橋本病の増悪原因はストレス?ダイエットで症状が悪化するの?

2017/11/27 記事改定日: 2018/4/10
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

橋本病は自己免疫の異常が原因で甲状腺に炎症が起きる病気で、特に女性の発症リスクが高いとされています。今回の記事では橋本病について、症状や治療法などをご紹介します。
また、症状悪化の原因についても詳しく解説していきます。

橋本病の原因は自己免疫の異常?なんで発症するの?

橋本病は、自己免疫の異常が原因で甲状腺に慢性的に炎症が起きる病気で、慢性甲状腺炎とも呼ばれます。特に女性の発症率が高い病気です。原因となる自己免疫の異常がなぜ起きるのかは明らかになっていません。

橋本病を発症すると、甲状腺が腫れたり、甲状腺ホルモンの分泌異常を起こすことがあります。甲状腺ホルモンは甲状腺から分泌され、体の様々な組織の代謝や機能を調節していますが、このホルモンが不足することで、甲状腺機能低下症を伴う場合があります。

橋本病の症状にはどのようなものがある?

橋本病の症状には、甲状腺の腫れと全身的な症状とに分けられます。

甲状腺の腫れ

橋本病は、甲状腺全体が腫れて大きくなることがあるため、首が太くなったように見えることがあります。腫れ方は、健康な方と変わらない方もいれば、あきらかに分かるくらいの方もいて、表面がゴツゴツしている、硬いゴムのような硬さがある、という特徴があります。バセドウ病も甲状腺が腫れますが、このような腫れ方ではありません。

全身的な症状

甲状腺細胞の性質が変化するため、甲状腺機能低下症を伴う場合があり、これにより全身的な症状が出ます。具体的には新陳代謝が低下することで皮膚が乾燥する、手足がむくむ、全身がだるいなどの症状で、活動的でなくなりますが、全ての方がこの甲状腺機能低下症を発症するわけではありません。機能異常の症状が出るのは約40%の方といわれています。

ストレスやダイエットが原因で症状が悪化するって本当?

橋本病は甲状腺機能が低下するため、代謝が落ちて太りやすくなります。そのために、ダイエットを試みる人も多いといわれています。しかし、激しい運動などのダイエットは自己免疫の働きを更に強めてしまうことがありますので注意が必要です。今までしたことがないような激しい運動は、橋本病を悪化させる原因になり、ときには発症を誘発することもあるので気をつけましょう。

また橋本病の人は、極端な炭水化物ダイエットは控えた方がよいでしょう。橋本病に不足している甲状腺ホルモンは炭水化物から作られていますので、過度な減量はホルモン酸性をさらに低下させることがあります。

つまり、ダイエット自体は体に害にはなりませんが、橋本病の人はダイエット方法に注意が必要ということです。
さらに、最近ではストレスが橋本病を悪化させるとの考え方もあります。様々なストレスは、自己免疫の働きを高めることが知られており、橋本病の症状も悪化させる可能性があるとされています。正確なメカニズムは解明されていませんが、ストレスの少ないリラックスした生活を心がけましょう。

予防はできるの?

橋本病は明確な発症要因がわかっていないため、残念ながら特定の予防法はありません。しかし、橋本病は進行すると無気力や記憶障害などの精神的な問題が生じるだけでなく、肥満や高脂血症を合併しやすくなり、それに伴う動脈硬化によって心筋梗塞や脳卒中などのリスクが上昇します。

橋本病は、適切な治療を行えば、ホルモン量が維持でき、これらの恐ろしい合併症を予防することができます。そのために大切なことは、早期発見と早期治療です。橋本病は甲状腺の痛みなどがなく、症状が分かりづらいですが、いつもと違う体調の変化が見られる時には放置せず早めに病院へ行くようにしましょう。

橋本病の治療方法とは!?

甲状腺機能が正常な場合は治療の必要がありませんが、甲状腺機能の低下があれば、不足分のホルモンを服薬により補充する治療を行います。

なお、甲状腺腫大に対しては基本的に治療の必要がありません。ただし、甲状腺が非常に腫れている場合は甲状腺ホルモン剤の服用で腫れを小さくすることができます。また、腫れが大きいために頸部の圧迫感が強い、前かがみになれないなど生活に支障が出るようであれば、手術で甲状腺腫を取り除くことを検討する場合もあります。

投薬治療

橋本病の多くはホルモン補充療法が行われます。
不足している甲状腺ホルモンを加える治療で、甲状腺からホルモン分泌を促す効果はありません。
使用する薬はレボチロキシン(チラージンSⓇ)が一般的ですが、少量の薬を徐々に増量してそれぞれに合った薬の量に調整していきます。過度な量を飲み続けると、逆に甲状腺機能亢進症になってしまうこともあるので注意が必要です。

日常生活で気をつけること

甲状腺機能に異常のない方は、特に日常生活で制限することはありません。また、甲状腺機能低下症が伴っていても、適切な服薬をおこなっていれば日常生活に制限はありません。スポーツや旅行も問題ありません。

ただし、ヨウ素は甲状腺機能の低下を助長するので、ヨウ素を多く含む昆布などの食べ物はあまり摂らない方が良いでしょう。また、喫煙は甲状腺機能低下症のリスク要因となるので禁煙することが望ましいです。

なお、女性の場合、妊娠機能に特に影響はありませんが、妊娠中に甲状腺ホルモンが不足しないように注意深く調整を行う必要があります。

おわりに:橋本病は症状に応じて治療の検討が必要

橋本病と診断されたとしても、甲状腺の腫れが軽度であったり、また甲状腺機能に問題がないようであれば、特に治療の必要はありません。ただし、これらの症状が重度であれば治療したほうがいい場合もあるので、詳しくは医師と相談しましょう。

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