記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
上腕骨顆上骨折とは、肘にある上腕骨顆上部に起こる骨折のことです。子供が転倒したときなどに起こりやすい骨折であり、骨折した箇所のずれが大きいと麻痺やしびれなどが起こることもあります。上腕骨顆上骨折の治療法や症状など、特徴を解説していくので参考にしてください。
上腕骨とは、肩と肘の間の骨を指します。上腕骨顆上骨折は、上腕骨のうち肘に近い部分に生じる骨折です。鉄棒などの高いところから落ちたり転んだりした際、肘を伸ばしたまま手をついてしまうことで起きやすく、主に3歳〜8歳の子供に多く見られます。
子供の上腕骨顆上部(肘関節の部分)は骨の表面組織が薄く、骨の断面積も小さいため、転倒して手をつくなどの強い力が集中すると折れてしまいやすいのです。子供の肘の骨折の中では過半数を占め、最も頻度の高い骨折といわれています。
上腕骨顆上骨折が起こると、肘関節の部分に激しい痛みと腫れが生じ、痛くて肘を動かすことができなくなってしまいます。受傷から時間が経過し骨折部のずれが大きい場合には、皮下出血により皮膚が青紫色に変色することもあります。
また、上腕骨の近くには神経と血管が走っているため、骨折部のずれが大きいと、神経や血管を損傷して手や指にしびれ・麻痺が生じる場合もあります。
診察では受傷したときの状況を聞き、X線(レントゲン)撮影によって骨折の有無と程度を診断します。治療は、骨折のずれの程度に応じて行われます。
・骨折のずれが小さい場合
ギプス装着による固定を3〜4週間ほど行います。
・骨折のずれが中程度の場合
医師の手によってずれを戻した上でギプスを装着します。必要な場合には入院し、皮膚の上からワイヤーを刺して固定する手術が行われます。
・骨折のずれが重度の場合
皮膚の上からワイヤーを指して固定する手術、もしくは皮膚を切り開いて骨のずれを元に戻す手術が行われます。肘関節の腫れがひどい場合には、入院して牽引(腕を上から吊る)し、腫れが引くのを待つこともあります。
・回復までの期間
骨折のずれが小さい場合は1ヶ月程度で骨は癒合しますが、ずれが大きい場合や骨以外の部分にも損傷が至っている場合には、損傷の程度によって治癒期間が異なります。
ギプスが外れた後は、肘を曲げ伸ばしするリハビリテーションをして回復を目指します。最低限の日常生活動作ができる状態まで改善されれば、あとは日を追うごとに自然に回復していくでしょう。多少曲げ伸ばしに支障が残っても、骨折部が元の位置に戻されて変形がほとんどない状態であれば成長とともに改善されるケースが多いです。
骨折部は、ずれた状態で癒合すると肘関節が変形したり、肘の曲げ伸ばしに制限が生じたりするなどの後遺症が残ってしまう場合があります。子供が転倒、転落した場合には症状に注意し、骨折の心配があればすぐに整形外科もしくは救急外来を受診してください。