十二指腸潰瘍とは、何が原因で発症する?治療や再発予防の方法とは?

2017/12/1 記事改定日: 2018/9/26
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「十二指腸潰瘍」は病名としては認知度が高い病気ですが、発症の原因や痛み以外の症状がについてご存知ですか?
この記事では、発症要因や治療法、再発予防策を併せて詳しくご紹介していきます。

十二指腸潰瘍とは

十二指腸潰瘍とは、胃と小腸を結んでいる十二指腸が潰瘍を起こしている状態のことです。胃や十二指腸の内側にある粘膜には、胃酸によって傷つかないよう保護する機能がありますが、ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)などが原因により粘膜に傷がついてしまうことがあります。するとこれにより、十二指腸の粘膜や組織が侵害され、潰瘍を起こすことがあります。これが十二指腸潰瘍の状態です。

十二指腸潰瘍は胃潰瘍とは異なり、出血や穿孔(せんこう)を起こしやすいともいわれています。20代から40代に多いですが、高齢者にも増加しているので注意が必要です。

どんな症状が現れるか?

十二指腸潰瘍の自覚症状として最も多いのが腹痛です。上腹部やみぞおち辺りに痛みを発症することが多いと言われています。早朝や夜間などの空腹時に痛むことが多く、時には激しく痛むことがあります。特徴としては、食事をとることで痛みが治まる傾向があります。

また、胃もたれや胸やけ、吐き気、嘔吐、ゲップ、食欲不振などの症状を伴うこともあります。人によりますが、時には出血、下血を起こす方もいます。出血しても痛みがない場合や、下血の場合は、黒い便が出ることもあります。しかしながら、中には全く痛みを感じず自覚症状がない人もいます。

発症の原因はいったい何?

十二指腸潰瘍は、胃酸によって粘膜が傷つくことが原因で発症します。この粘膜が弱まる原因としては、ピロリ菌や非ステロイド系消炎鎮痛剤が挙げられます。ピロリ菌は、胃炎や十二指腸潰瘍の発症、胃がんの発症にも関わる菌と考えられています。

また、精神的なストレス、遺伝、飲酒や禁煙、ライフスタイルの乱れなども関係していると考えられています。胃に負担のかかる食事やタバコ、飲酒はもちろん、過度のストレスは自律神経のバランスを崩し、潰瘍が起こりやすくなるとされるので注意しましょう。

ピロリ菌が十二指腸潰瘍を起こすメカニズム

ピロリ菌は、感染すると胃や十二指腸に炎症や潰瘍などを引き起こすことが知られています。ピロリ菌は主に胃内に感染しますが、胃の出口付近に感染した場合は十二指腸潰瘍を生じることがあります。

また、ピロリ菌が体内の尿素と反応すると、胃や十二指腸の粘膜にダメージを与えるアンモニアを産生します。そして、産生されたアンモニアと活性酸素が反応するとモノクロラミンという物質を発生させ、これが粘膜にダメージを与えることもあります。
さらに、ピロリ菌自体も毒素を産生し、粘膜に炎症を引き起こすことがわかっています。その結果、粘膜に慢性的な炎症が生じ、結果として粘膜が大きくえぐられるような潰瘍を形成することがあるのです。

どんな治療方法があるの?

十二指腸潰瘍は、原因や病状により治療法が変わってきます。潰瘍部分から出血がある場合には内視鏡を用いた止血が行われ、出血がない場合は薬物療法が行われます。また、これらに加えて食生活やストレスなどを減らす生活改善などが行われます。

食生活、生活改善

胃を安静させるために消化のよいものを摂取します。アルコール飲料やタバコ、カフェインは控えてください。また、特にタバコは治療効果を鈍らせ、再発の可能性を高くする要因なので控えましょう。

薬物療法

基本的に胃酸分泌を抑制する薬剤により治療します。薬の種類としては胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬があり、ピロリ菌に感染している場合は、ピロリ菌の除菌治療を行います。

なお、症状がなくなったからといって薬をやめると、再発する恐れがあります。処方された薬は医師と相談し、服用してください。

手術による治療

内視鏡検査で潰瘍の出血を確認した場合は、内視鏡で止血治療を行います。ほとんどが内視鏡で治療できますが、内視鏡による止血治療が不可能な場合は、開腹手術が必要になります。

再発を予防するための対策とは?

十二指腸潰瘍は再発を繰り返すことがあります。
十二指腸潰瘍の原因の90%以上はピロリ菌感染であると考えられており、再発を予防するにはピロリ菌の除菌治療を行うことが大切です。ピロリ菌は抗生物質や胃薬などを一週間内服することで除菌することができますので、ピロリ菌に感染していることが分かっている場合には、しっかりと除菌治療を行うようにしましょう。

また、十二指腸潰瘍は胃酸の過剰分泌が原因となることもあるため、胃酸の過剰分泌を抑えるように、油分や糖分の多い消化が悪い食事を控え、暴飲暴食に注意することも必要です。アルコールや喫煙が粘膜の炎症を悪化させる場合もあるので、同時に節酒や禁煙など生活習慣の改善も行いましょう。

おわりに:どんな人にも起こり得る十二指腸潰瘍。疑わしい症状があるときはすぐに検査を

年齢を問わず発症することのある十二指腸潰瘍。腹痛や吐き気、出血など疑わしい症状がある場合は、早めに病院に行き検査してもらいましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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