記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/4 記事改定日: 2018/12/26
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
変形性股関節症は、老化や股関節への負担が原因で関節の軟骨がすり減ることで発症します。最初は痛みなどのはっきりした症状は出ませんが、進行すると次第に痛みが強くなり最後には歩けなくなってしまうこともあるのです。この記事では変形性股関節症がどのように進行していくのかについて解説しています。
股関節は骨盤と大腿骨をつなぐ関節部分のことです。
多くの関節には関節軟骨があり、クッションや潤滑の役割を果たすことでスムーズに動きます。
これは股関節も同様ですが、何らかの原因で関節軟骨(以下、軟骨)がすり減ることでこれらの機能がうまく働かなくなり、骨と骨が直接ぶつかって骨の変形が起きる病気が変形性股関節症です。
変形性股関節症になると、足の付け根やお尻、膝の上などの痛みを感じるようになります。進行すると歩いているときの痛みが強くなって長い時間歩くことができなくなったり、階段の昇降時の痛みが強くなります。また、長時間立っていることも困難になります。
症状が進むにつれて股関節の動きが制限されるため、運動量が減り筋力低下がみられるようになります。老化などで軟骨がすり減ってしまうこと以外にも、外傷などによるダメージや臼蓋形成不全、大腿骨頭壊死、関節リウマチ、などが変形性股関節症の原因になることもあります。またこういった明らかな原因がなくても変形性股関節症を発症してしまうケースもみられます。
変形股関節症は病状の進み具合によって4つの段階に分けられます。まず股関節症になる前の状態が全股関節症で、この段階ではまだ軟骨はすり減っていません。長時間の歩行をした後に重い感じが出る程度です。
次の段階である初期股関節症軟骨に進行すると、軟骨が少しすり減って、骨が硬くなったり骨棘変形がみられるようになります。
さらに軟骨がすり減り進行期股関節症に進行すると、軟骨のクッション機能がなくなってくるため骨同士が直接ぶつかり痛みを強く感じるようになります。骨棘形成もさらに進み、軟骨損傷部位から関節液が入り込み空洞を作る「骨嚢胞(こつのうほう)」もでき始めます。
末期股関節症の段階になると軟骨はほぼなくなってしまい、骨棘、骨嚢胞ともに大型化して数も増えていきます。この状態まで進行すると痛みが非常に強くなるため歩くことも困難になってしまいます。
変形性股関節症の症状やリスク要因には以下のようなものが挙げられます。発症リスクがある人で当てはまる症状が多い場合は、整形外科を受診して検査を受けるようにしましょう。
変形性股関節症の治療は保存療法と手術療法の2種類があります。
初期のころで症状が軽い段階では、股関節の周囲の筋力トレーニングなどで股関節への負担を減らすリハビリをしてもらいながら症状悪化を防ぎます。リハビリはプールでの水中歩行などが実施されることが一般的です。
また肥満傾向の人の場合は、股関節への負担を減らすために、減量を指示されることもあるでしょう。
通常、減量には食事と運動両方のコントロールを行いますが、変形性股関節症の場合は股関節に痛みがあり運動が困難なことも多いため、減量は食事療法が中心になります。痛みがひどいと生活の著しく下がってしまうため、痛み止めの薬を使い緩和します。
手術は骨切り術と人工股関節全置換術が主な手術方法になります。
骨切り術は骨を切って股関節の角度などを調整し、関節にかかる負担を減らす治療です。
人工股関節置換術は悪くなった股関節を丸ごと人工のものと入れ替える手術です。最近では表面置換型人工関節という骨の切除を最小限にする方法もでてきています。
人工股関節の寿命は20年程度とされており、時期が来たら交換をする必要があるため、手術のタイミングは医師と相談しながら慎重に決める必要があるので、医師と相談しながら納得のいく方法を選びましょう。
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることなどが原因で起こる整形外科疾患です。
最後まで進行してしまうと痛くて歩けなくなり、手術をしなくてはいけなくなる可能性もあるので、痛みや損傷が少ない初期の段階で対処することが重要です。
股関節に痛みがある、動きに違和感があるなどの症状を感じた場合は、一度整形外科で検査してもらいましょう。
この記事の続きはこちら