記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/14 記事改定日: 2018/12/10
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
関節炎は放置していると症状が深刻になる可能性もある病気です。関節炎にはケガなどのように原因がはっきりしているものや関節リウマチのように自分では原因がわからないものまで様々な種類があります。
この記事では、関節炎の種類やそれぞれの治療法についてご紹介します。
関節炎とは関節に炎症が生じる病気です。
関節に痛みが出たり、腫れたりするのが主な症状ですが、進行すると発熱したり、細菌に感染したりという深刻な症状が出ることもあります。
関節炎の原因は部位などによって異なります。例えば、膝の関節炎は、膝の骨を包む軟骨(関節軟骨)がすり減ることで炎症や腫れが起こりやすくなります。
関節炎は、一般的には年齢を重ねた人がかかりやすい病気であり、スポーツなどで大きな負荷がかかったことが原因になったり、ケガなどで細菌が関節に入り込むことで炎症を起こす関節炎もあります。
まれにではありますが、海外旅行の際に虫を媒体とした感染症にかかった人が関節炎を発症することもあります。
関節炎は、原因によって以下のような種類に分けることができます。
細菌性関節炎は主に細菌の感染によって発症する関節炎です。主な原因微生物は黄色ブドウ球菌(細菌)ですが、他にも肺炎球菌や連鎖球菌による症例もあり、まれにウイルスや真菌の感染が原因になることもあります。
乾癬とは皮膚の病気であり、体に白っぽい皮膚の粉を伴った赤い斑点ができる病気です。乾癬の大きさや数、発症する場所は人によって様々であり、特に刺激を受けやすい箇所やこすれる箇所に現れます。
乾癬性関節炎は、乾癬がある人が発症する関節炎です。関節炎が起こるのは主に手の指で、腫れと痛みの症状が現れます。指以外にも、手首や足首、膝などに見られることもあります。
変形性関節炎とは、関節をスムーズに動かす役割を担う関節軟骨がすり減っていくことで炎症が起こり、痛みやこわばり、動かしにくいなどの症状が現れる病気です。
主に加齢よって起こり、他にもスポーツなどで酷使したり、過去のケガなどの影響で変形性関節炎を引き起こすこともあります。変形性関節炎は、肩、肘、膝、股関節に起こりやすく、だるい、重いといった症状から、歩いているときや立ち上がるときに痛みを感じるなど、人によって痛み方が異なります。
関節炎は主に一つの箇所に起こることが多いですが、体のあちらこちらに痛みやこわばりを感じる場合、関節リウマチの可能性も考えられます。
関節リウマチとは、何かの原因で体内の免疫機能に異常が起こることで発症する病気です。免疫機能に異常が起こると、体は自分が作りだした成分でも異物と判断して攻撃をしてしまいます。この攻撃が関節の腫れや痛みを作り出し、ひどいときには関節が変形や骨の破壊が起こります。
関節リウマチの特徴は、おおむね体の左右対称に痛みが生じることです。発症の原因はまだ判明されていません。
関節炎はそれぞれ種類によって治療法が異なります。
細菌性関節炎の治療は、関節の中にいる細菌を洗浄する手術や、抗生物質を体内に入れて細菌を殺す治療などがあります。細菌性関節炎は早期治療で完治が可能です。
乾癬性関節炎は、皮膚の湿疹と関節の炎症の両方に効果がある非ステロイド剤などの薬剤を投与するのが有効的と考えられています。非ステロイド剤での効果が充分に見られない場合は、関節リウマチの治療に使われる「生物学的製剤」という治療薬を用いる場合もあります。
変形性関節炎の治療は、病状によって異なります。この病気で多く用いられるのが、保存的治療です。これには、炎症を抑える鎮痛剤の投与や塗布、関節内への薬剤の注射、サポーターの装備、サプリンメントの服用、運動療法などが含まれます。骨が変形するなどのひどい症状が見られた場合、人工関節置換術などが検討されます。
関節リウマチの治療は、病気の進行を抑えること、痛みなどの症状を改善すること、関節の破壊や変形を防ぐことが主な目的になります。
治療は薬物療法が行われます。病気の進行を抑えるには、メトトレキサートなどの免疫抑制剤や抗TNF製剤などの生物学的製剤が使用されますが、早期の段階で治療を開始すれば病気の進行をある程度は止めることが可能です。
また、痛みを緩和し、関節内の炎症を抑えて破壊や変形を防ぐには鎮痛薬やステロイド薬が使用されます。
また、病気が進行して関節の変形が著しく、日常生活に支障を来たしているような場合には手術によって関節の変形を修復する治療が行われることも少なくありません。
関節炎を何度も繰り返す場合には、「回帰性リウマチ」の可能性があります。
回帰性リウマチは関節に腫れや発赤、熱感を伴う強い痛みが生じる発作が現れ、一週間程度で改善し、数日~数か月の無症状期を経て再び発作が生じるといった状態が続きます。
自然に治ることもありますが、半数近くは関節リウマチや他の自己免疫疾患に移行することが知られており、注意が必要な病気です。
はっきりとした発症原因は解明されていませんが、20~50代の幅広い年代で好発し、家族性があるとされています。
長い時間同じ体勢でいたときや朝起きたときなどに手指や膝に痛みやこわばりを感じたら、関節になんらかの炎症が起きている可能性があります。
症状が頻繁に、そして長く続く場合は、一度病院に相談するようにしましょう。また、このような症状ではなくでも、関節に何らかの異常を感じる場合は、原因の特定が必要です。軽い症状であっても病院で検査してもらうようにしてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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