心臓神経症の症状の特徴とは?どうやって治療するの?

2017/11/21 記事改定日: 2020/3/16
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

心臓神経症とは、心臓には何にも問題がないのに、胸の痛みや動悸など心臓病のような症状が起こる病気です。これは強い不安から起こる心の病気であり、専門の治療が必要になります。
この記事では心臓神経症の症状の特徴や原因や治療のポイントを解説していきます。

心臓神経症とは

胸の痛み、動悸などの症状があって病院で検査しても、何の異常も見られず、その後も同じような症状を感じることがあります。このような病気のことを心臓神経症と言います。

心臓神経症は心臓病というよりも、どちらかというと心の病気です。
神経質であったり、心臓病に対する不安が原因になることが多く、例えば、周囲の友人などが実際に心臓病となったことで、もしかしたら自分もそうなってしまうのではないかという不安が交感神経を刺激し症状が現れ、さらに不安があおられてしまい、ますます症状がひどくなるというスパイラルを生み出します。

心臓神経症の症状の特徴は?

心臓神経症の症状には、めまいや呼吸困難、動悸、息切れ、胸痛などがあります。
このうち、胸痛は心臓神経症の患者のほとんどが感じている症状です。

狭心症との違い

狭心症でも胸の痛みが起こりますが、狭心症の場合は、胸の奥が痛い、押さえつけられているような症状が現れます。対して心臓神経症の場合は、ズキズキする、チクチクするといった痛みが現れるのが特徴です。

また、狭心症の痛みは複数の場所で痛くなるのに対し、心臓神経症は左胸のごく一部が痛くなり、痛い部分を圧迫すると痛みが強くなるというも特徴もあります。その他、狭心症の胸痛は運動時に起こりやすく、心臓神経症は安静時に起こりやすいという違いもあるようです。

心臓神経症の診断方法は?

胸が痛い、動悸や息切れがするという場合は、まずは心臓病かどうかの確認が必要です。また、心臓以外にも胸膜の病気や内臓のトラブルなどでも似たような症状が起こることもあるので、その他の病気がないかどうかの確認も行います。
上記のような病気がないことが判明した段階で初めて心臓神経症と診断することができます。

狭心症と区別するために、診断時にニトログリセリンを服用して胸痛が改善するかを確認することもあります。

心臓神経症の治療法

心臓神経症の治療は、なぜ心臓神経症になるのか、今起こっている症状を感じているのか、そのメカニズムを知るところからはじまります。

心臓はいたって正常であり何の問題もないことを理解できた段階で、強い不安によって症状が起こっていることを説明され、それでも不安が拭いきれない場合には、精神安定剤とあわせて心臓の働きを抑える薬が処方され様子を見ることになるでしょう。それでも改善が見られない場合は、心療内科、精神科と連携して治療を進めていくことになります。

市販薬で治せる?

心臓神経症は上でも述べたとおり、「心の病気」という性質を持ちます。
このため、治療には抗不安薬や向精神薬などが使用されます。これらの薬は市販されていませんが、気持ちを落ち着かせる効果のある半夏厚朴湯や桂枝加竜骨牡蛎湯などの漢方薬で一定の効果が見られる可能性があります。

ただし、胸の強い痛みが続くとき、吐き気を伴うときなど症状が強いときや別の症状がある場合は心臓や消化器に別の病気が潜んでいることも少なくありません。市販薬で様子を見て受診が遅れると危険なこともあるため、できるだけ早めに病院を受診するようにしましょう。

パニック障害と心臓神経症は、何が違うの?

パニック障害は精神的な変調によって引き起こされる病気です。パニック障害は何らかの不安を感じる出来事に遭遇したり、過去の嫌な出来事を思い出したりすると突然動悸やめまい、発汗など交感神経亢進による症状が引き起こされ、強い動悸などの症状を胸の痛みと感じることもあります。

一方、心臓神経症の痛みは、日常的にストレスや疲れがたまった時などに生じやすいですが、特定の出来事に遭遇した時に突発的に現れるものではなく、安静時や睡眠中に生じることが多いのが特徴です。
また、痛みとともに動悸や息切れ、めまいなどの症状を生じることもありますが、症状の主体は「心臓の痛み」であり、左胸部のごく狭い範囲にズキズキとした痛みが現れることが特徴です。

おわりに:心臓神経症は、心臓自体に問題がない病気。原因となる不安を取り除く必要がある

心臓神経症の症状は、心臓などの臓器の問題で起こっているわけではなく、不安が原因で起こっています。そのため、症状を改善するには原因となる不安を取り除く必要があるのです。

ストレスや過労などを解消することはもちろんですが、ときには薬が必要になることもあるかもしれません。医療チームと協力しながら、自分のペースでじっくりと治療していきましょう。

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