記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
毎年決まった時期になると、急に鼻水や目のかゆみ、くしゃみなど不快な症状を引き起こすといわれる花粉症。この花粉症による鼻水は、風邪の鼻水とはどう違うのでしょうか?
この記事では、花粉症の鼻水の特徴や鼻水を止める方法などをご紹介していきます。
花粉症の鼻水は、鼻に入った花粉を異物と判断し、外に追い出そうとするために起こります。風邪やインフルエンザでも鼻水は出ることがありますが、風邪の鼻水はネバネバしており黄色っぽいのと比べ、花粉症の鼻水は無色透明でサラサラしているのが特徴です。
花粉症の治療法は、主に対症療法と根治療法との2種類です。
対症療法では鼻や目の症状に合わせた局所療法などが用いられます。薬剤を上手に使い分ければ、花粉が多い年でも花粉症の約5~6割の人が大きな副作用や花粉症の症状無しに過ごせるといわれています。
また、花粉が飛び始めた直後から治療を開始する初期療法が、鼻水などの花粉症の症状を抑えるのに有効だといわれています。
特に症状の重い人に対して、アレルゲン免疫療法が用いられることがあります。減感作療法(皮下免疫療法)では、始めに、濃度を薄くした花粉の抽出液を注射し、その後濃度が濃いものを注射していくことで、花粉抗原に対する防御の免疫を獲得させる治療法です。
一般的には、花粉の季節の3か月以上前から開始し、2年以上継続させて行います。注射を行う間隔は、初めの3か月は1週間に1回、次の2か月が2週間に1回、その後は1か月に1回となります。
アレルゲン免疫療法ができる医療機関は限られているため、治療を検討している人は事前に問い合わせておきましょう。
舌下免疫療法は、花粉エキスを舌下に含んで2分間そのままにした後、飲み込みます。12歳以上の人なら、高齢者まで治療がうけられます。ただし、毎日自宅で行わなければいけません。
目のかゆみがひどい人、鼻づまりがひどい人など花粉症の症状にはさまざまなタイプがありますが、鼻水やくしゃみがひどい人には抗ヒスタミン薬がおすすめです。花粉症の鼻水は、鼻の細胞内にある肥満細胞に花粉抗原が付着したことで、ヒスタミンを放出し、神経や血管を刺激することで起こるものです。抗ヒスタミン薬は、このヒスタミンが受容体と結合しないよう、ブロックする効果があります。
また、抗アレルギー薬もおすすめです。抗アレルギー薬は肥満細胞膜を安定させ、ヒスタミンなどの物質の放出を抑制する作用があります。
花粉症のつらい鼻水を止めるためには、薬以外にも以下のようなセルフケアが有用な場合があります。
ただし、これらのセルフケアは一時的に症状を改善させるに止まりますので、症状がひどいときは早めに病院を受診して適切な検査を受けるようにしましょう。
花粉症の鼻水を止める薬以外の方法としては、ツボ押しがあります。以下のツボは鼻水や鼻づまりを一時的に緩和できることがありますあります。
外鼻(がいび)は耳の穴の手前にある小さく膨らんでいる部分の中央あたり、内鼻(ないび)は外鼻の裏側のやや下あたりにあるツボです。それぞれ、耳の穴に人差し指を入れ、親指で外側から挟むようにして3分ほど揉んでみてください。
睛明(せいめい)は、鼻の付け根の両脇にあるツボです。ここに左右の人差し指をそれぞれあて、20回程度擦り合わせて温まってきたら、小鼻の左右の膨らみの脇あたりにまで指を上下にさすってください。指を当ててつまむように押しもむのも効果的です。次第に鼻水の通りが良くなっていきます。
花粉症の症状は、鼻水や頭痛など風邪と似ているため勘違いしてしまうケースも少なくありませんが、サラサラとした鼻水が長く続き、目のかゆみも伴う場合は花粉症の可能性が高いです。
セルフケアも重要ですが、気になる症状が見られたら、まずは病院でアレルギー検査を受けるところから始めましょう。