胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因は?どんな症状が出ると危険なの?

2018/2/28 記事改定日: 2018/9/18
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

胃あるいは十二指腸の粘膜に潰瘍ができてしまう、「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」。診断を受けるには、いったいどんな検査を受ける必要があるのでしょうか?以降で解説していきます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは?

胃潰瘍は胃に潰瘍ができる病気です。通常、胃の粘膜は強い胃酸に耐えるほどの仕組みを持っていますが、なんらかの原因で胃酸に対する防御機構が働かなくなり、粘膜の一部がなくなってしまい穴が空いたような状態になってしまうことで、胃潰瘍を発症します。

一方、十二指腸は胃と腸の間にあり、胃と同様に酸性の環境に強い臓器ですが、そのバランスが崩れると潰瘍ができて十二指腸潰瘍となります。

胃・十二指腸潰瘍になると、どんな症状が?ひどくなるとどうなる?

胃潰瘍や十二指腸潰瘍はいずれも粘膜に穴が空いている状態なので、強い痛みを伴い、不快感がでます。潰瘍が深くなるとそこから出血をすることがあり、その場合には口から血を吐く吐血という症状がでたり、便に血が混じる血便という症状があらわれます。出血した血液が肛門に届くまでに酸化すると、血液の色が黒くなりタール便というべたっとした黒い便が出ることがあります。このように出血量が多いと、血圧が下がり立ちくらみがしたり脈が早くなってしまうことがあります。潰瘍ができた時には、吐血などの重い症状が出る前に発見をして早く治療をすることで、潰瘍が悪化することを防ぐのが大切です。

また、完全に胃や十二指腸に穴が空いてしまうことを穿孔(せんこう)といい、潰瘍が酷くなり粘膜を突き破ってしまうと穿孔を起こします。さらに腹膜に炎症を起こす腹膜炎を併発することもあります。腹膜炎を起こしてしまうと緊急で手術を行う必要があるので、事前に防ぐことが大切です。穿孔は胃よりも粘膜の厚さが薄い十二指腸でよく起こります。

胃・十二指腸潰瘍の原因は?

胃壁からは消化酵素を含む「胃酸」が分泌されます。胃酸は非常に酸性度の高い液体であり、通常の粘膜であれば、胃酸が触れるとダメージを受けます。しかし、胃の粘膜には胃酸に対するダメージを防御する粘液が多量に分泌されており、正常な状態であれば胃酸に対するダメージを受けることはありません。

しかし、胃酸が粘液による防御能力を超えて過剰に分泌された場合や、粘液の分泌が低下した場合、胃酸が胃の粘膜を傷つけて潰瘍を形成することがあるのです。

一方、十二指腸は胃と連続しているため、胃酸が過剰分泌されると十二指腸内に流れ込んだ胃酸が十二指腸にダメージを与え、十二指腸潰瘍を形成することがあります。
その他にも、ヘリコバクターピロリ菌の胃内感染によって、ヘリコバクターピロリ菌が産生する毒素が胃の粘膜にダメージを与える場合や、非ステロイド系鎮痛薬の多用によって潰瘍を生じるケースなど様々な原因が考えられています。

胃・十二指腸潰瘍はどうやって治療するの?

胃・十二指腸潰瘍では、薬物療法と食事療法によって治療が行われます。

薬物療法

症状の程度によりますが、基本的には胃酸の分泌を抑えるタケプロン®などのプロトンポンプインヒビターと呼ばれるタイプの胃薬が使用されます。他にも、異なる作用機序で胃酸の分泌を抑えるタイプの胃薬もありますが、一般的にはプロトンポンプインヒビターが処方されるでしょう。
また、ピロリ菌感染が確定している場合には、ピロリ菌を除菌するために抗生物質も併用した除菌療法が行われることもあります。

食事療法

重度な胃・十二指腸潰瘍がある場合は絶食をして点滴による栄養補給を行いながら、粘膜のダメージがある程度回復するのを待つ治療が行われます。一方、軽度な場合にはお粥やスープなど消化のが良く、粘膜に刺激を与えない様な食事を少量ずつ摂る食事療法が行われます。
食事療法のやり方は症状の程度によって異なりますので、自己判断で行わずに必ず医師や栄養士の指示に従って行うようにしましょう。

どんな検査方法がある?

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の検査ではバリウム検査や上部消化管内視鏡(胃カメラ)があります。

最近は胃カメラの診断精度が高いため、胃カメラを行うことが多いようです。モニターで直接患部を観察できることと、患部の細胞をとって細胞の検査をすることもできます。

ピロリ菌検査も行いますが、これは胃潰瘍と十二指腸潰瘍の検査として非常に重要で、ピロリ菌が存在している場合には、それが病気の原因となっている可能性が高いため、ピロリ菌除去の治療を行います。

そのほか、潰瘍が悪性腫瘍によるものかどうかの見極めに胃カメラによる生検と呼ばれる検査も行います。これは潰瘍ができている部位の組織を取り出して直接観察することで、潰瘍が悪性腫瘍によるものかそうではないかを確認する検査です。

おわりに:原因などの特定のために検査が多岐にわたることも

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の疑いがある場合には、バリウム検査や内視鏡検査、ピロリ菌検査など、さまざまな検査を受けることになります。原因の特定や、潰瘍の悪性・良性を判断するために重要なので、医師の指示に従い、検査に臨みましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

血便(26) 胃潰瘍(53) 腹膜炎(6) バリウム(5) 生検(4) 内視鏡検査(11) 吐血(12) 十二指腸潰瘍(27) 穿孔(3) タール便(5) ピロリ菌検査(4)