種子骨障害(種子骨炎)の痛みの特徴と対処法とは?

2017/11/6 記事改定日: 2020/8/3
記事改定回数:4回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

種子骨とは、他の骨に連結していない「種(たね)」のような骨です。足の種子骨は、歩いているときや運動しているとき、特定の靴を履いたときなどに痛みを引き起こすことがあります。この記事では種子骨障害(種子骨炎)について詳しく解説しています。

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種子骨障害(種子骨炎)とは

種子骨は手のひらに5個、足の裏に2~5個あり、以下のような特徴があります。

種子骨とは
  • 手や足の関節付近にある靭帯や腱の中にある、種のような形をした小さい骨
  • 筋肉や腱がスムーズに動くのを助ける働きがある

このうち、足裏の親指の付け根から親指につながる部分(第1足骨頭)にある種子骨がなんらかの原因で痛むことを種子骨障害(種子骨炎)と呼んでいます。

種子骨炎になっても、症状が軽いうちは長時間歩いたときやハイヒールを履いたときだけ痛み程度で治まりますが、重症になると常に痛むようになり、日常生活に影響が及ぶことがあります。

種子骨炎になりやすい人

種子骨炎は、陸上競技やバスケットボールなど、走ることが多いスポーツをする人に多くみられます。また、空手や剣道といった踏み込む動作が多いスポーツをする人やバレエダンサー、野球のキャッチャーなどにもみられることがあります。

年齢的には、小学生~中学生に多く発生し、大学生以上になると減少することが多いようです。

種子骨炎の原因とメカニズムは?

種子骨の周りには、筋肉や腱が集まっています。ランニングなどで地面を蹴り出すと、足底筋が緊張するため、引っ張る力が種子骨に加わります。この力による負担の蓄積で種子骨に炎症が起こし、痛みがあらわれるのです。

また、踏み込む動作を繰り返すことも、地面からの衝撃が種子骨に蓄積していくため種子骨炎の原因になり、種子骨の骨折や骨壊死が引き起こされることもあります。

そのほか、先天的に内側の種子骨が2つに分裂している(分裂種子骨)こともあり、これが痛みの原因となっているケースもあります。

スポーツをしていない人も注意

種子骨炎は、冒頭で述べたスポーツ選手だけでなく、ハイヒールを履く機会が多い人や、土踏まずがしっかりしすぎている甲高の足(ハイアーチ)の人もなりやすいです。また、足の親指の付け根の関節が突き出ているような症状(バニオン)がある人に、種子骨障害がみられることが多いことも報告されています。

種子骨炎の症状は?悪化するのはどんなとき?

種子骨障害の痛みは、足の親指の付け根(第1中足趾節関節)の下にあらわれることが多く、歩いたり、走ったり、踏み込んだりしたときに痛みを感じることが多いといわれています。症状は歩くことで悪化し、ひどくなると着地するだけで痛みが出るようになります。

また、患部が炎症によって熱をもったり、腫れたりすることや、親指が赤くなったりするケースもあります

底が薄くて柔らかい靴や、かかとの高い靴を履いていると症状が悪化しやすいので注意しましょう。

種子骨炎は治療できるの?

セルフケアの方法

痛みが強いときは、痛みの原因につながる活動を控え、足を休めましょう。また、痛みを引き起こすような靴を履かないことも大切です。足に合うサイズや形の靴を選び、必要に応じて微調整するようにしてください。

また、足底筋が硬くなっているときは、柔軟性を取り戻すリハビリに取り組むのもおすすめです。あわせて、臀部筋・体幹筋を鍛えて体を支える力を強化すると、足裏の親指の付け根にかかる負担を減らすことができます。

病院での治療

セルフケア(保存療法)で改善がみられない場合、手術で内側の種子骨を摘出することが検討されることもあります。ただ、まずは非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を内服したり、ステロイドと麻酔薬の混合液を患部に注射して痛みを軽減したりする治療から始められることが多いと言われています。

手術が必要になることもある?

種子骨炎や種子コツ障害などは基本的に患部を安静にし、鎮痛剤などを服用することで自然と改善していきます。しかし、これらのセルフケアを行っても症状が改善しない場合や発症を繰り返す場合は原因となる種子骨を取り除く手術が必要になることもります。

手術は関節鏡などを用いて侵襲性を抑えられた方法で行われることが多く、術後は一定期間患部を安静にすれば骨を取り除いたとしても日常生活に支障を来すことはほとんどありません。

靴や足底板(インソール)で種子骨炎を防げる?

種子骨障害の原因ははっきりしていないものの、自分の足には大きすぎる靴を履いて「浮き指」になっていることが、発症の原因のひとつとして考えられています。

足に負担をかけないために、小さすぎる靴を選ばないことも大切ですが、大きすぎる靴を選ぶこともおすすめできません。必ず試着して、自分の足に合う靴を選びましょう。また、成長期の子供はすぐ大きくなるから…と、大きめの靴を買うことも控えてください。

靴の変更だけで種子骨の痛みを抑えるのが難しい場合は、インソールを作ってもらいましょう。市販のインソールで改善することもありますが、種子骨の痛みには、オーダーメイドで専用のインソールを作ってもらうのがおすすめです。

インソールを作ってもらうときは、必ず試し履きをして、インソールを入れると痛みが軽減するかを必ず確認してください。また、しばらく使ってみて違和感があったら再調整できるかどうかも確認しておきましょう。

おわりに:特定の靴を履いて痛みが出るときは種子骨炎の可能性があります。病院で診てもらおう

種子骨障害は、ヒールや底が薄い靴、締め付けがきつい靴など、特定の靴を履いたときに痛みを感じるときは、痛みが出ない靴を履くようにしたり、足を休めたりするだけで快方に向かうこともあります。ただ、この症状は歩行で悪化してしまうこともあるので、セルフケアでは改善しない場合は、早めに整形外科を受診して治療してください。

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