記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/15 記事改定日: 2019/1/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
外耳炎は、かゆみや軽い痛みから始まり、進行すると難聴や耳鳴りなど聴覚に異常をきたすようになります。初期のうちに治療を始めるのが重要ですが、外耳炎の治療はどのように進めていくのでしょうか?
この記事では、外耳炎の治療の注意点に紹介しています。
乱暴な耳かきなど外耳道に傷ができ、そこに細菌や真菌(カビ)などが感染し炎症を起こしてしまうことが外耳炎のおもな原因です。
そのほかにも、アレルギーや乾癬、湿疹などの別の病気が原因になることもあります。
外耳炎は外耳道の表面に炎症を起こっている状態のため痛みやかゆみなどの症状が起こりますが、最初は耳がなんとなく痛む、かゆいような気がする程度の違和感から始まることがほとんどです(まれに就寝できないくらい痛むこともあります)。
その後悪化が進むと、耳だれや耳閉感などがみられるようになり、音がこもって聞こえたり、耳鳴りや難聴など聴覚にも異常をきたすようになります。
さらに悪化すると真菌(カビ)が外耳道に繁殖し外耳道真菌症を合併し、がまんできないほどの強いかゆみを感じるようになります。
外耳炎を治療するには、炎症を起こしている細菌や真菌がこれ以上繁殖しないように清潔を保つ必要があります。耳鼻科で耳垢をしっかりと取り除いてもらい、消毒をしてもらいましょう。
過度の耳掃除や間違った耳掃除は、外耳道を傷つけ炎症をさらに悪化させる恐れがあります。必ず病院でやってもらうようにしてください。
病院での治療は清潔の保持と薬物療法が中心です。症状や重症度によって薬の種類や量、投薬期間は変わってきますが、抗生物質やステロイド剤、痛みなどの症状を抑えるための鎮痛剤が処方されます。
外耳炎は細菌やウイルス、真菌などの感染によるものが多いため、市販薬で根本的に外耳炎を治すものは残念ながらありません。
しかし、痛みが強い場合や発熱を伴う場合には、市販の鎮痛剤や解熱剤などで症状を緩和することができます。ただ、それらの市販薬はあくまで対処的な治療を行っているに過ぎません。
根本的な治癒を目指すには病院で適切な抗生物質などを処方してもらう必要があります。
市販薬を服用しても症状がよくならない場合は、漫然と服用を続けず、3日目を目途にして病院を受診するようにしましょう。
上記でも触れましたが、過度の耳掃除は外耳道を傷つけてしまうリスクがあります。耳かきや綿棒での掃除を日課にしている人はできるだけ触らないようにしましょう。
普段の耳掃除が原因で外耳炎になってしまった可能性もあるので、治癒した後は今までの耳掃除の頻度やスタイルを見直すようにしてください。
また、プールの水で再発するこもあるので、プール入るタイミングに関しては医師に相談するようにしましょう。
外耳炎は再発する可能性の高い病気です。症状が治まっていても、細菌やカビは完全に除去できていない場合もありますので、自己判断で治療をやめてしまうことのないように、医師の指示に従って最後まで治療を行いましょう。
外耳炎の中でも、「悪性外耳道炎」と呼ばれるタイプのものは非常に重篤な病気であり、入院治療が必要になるケースがあります。
悪性外耳道炎は、緑膿菌やMRSAなどの細菌感染が原因になることが多く、炎症が外耳道だけでなく周辺の側頭骨を始めとする頭蓋骨にまで波及する病気です。治療が遅れると脳や神経にまで炎症が波及して、死に至る可能性もあり、救命できたとしても神経障害などの後遺症を遺すことも少なくありません。
治療は抗生物質の投与が基本になりますが、外耳道や脳内に膿瘍を形成しているような場合には手術が必要になることもあります。
糖尿病など免疫力が低下しやすい病気を患っている人が発症しやすいとされていますが、強い耳の痛みや耳垂れ、めまい、耳鳴りなどの症状がある場合は早めに病院を受診するようにしましょう。
外耳炎は軽い症状しか起こらないので、見過ごしてしまい治療が遅れるケースが多いです。ひどいかゆみや聴覚の異常に発展させないためにも、違和感程度の軽い症状に気づいた段階で耳鼻科を受診するようにしましょう。
また、症状が治まっても、原因となる細菌や真菌は除去できていない可能性があります。自己判断で治療を中止するのは危険です。医師の指示に従い、最後まで治療を続けましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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