記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/5/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
メンタルヘルスとは、最近企業の間でよく聞かれる言葉です。企業の中で心の病によって休業、あるいは退職する社員が増加していることから、企業内でのメンタルヘルスケアの重要性が認知されてきました。メンタルヘルスとはいったいどのようなものなのか、詳しくご紹介します。
メンタルヘルスとは、心の病気になるのを防ぐため、自己や他者の力を借りて管理することを言います。心の病気にかかった人はもちろん、その周囲にいる家族や友人、会社の上司や同僚たちも、メンタルヘルスのことを知っておくことで、心の病気を理解することができるようになります。
企業でもメンタルヘルスという言葉が多く聞かれるようになりましたが、これは職場で起こるさまざまなストレスにより心の病気を発症し、休職・退職する社員が増えてきたことも関係しているでしょう。社員が休職・退職をすると、残された社員への負担が大きくなりますし、休職者・退職者から訴訟を起こされた事例もあり、会社のイメージや経営にも関わる場合があります。
ストレスへの対策を、個人の「気の持ちよう」と断定するのではなく、本人がストレスに気付き、自分自身で対処できるようにすることが、企業におけるメンタルヘルスの目的です。企業でメンタルヘルスを取り入れて心の病気を理解し、上手に付き合う方法や病気にならないための自己管理方法、周りが支え合うことの大切さなどを学ぶことで、上記のトラブルを回避できる可能性があります。
企業では、本人以外にも上司が労働環境を整備したり、職場の人間関係を整えたりする努力も必要になります。厚生労働省では、平成12年に『事業場における労働者の心の健康づくりのための指針』を発表し、セルフケア、管理者や監督が行うケア、産業医などによるケア、そして医療機関によるケアを整備することを企業へ推進をしています。
企業内で実施が推奨されているケアとして、おもに以下の4つが挙げられます。
労働者が正しいセルフケアを行うことができるよう、メンタルケアに関する教育研修や事務所での方針、相談先などの情報提供を行います。また、労働者のセルフケアをすすめるため、専門家の相談日を設けることや事業所内で相談専用窓口を作るなどの体制を整えたり、定期的に全労働者を対象としたストレスチェックテストを行い、社員のメンタルヘルスの状態を把握することも大切です。
職場では、職場環境を改善するため労働者の職場に対する意見の収集や評価を定期的に行い、事業所の責任者はその意見をもとに労働者が働きやすい環境を整える努力を必要とします。また、無理な労働を強いられている労働者がいないかを把握するため、各部署に労働状況をチェックする責任者を配置することもすすめられています。これらの責任者に対するメンタルケアの教育研修も重要な課題になります。
事業所にはその規模によって産業医・衛生管理者・保健師などの配置が定められています。これらの専門スタッフは心の健康づくりを行ううえで非常に大切な働きをします。医学や健康に関する専門知識を持ったこれらのスタッフが労働者の相談を受けたり、休みの多い労働者と面接を行ったりすることで、メンタルヘルスの異変を早期に把握することができます。また、これらの専門スタッフの意見を採用し、職場環境の改善や労働者配置に配慮するスタッフも必要になります。
事業所内のスタッフや教育研修などだけで解決できない場合には、事業所外の専門機関を利用することがすすめられています。中小規模の事業所では、地域産業保健センター・中央労働災害防止協会などを利用して労働者のメンタルケアを行う場合が多いといわれています。
厚生労働省が平成29年に調査した企業のメンタルヘルス対策に関する調査によると、「メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所」の割合は56.6%でした。取り組み内容としては、労働者に対してストレス状況についての調査をしたことが最も多く、他にはメンタルヘルス対策の研修を行ったり、相談体制を整えたりもしています。ただ、約半数の企業がメンタルヘルスについての動きをしている中、半数はまだ取り組みがないのは、以下のように、メンタルヘルスを行うことにはメリットだけではなくデメリットも存在していることが関係していると考えられています。
企業がメンタルヘルスを学び、実践することのメリットは、休職や退職する社員が出ることによって、社内がうまく回らなくなるというリスクを回避すること、社員が身体共に健康に働けることによって生産性が上がるという点があります。
メンタルヘルスが約半数の企業に浸透しない理由のひとつとして、具体的な取り組みが分からないということが挙げられます。休職者の職場復帰への対応が難しい点は、特に大きなデメリットといえるでしょう。例として、厚生労働省が示す『事業場における労働者の心の健康づくりのための指針』の4つのケアのうち、産業医などによるケア、そして医療機関によるケアがありますが、休職している労働者が職場復帰をする際、産業医と労働者のかかりつけ医との間で患者に対しての情報共有が不十分な場合があります。そのため職場復帰に対して会社が十分な情報を得られないことや、適切な支援策を行えないことが発生すると、復帰をしても再び休職してしまうということも考えられます。
メンタルヘルスに取り組む現代の企業は年々増加傾向にあります。メンタルヘルスを学ぶことは、自分自身や周りの人が心の病気を正しく理解し、サポートできるというメリットがあります。企業だけではなく、家族などの小さなコミュニティーの中でも、メンタルヘルスを知ることは心の病気を理解するために役立つ可能性があります。
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