糖尿病で頻尿の症状が出るのはなぜ? 改善方法は?

2017/11/10 記事改定日: 2019/2/22
記事改定回数:3回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

糖尿病の代表的な症状のひとつに頻尿があります。頻尿は頻繁にお手洗いに行きたくなる症状ですが、糖尿病になるとなぜこのような症状があらわれるのでしょうか。この記事では、糖尿病と頻尿の関係性と頻尿の改善方法について解説しています。
最近血糖値が気になる、最近お手洗いが近くなった気がするという方は、ぜひ参考にしてください。

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糖尿病で頻尿になってしまう原因とは?

糖尿病の症状のひとつに頻尿があります。

血糖値が慢性的に高くなると、腎臓でのブドウ糖の再吸収が間に合わずに、糖が尿中に排出されてしまい、尿の浸透圧が高くなり尿量が増えます。
この影響で体が水分を欲するようになり、異常にのどが乾くようになります。
その結果、たくさんの水を飲むようになるのです。
また、糖尿病による神経障害(糖尿病神経障害)も頻尿を引き起こす原因になります。

頻尿だけでなく多尿(尿の量が多すぎる状態)になってしまうことも、トイレの回数が増えてしまう原因といえるでしょう。

糖尿病神経障害が頻尿を起こす理由

糖尿病神経障害とは、糖尿病網膜症、糖尿病腎症と並ぶ糖尿病の3大合併症と呼ばれるものです。糖尿病神経障害は、末梢神経(運動神経、感覚神経、自律神経)に障害を与えるもので、最初は手足の先の感覚神経に痛みやしびれといった症状であらわれることが多いです。

その後、運動神経に影響を及ぼすと、筋肉を縮めたり、足を変形させたりすることもあります。また、自律神経に影響が及ぶと、頻尿や多尿といった排尿障害だけでなく、便秘や下痢、立ちくらみといった症状が出てきます。

本来、膀胱にある程度の量の尿がたまると、神経から大脳に尿がたまったことが伝えられて尿意をもよおします。その際、大脳は、トイレに行くまでは尿を出さないように、という指令を出し、膀胱や骨盤内筋もそれに合わせて尿がでないように働きます。しかし、糖尿病神経障害によって神経に影響が及ぶと、排尿をコントロールする末梢神経に影響が及び、神経因性膀胱になって夜間頻尿になる可能性もあります。

どうすれば糖尿病の頻尿を改善できる?

糖尿病が原因の頻尿を改善するためには、まず根本の原因である糖尿病を治療することが必要です。糖尿病を完治させることはできませんが、血糖値をコントロールして症状を抑えたり、進行を遅らせることは可能です。医師に相談しながら、自分にあった適切な治療を続けていきましょう。

また、ストレスや肥満、運動不足や暴飲暴食などは糖尿病悪化につながります。生活習慣を見直し、規則正しい生活を送るように心がけてください。

そして、水分補給をするときは利尿作用のあるカフェインの入ったものや、糖分を含んだ飲み物(清涼飲料水、砂糖入りのコーヒー、紅茶など)は血糖値上昇につながるので避けましょう。飲み物、食べ物については医師から指導があるはずです。必ず従うようにしましょう。

頻尿は糖尿病以外のことが原因のことも。自己判断は危険

糖尿病の症状として、頻尿が見られることはよくありますが、糖尿病の人が頻尿になったからといって必ずしも糖尿病が原因でないこともあります。

糖尿病による頻尿は末梢神経障害による神経因性膀胱ですが、膀胱炎や尿道炎など排尿に関わる器官の炎症や、膀胱内の腫瘍や結石、前立腺肥大症、骨盤底筋の脆弱化などが原因の頻尿も起こり得ます。
頻尿が続いている場合は、軽くかんがえずに担当医に相談し、治療の必要があるものかを調べるようにしましょう。

おわりに:糖尿病の頻尿を改善するには、糖尿病の治療をきちんと続けることが大切

頻尿は糖尿病の主な症状のひとつです。改善するためには糖尿病の治療を続けて血糖値をコントロールすることがとても重要になります。主治医と相談しながら自分に合う治療を続け、頻尿を改善していきましょう

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