記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/13 記事改定日: 2020/8/18
記事改定回数:3回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
人間ドックなどで「肝血管腫」が発見されたことはありませんか?肝血管腫は発生しても自覚症状が乏しく、診断を受けて驚かれる方も多い腫瘍です。この記事では、肝血管腫の治療や症状、がんとの違いなどについて解説していきます。
肝血管腫は、毛細血管の交わりが多いところが肝臓で一部増殖し、腫瘍状に発育してしまった良性の腫瘍です。
腫瘍が良性か悪性かの判断は、発見された時点での肝疾患の有無によって判断されるのが一般的です。腫瘍が2cmほどの大きさであれば、治療はせず、経過観察と定期検診で様子をみます。
肝血管腫の原因ははっきりと分かっていませんが、現状では遺伝によるものという説と、ホルモンの影響という説が有力です。
肝血管腫は親や親類に肝血管腫の病歴がある場合になる可能性が高くなるとされています。親や親類の肝血管腫が必ず遺伝をするというわけではありませんが、定期的に検査を受けることをおすすめします。
ホルモンバランスが乱れることで肝血管腫が大きくなる可能性があるということを指します。特に女性は、出産などでホルモンバランスが乱れる可能性が高いため、発症率が高い傾向にあります。
超音波検査やMRI検査、CT検査の結果、肝血管腫が見つかった場合には、基本的には定期検診で経過観察をしていくのが一般的です。
次のような状態の場合は、治療が必要となることが多いです。
肝血管腫は良性の腫瘍のため、身体に悪影響を与えるものではありませんし、肝血管腫が肝がんになることは非常にまれです。
また、転移をすることはないので、血液やリンパなどにのって腫瘍細胞が他の臓器に影響を及ぼすこともありません。生活習慣を整えながら、定期的に経過観察をすることで、日常生活を通常通りに送ることができます。
肝血管腫は上述した通り、基本的に症状はなく、肝機能障害を引き起こしたりがん化したりすることはまれです。そのため日常生活で特に注意しなければならないことはありません。
しかし、肝血管腫は巨大化すると破裂する危険があります。肝血管腫と診断された場合は、1~2年に一度程度は定期的な検査を受け、肝血管腫の状態を確認するようにしましょう。
また、肝血管腫は血液が止まりにくくなるカサバッハ・メリット症候群と呼ばれる病気の症状であるケースもあります。カサバッハ・メリット症候群の方は医師の指示に従って治療を続けるだけでなく、ケガなどをしないよう十分に注意しましょう。
肝血管腫が大きくなってきた場合には切除手術が必要となります。4cmより大きくなった場合は、何かの衝撃で血管腫が破裂する可能性や、別の病気に発展する可能性があるため、手術が必要となります。
なお、切除手術以外にも、肝動脈塞栓術という方法で、肝臓に流れている血液を止める治療法や、放射線治療を行う場合もあります。
上で述べたように、肝血管腫の多くは定期的な経過観察が必要であるものの、治療の必要がないケースがほとんどです。
しかし、血管腫が多くなったり破裂の危険が考えられるような場合には治療が必要になります。次のような症状は、治療が必要な状態の肝血管腫でよく見られるものです。
健康診断などで肝血管腫が発見され経過観察中の人はこれらの症状が見られた場合はできるだけ早く病院を受診するようにしましょう。
肝血管腫は大きさによって手術方法が異なります。
血管腫の大きさが小さく、重要な血管とつながりを持っていない場合は切除による出血などのリスクも少ないため、腹腔鏡下手術が行われます。
血管腫が大きく、切除することで出血するなどのリスクが予想される場合には、開腹手術によって慎重に切除し、出血に備える必要があります。
術前には、肝機能の状態を調べたり、血管撮影によって血管腫と正常な血管とのつながりを調べる検査などが行われます。
肝血管腫は腫瘍の一種ではありますが、良性腫瘍のため、基本的にはそこまで心配いりません。ただ、一定程度の大きさを超えた場合は手術などの治療が必要になりますので、定期的に病院で経過観察を行うことが大切です。
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