記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
あらゆる身体のパーツの中で、もっとも捻挫しやすい部分は足首といわれています。今回はこの足首の捻挫・「足関節捻挫」について、具体的な症状や原因、治療法、そして後遺症のリスクなど、幅広い情報をお伝えしていきます。
足首に起こる捻挫の多くは、足関節を内側に捻ってしまうことで発症します。この足首に起こる捻挫は、足関節捻挫と呼ばれます。
足関節捻挫は、足首に強い衝撃が加えられることで、関節が可動範囲を超えて急激に動かされてしまい、足関節を支えている関節包やじん帯が損傷することで激しい痛みや腫れが生じます。じん帯などの損傷度合いによって痛みの出方も違ってきますが、損傷がひどい場合は、痛みも激しく患部の腫れも大きくなり、内出血も悪化するなどして、歩くこともままならないほどの状態になることもあります。
初期の応急処置が不十分な場合、慢性化して再発しやすくなったり、変形性足関節症を起こしてしまうこともあります。
身体の部位で最も捻挫を起こしやすいのが足首と言われ、特に激しいスポーツを行う人は、足関節捻挫を発症してしまうリスクが高いという面があります。また、運動習慣がなかったり運動不足だったりする人でも、階段の昇り降りや、道路の段差などを踏み外した折、とっさのリカバリー動作が上手く行かず、足首を無理な方向にねじって足関節捻挫を起こしてしまうこともあります。
ふだん転びやすいなど歩行に不安がある人は、階段では手すりを利用したり、段差の多い箇所では細心の注意を払うことで、足関節捻挫をはじめとするケガのリスクを軽減させることができます。激しいスポーツを行う人は、あらかじめサポーターなどで足首を保護しておくことで、発症予防に繋げられます。
足関節捻挫の治療は、まず発症直後に適切な応急処置を行うことが肝心となります。足首に限らず、捻挫や打撲などは直後から「RICE処置」と呼ばれる応急の手当てを行います。安静にする「Rest」、患部を冷やす「Ice」、適度に圧迫を加えて固定する「Compression」、患部の内出血を抑えるため、心臓よりも高い位置に上げる挙上の「Elevation」というそれぞれの頭文字を取った処置で、それらを速やかに実行します。
RICE処置によって痛みが徐々に引き、治癒してきた感覚があってもしばらくはテーピングやサポーターなどで固定して、安静にすることが大切です。初期は冷やし、治ってきた段階で優しくマッサージをして患部の血行を良くして自然治癒を促します。痛みが引かなかったり、腫れが治まらない場合は骨折している恐れもありますので、整形外科を受診して検査を受ける必要があります。
足首の捻挫は、症状が軽い場合は初期の適切な応急処置と、その後の安静によって少しずつ快癒していきますが、じん帯が激しく損傷し内出血などもひどい場合、応急処置だけでは自然治癒が難しく、いったん治った後も足首に違和感が残ってしまうこともあります。またその後、少し捻っただけでも同じ個所に痛みが出やすくなるなど、慢性化する恐れもあります。
痛みが強かったり腫れがなかなか引かない場合は、医療機関を受診して検査を受け、ギプスや装具で固定したり、場合によっては損傷したじん帯を手術によって再建するなどの治療を受けます。手術を望まない場合は、治癒後も患部をサポーターやテーピングによって保護し続けて、安静の状態を保つことが大切です。
激しいスポーツをしている方だけでなく、運動習慣のない方も、ちょっとした拍子に発症する恐れのある足関節捻挫。もし足首を捻挫したと思ったら、ご紹介したRICE処置をすぐに行った後、病院を受診するようにしてください。