記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
急性骨髄性白血病は、血液細胞になるはずだった細胞が「がん化」することで発症します。治療が遅れると死に至る可能性があるこの病気の原因や症状についてまとめているので、早期発見に役立ててください。
赤血球や血小板、白血球などの血液細胞は骨髄の中の造血幹細胞からつくられますが、血液細胞へと成熟する途中の細胞ががん化する病気が白血病です。がん化した細胞(白血病細胞)は、骨髄内で増殖し骨髄を占拠するため、骨髄では正常な血液細胞がほとんど造れなくなります。また、一度がん化した細胞は、正常白血球に分化することはできません。この結果、全身の(末梢)血液でも正常な白血球、赤血球や血小板が減り、白血病細胞が急増します。
白血病は、がん化した細胞が、もし正常に成熟したら何になっていたかによって、急性リンパ性白血病と、急性骨髄性白血病(Acute Myelold Leukemia:AML)に分類されます。急性骨髄性白血病は、リンパ球以外の白血球、赤血球、血小板になる予定だった細胞ががん化した場合の病気です。
急性骨髄性白血病の代表的な症状として、倦怠感、くりかえす感染症、食欲不振、高熱などが挙げられます。
また血小板減少により、血が止まりにくくなり、鼻血、歯ぐきからの出血、治りにくいアザなどがみられます。赤血球減少による貧血も特徴の1つです。
その他にも、異常な血液細胞が全身を巡ることにより、リンパ節の腫れや腹部の腫れ、骨や関節の痛み、頭痛など、さまざまな症状が現れることがあります。
ただしこれらは白血病特有というわけではありません。そのため、急性骨髄性白血病の診断には、症状からだけでなく、血液や骨髄の検査で確認する必要があります。血液検査で白血球数の異常と赤血球数や血小板数の減少が見つかれば、問診や身体状況などの結果とあわせて急性骨髄性白血病が強く疑われ、骨髄液を吸引する骨髄穿刺や、骨組織を含む造血組織を採取する骨髄生検の結果をもって病名が確定します。
急性骨髄性白血病の原因ははっきりわかっていませんが、放射線や抗がん剤などの化学物質が原因とする意見もあるようです。また、ある種の先天性の免疫不全症や、染色体(遺伝子)異常を伴う先天性疾患では白血病が発生しやすいともいわれています。なお先天性遺伝子異常に関連した小児白血病もまれに見られますが、白血病は遺伝性の疾患ではないとされています。
急性骨髄性白血病の病状の進行は速いため、早期の診断と治療が不可欠です。白血病の進行に伴い、異常な細胞がますます増殖して優勢となり、骨髄および血流から正常な細胞が占め出されてしまいます。
そのため、治療をしないで放置しておくと、感染と闘える正常な白血球が不足し、合併症を生じるおそれが高くなります。また、赤血球の不足から貧血が重度化したり、血小板の不足によりアザや出血が多発する可能性もあり、死に至るおそれもあります。
上述したとおり、急性骨髄性白血病は急激な経過をたどるため、放置することは危険です。一方で、全身状態が良好なうちに発見されれば、寛解する可能性が高くなります。初期症状は風邪と似ていますが、白血病の疑いを持った場合は一刻も早い受診を心がけましょう。