双極性障害の症状とは? 軽い症状でも双極性障害の可能性はある?

2017/3/16 記事改定日: 2018/4/3
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

双極性障害は、かつて「躁うつ病」と呼ばれていた精神疾患の一つです。では、双極性障害になるとどんな症状が現れるのでしょうか?また、症状が軽い場合もあるのでしょうか?特徴を詳しく解説します。

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双極性障害の症状

双極性障害とは、気分が高揚する「躁状態(軽躁状態)」と気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。それぞれの症状の特徴を以下でご紹介します。

躁状態

・陽気で開放的になる
怒りっぽくなるなど、すぐに興奮する
「自分は何でもできる」と感じる
・ギャンブルや買い物で散財する
寝ることなく動き回る、落ち着かない
・周囲の人に次々に話しかける
・知らない人と性行為に及ぶ

気分が著しく高揚するため、このような症状が現れます。周囲から見れば異常行動ですが、患者さん本人は無自覚なことが多いです。

軽躁状態

・躁状態ほどではないがテンションが高い
・急に社交的になる
・少し高圧的になる

躁状態と比べ気分は軽度であり、仕事や社交性などで良い面が発揮されるため、周囲からはむしろ魅力的に見え、病気とは気付きにくいです。本人は無自覚なことが多いです。

うつ状態

・気分が落ち込む
・興味や感情がなくなる
・疲れやすい
・意欲や思考力の低下
・睡眠障害(不眠や過眠)
・食欲の低下、あるいは過食
・口数が減る
・過剰に自分を責める
・自殺願望、自傷行為

双極性障害の症状が軽い場合もある?

双極性障害は、以下の3つのタイプに分かれます。

・双極I型障害:躁状態と鬱状態を繰り返す
・双極II型障害:軽躁状態と鬱状態を繰り返す
・気分循環性障害:II型よりも軽い躁状態と軽い鬱状態を繰り返す

このうち気分循環性障害の場合は、症状が軽いため発見が遅れやすいです。比較的気分の変動が緩やかではありますが、情緒不安定であり、結婚生活や人間関係を持続させるのが難しくなります。未治療のまま放置するとI型やII型へ移行する恐れがあるので、仕事や社会生活に支障が出るほどではない軽い躁状態やうつ状態が2年以上続き、症状のない時期が2ヶ月に満たない場合は、気分循環性障害を疑って病院を受診してください。

双極性障害の症状で被害妄想は起こる?

双極性障害の症状に「妄想」があります。妄想というと「被害妄想」を思い浮かべる方も多いですが、双極性障害のうつ状態では被害妄想というより、以下の種類の妄想が見られる傾向にあります。

貧困妄想:お金がないと信じ込んでしまう妄想
心気妄想:自分が重病にかかったと信じ込んでしまう妄想
罪業妄想:「自分は罪深いので罰せられるべき」など自分を責める妄想

双極性障害の症状は悪化しやすい

双極性障害は早期に適切な治療を行えば、症状のコントロールが可能ですが、生活リズムの乱れやストレスなどによって症状が再発することがあります。そして再発を繰り返すたびに次の再発までの期間は短くなり、症状も悪化しやすくなります。

おわりに:周囲が「双極性障害の症状かも?」と気づくことが重要

双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返すという特徴的な症状がありますが、当の本人は無自覚な場合がほとんどで、自分からはなかなか治療を受けようとしません。しかし、双極性障害は早めに治療を受ければ悪化を予防し、症状をコントロールできるようになります。まずは周囲の人が気づいてあげることが重要です。

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