記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
靭帯損傷とは、何らかの原因で関節に負担がかかり、関節を支えている靭帯が傷ついたり完全に切れてしまうことをいいます。この記事では靭帯損傷の原因と治療についてまとめています。靭帯はスポーツなどで痛める機会が多いので、参考にしてください。
靭帯とは、骨と骨をつないで離れないようにしている結合組織です。コラーゲン線維などを主成分とし、筋肉のように大きく伸び縮みはしませんが、弾性に優れているため、関節を安定させ、動きを制御する役割を担っています。また、骨同士を強靭につなぎとめることで、それぞれの骨の位置がずれないように保持する役割もあります。
靭帯損傷とは、靭帯に過度に大きな力がかかってしまい傷ついたり切れてしまうことです。靭帯損傷の中でも靭帯が完全に切れてしまうものが靭帯断裂であり、非常に重度の損傷になります。
靭帯損傷の原因は、接触型と非接触型大きく2つに分けることができます。
接触型はラグビーやサッカーのようなスポーツで強い衝撃を受け、膝が不自然な方向に曲がったり、伸び切ってしまうことで発症します。スライディングやタックルによっても起こりますが、バスケットボールで相手の選手と激しくぶつかったときにも起こります。
非接触型の靭帯損傷もあります。走った状態から急に止まったり、急な方向転換やジャンプの着地の際に発症します。接触型と同様に、スポーツ中に起こることが多いのですが、相手と接触することなく起こるのが特徴です。フェイントやジャンプなど、自分の動作の中で極端に大きなひねりがヒザに加わることで靭帯を損傷してしまいます。
靭帯損傷は、どの程度損傷するかによって症状が変わります。
例えば、捻挫のような軽度の損傷であれば、痛みや腫れはあったとしても不安定感はあまりなく、治癒後もとくに問題が起こらないことが多いです。
中度になると、靭帯のうちの一部が断裂した状態になるため、痛みに加えて関節を曲げ伸ばししたときに不安定感が生じます。
重度になると靭帯が完全に断裂してしまうので、出血が起こり関節の腫れもひどくなります。痛み強く、関節のぐらつき感を強く感じます。また、膝関節の場合はこの状態を放置すると半月板の損傷などの他の合併症を発症させてしまう危険性が高まるので注意が必要です。
靭帯の損傷度合は、一般の人が見分けることは困難です。骨折や半月板損傷などを合併している可能性もあるので、鑑別のためにも必ず整形外科で診てもらうようにしましょう。
靭帯損傷の治療は、大きく保存療法と手術療法に分けることができます。
保存療法は、損傷が軽度の場合や、回復が早い成長期の段階において選択されます。
サポーターなどの固定具やギプスなどで固定して安静にし、自然治癒を待ちます。痛みがひどい場合は、消炎鎮痛剤などが処方されることもあります。
靭帯が完全に断裂したような重度の損傷の場合は、自然に回復することはありません。日常生活やスポーツ活動に支障をきたすと判断された場合や本人の希望などにより、手術が検討される場合もあります。
靭帯の手術では、膝の前十字靭帯損傷の手術が多く行われています。これは靭帯の代わりに自分の腱(半腱様筋腱や薄筋腱が多い)を移植する再建手術を行うのが一般的です。術後すぐにスポーツに復帰できるわけではなく、3~6カ月程度のリハビリ期間が必要です。
靭帯損傷は、完全に断裂してしまっている重度のものか、捻挫程度の軽い損傷かによって治療方法が全く違います。また、骨折や半月板損傷などを合併しているケースも少なくありません。これらを一般の人が自己判断することは困難です。靭帯損傷は長い年月を経て関節に深刻な悪影響を及ぼすおそれもあるので、必ず整形外科を受診して適切な治療をしてもらうようにしましょう。