記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/10 記事改定日: 2018/6/18
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
嘔吐は脳内の嘔吐中枢が刺激されたことがきっかけで、胃の内容物を口から吐き出してしまうことです。ストレスや疲れなどが原因のこともありますが、食中毒や急性虫垂炎(盲腸)、腸閉塞などの消化器官の病気や、脳出血やくも膜下出血などの深刻な病気が原因になることもあります。
この記事では、嘔吐の原因と対処法について解説しています。
嘔吐(おうと)とは、胃の内容物を吐いてしまうことです。脳内の嘔吐中枢が何らかの要因で刺激されることで起こります。
多くの場合、胃の中に異物や刺激物、毒物などが入ったときにそれを吐き出す防御反応として起こります。
そのほかにも
が原因になることもあり、中には深刻な病気が原因になっていることもあります。
では、嘔吐を伴う病気とはどのようなものがあるのでしょうか。その一部をご紹介します。
腐った食品や、きのこ・海外の生水・ふぐなど毒性のある食品を食べたときに発症します。カキやシジミなどの魚介類に生息するノロウイルス、生肉などに生息するO157(病原性大腸菌)などが有名です。
食べ過ぎ・飲み過ぎやストレス、アレルギー、ウイルス感染などが原因で胃の粘膜が炎症を起こすことを急性胃炎といいます。みぞおちのキリキリした痛みに加え、ひどい場合は嘔吐のほか、吐血や下血を伴うこともありますが、2~3日安静にしていれば落ち着くことがほとんどです。
何らかの原因で腸がつまり、そこから先に腸の内容物が運ばれないことで起こります。強い腹痛やおなかの張り、吐き気や嘔吐が特徴的な症状です。ひどく吐いていて便が出なければ、腸閉塞の可能性が高いと考えられるでしょう。
このほかにも、急性虫垂炎(盲腸)、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、急性肝炎、急性腹膜炎、胆のう結石、膵炎、メニエール病、くも膜下出血、脳出血なども嘔吐を伴う病気として知られています。
激しい嘔吐を繰り返すと食道に圧が加わり、食道と胃の中間付近の粘膜が破れて出血する「マロリーワイス症候群」を発症するリスクもあります。適切に対処して安静にすることが大切です。
嘔吐はありふれた症状の一つですが、繰り返される嘔吐は脱水症状を引き起こして小児や高齢者では非常に危険な状態となることがあります。
また、何らかの重篤な病気が嘔吐を引き起こしている可能性もあり、決して看過できる症状ではないのです。
特に、嘔吐を繰り返すものの、十分な食事や水分が摂れず、尿の出が悪く尿が濃くなっている場合は脱水症の可能性が高いので速やかに病院を受診しましょう。
また、激しい腹痛や頭痛、意識障害を伴うような嘔吐は腸閉塞や脳出血など脳の病気である可能性がありますので、このような場合にはできるだけ早めに適切な処置を行う必要があります。救急車を要請するにはためらいがある人もいると思いますが、一刻も早い受診のためには救急車を要請することも必要な場合があることを覚えておきましょう。
嘔吐の原因の多くは胃腸への負担です。日頃から食べ過ぎや飲みすぎに注意することが大切です。また、食品の鮮度や生水に注意するのに加えて、調理器具を清潔に保つようにしましょう。その他、自律神経の乱れが胃腸の不調を引き起こすことも少なくありません。日頃からストレスを溜めないようにするとともに、音楽やスポーツなど自分なりのストレス解消法を持っておくといいでしょう。
多くの嘔吐は防御反応として起こるため、適切な対処をとれば時間とともに治まります。ただしご紹介した通り、内臓や脳などの病気が原因の可能性もあります。
ときには命に関わる重大な病気が原因になっていることもあるため、疑わしいときは早めに病院へ行くようにしましょう。