がん性腹膜炎の原因とは?腹水以外にどんな症状が現れる?

2017/12/7 記事改定日: 2018/11/29
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

腹部の臓器でがんが発生している場合、発症する恐れがあるのが「がん性腹膜炎」です。今回の記事ではこのがん性腹膜炎について、症状や原因、治療法などを解説していきます。

がん性腹膜炎とは

がんができると、がんができた臓器でがん細胞が増殖して、その臓器の機能に障害が起こります。そこからさらにがん細胞が大きくなると、他の臓器にまでがん細胞が増殖していきます。
そして、このがんが腹膜(消化器や肝臓を覆っている膜)に転移したことにより炎症を起こしているのががん性腹膜炎です。

これは「がん細胞の転移」で起こるものなので、がん性腹膜炎の症状だけでなく「元のがん」の症状を伴っていることがほとんどです。

がん性腹膜炎を起こす元になるがんは、腹部にできる胃がんや肝臓がん、大腸がん、膵臓がん、生殖器系の卵巣がんなどです。がん性腹膜炎を起こすと、その先の進行が速くなります。

がん性腹膜炎の症状

がん性腹膜炎は腹膜に炎症が起こっている状態です。そのため腹水がたまり、お腹に強い痛みが出たり、発熱を起こしたりします

そうして腹水が胸を圧迫するようになると、不整脈が起きたり呼吸がしづらいといった症状があらわれます。
腹部が圧迫されている場合は、胸やけ感や嘔吐が起こります。なお、腹水には血液中の多くのたんぱく質が流出しているので、たんぱく質が不足してしまう栄養失調の状態に陥ってしまうこともあります。

長期間にわたりがん性腹膜炎が続くと、腸が癒着しやすくなることで腸閉塞を起こします。場合によっては腸管が破裂してしまうので、そうなると延命治療が難しくなってきます。また元のがんも進行している場合が多いため、元のがんができている部位の強い痛みも引き起こします。

なぜがん性腹膜炎を発症するのか

がん性腹膜炎を発症するのは、元になっているがんが腹膜にまで転移したからです。ほとんどは消化器系や婦人科系のがんが原因になっており、それらの部位で増殖したがん細胞がお腹の中に剥がれおちることで、腹膜にがんの転移を引き起こします。

また、がんの外科的手術でがん細胞を切除したときに、がん細胞を突き破ってしまうことがあります。突き破った部分からがん細胞がこぼれ、それがお腹の中に入ってしまうと、そこからがん細胞は増殖を始め、腹膜にがん細胞が転移してがん性腹膜炎へと進行してしまうこともあります。

がん性腹膜炎の治療法

がん性腹膜炎を起こしている場合、ほとんどのがんは末期になっています。そのためがんそのものに対する有効な治療は少なく、がん性腹膜炎の症状に対する対症療法に留まることが多いでしょう。

腹水がたまっているときには、針を刺して腹水を体外へ出す治療や、利尿剤を用いて余分な水分を体外へ出す治療が行われます。腎機能が低下しているときには膀胱が腫れてしまわないように利尿剤を使用します。

がん性腹膜炎による腸閉塞や排便機能の低下には、人工肛門を作ったり、消化器から直接排便できるような管をつけます。

そして、痛みに対しては鎮痛薬を服用し、栄養状態の改善のために高カロリーの輸液を行うこともあります。また腹膜に直接抗がん剤を投与するという治療が行われることもあります。

がん性腹膜炎の末期の症状と治療

がん性腹膜炎の末期症状には以下のようなものがあります。

  • 非常に強い痛み
  • 胸部への圧迫、心不全による呼吸困難
  • 頻回な嘔吐
  • 意識障害
  • 腸管破裂
  • 尿管閉塞(乏尿・無尿)

これらの症状が生じるようになると、がんを根本的に治すことは困難であり、「いかにして患者の苦痛を取り除くか」ということが治療の主体となります。予後は悪く、余命は人によって異なりますが、数週間単位であることが多いでしょう。

治療は、お腹に管を通して腹水を抜いたり、腹水をできるかぎり減らすよう利尿剤などを用いた薬物治療が行われます。また、強い痛みに対してはオピオイドなどの医療用麻薬などを用いて緩和させる必要があります。
さらに、尿管閉塞が生じている場合には尿管ステント挿入、嘔吐を改善するために胃や小腸に管を通して減圧するといった対症療法が行われることもあります。

おわりに:がん性腹膜炎の治療方法は症状・病期によって異なる。

がん性腹膜炎を発症した場合、腹水が圧迫する部位によって現れる症状は異なり、またそれぞれで必要な治療法も異なります。また、進行度によっても治療の目的が変わってきます。
治療の内容や目的についてはきちんと医師に説明してもらい、納得したうえで治療を受け、QOLを維持していきましょう。

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