です。指のこわばりは更年期障害でも起きますが、関節リウマチの場合は持続時間が長く、30分以上続くという特徴があります。

変形性膝関節症の原因と発症のメカニズム

変形性膝関節症の主な原因は、加齢によって骨同士の摩耗や衝撃を防ぐための関節軟骨が変性することです。関節軟骨は水分を多く含み弾力性のある組織ですが、年齢を重ねるごとに水分量が減って弾力性が失われます。その結果、大腿骨と脛骨の摩擦が生じやすくなり、関節を包む滑膜に炎症を引き起こすのです。

ほかにも、肥満、激しいスポーツ、O脚、大腿四頭筋を始めとする膝周囲の筋力低下によって膝関節への過剰な負荷がかかることが原因で発症することもあります。
また、膝周囲の外傷が原因になることも少なくありません。

変形性膝関節症は、治療できる?

変形性膝関節症の治療は、運動療法が基本です。

痛いからといって動かさないでいると、膝を支える筋力が低下して膝への負担が増え、ますます痛みが強くなり、動かないから痛い、痛いから動かないという悪循環に陥ってしまいます。多少痛くても運動をすると、筋力がアップすることで膝への負担が軽減し、痛みが改善して膝も動きやすくなります。このため、痛くても無理のない範囲で体を動かすことが大切です。

なお、痛みを和らげるために、非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンなどによる薬物療法や、温熱療法が実施されることもあります。

また、症状によっては手術が推奨されることもあります。手術では、関節鏡を使って関節の間に挟まった軟骨のかけらを除去したり、O脚で変形や痛みが強い場合は、すねの骨を切って関節の角度を整える、骨切り術という手術が行われることもあります。
変形がひどく関節の損傷が激しい場合は、人工膝関節の留置が検討されます。

再発を予防するためには、どう対処すればいい?

変形性膝関節症の再発や悪化を防ぐには、膝への負担を軽減するため、大腿四頭筋などの膝周りの筋肉を鍛えることが大切です。また、歩行時に膝関節の外側に負荷がかからないような歩き方を心がけ、必要に応じて足底板や膝装具を装着するようにしましょう。

しかし、これらの対策を行っても再発を繰り返したり、膝関節が大きく変形して日常生活に支障がある場合には、人工関節置換術などの根本的な治療を検討する必要がありますので、担当医に相談してみましょう。

おわりに:日頃からの継続的な運動が、変形性膝関節症の改善へとつながる

変形性膝関節症の方は、膝が痛いために運動を避ける傾向にありますが、そうすると筋力が低下して膝の負担が増え、ますます痛みが悪化してしまうことになります。
重症度によってとるべき処置は多少異なりますが、基本的には日頃から積極的に足を動かすようにしましょう。

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