記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
糖尿病腎症は糖尿病の合併症のひとつで、最後まで進行してしまうと腎不全を引き起こし透析療法が必要になります。では、もしも透析治療が必要になったら、食事面ではどのようなことに気をつければ良いのでしょうか?
糖尿病腎症は糖尿病にかかっている人が起こす合併症の一つで、腎臓の機能が正常に働かなくなる病気です。糖尿病腎症を発症するかどうかは、糖尿病がどの程度コントロールできているかに関係しています。
糖尿病腎症の進行を抑えるためには厳格な血糖コントロールが必要で、運動療法や食事療法、必要に応じてインスリン療法などによる治療が進められます。
しかし、血糖コントロールがうまくいかない状態が続くと糖尿病腎症はどんどん悪化し、最終的には腎不全になります。腎不全になってしまうと通常は腎機能の回復は見込めないため、透析療法が必要になります。
透析治療が始まったら、以下の5つの点に注意してください。
以下の項目で、それぞれの内容について詳しくご紹介します。
腎不全になると尿が出なくなり、体の中に水分がたまりやすくなります。それによって、むくみ・体重増加・呼吸困難・血圧上昇などの症状が現れ、高血圧・心不全・肺水腫などを引き起こす可能性があるため、水分の量を調節する必要があるのです。
(※飲みものはお茶、氷、ジュース、コーヒー、酒類などの他、うがいも含む)
わかめ、ひじき、麺類などの乾物は水でもどして使用しますが、膨らんだ分は水分です。
また、醤油、酒、みりん、酢、ソース、ケチャップなどの調味料やこんにゃく、ところてん、寒天、ゼリーなども水分とみなされるので、とりすぎないよう注意が必要です。
塩分をとりすぎるとのどが渇いて水を飲んでしまう原因になります。塩分の制限は水分の制限につながるので、調味料や食品の塩分量を覚えて無理のない減塩食を心がけましょう(※指示される1日の塩分量は患者さんによって異なるので、医師に確認しましょう)。
減塩のポイントは以下の通りです。
カリウムは多くの食べ物に含まれていますが、腎臓が悪くなると余分なカリウムを尿中に捨てることができなくなるため、「高カリウム血症」となって不整脈や心臓を止めてしまう危険性があります。そのため、食事の中でのカリウムをできるだけ減らす以下のような工夫が必要です。
血液中のリン値が上がると関節や血管の石灰化や、心筋梗塞、脳梗塞、二次性副甲状腺機能亢進症などの病気を起こすことがあります。
透析患者さんは貧血になりやすい傾向があるので、貧血を防ぐためにも必要な栄養素を充分にとって血が薄くなるのを防ぐ必要があります。適切なカロリーとタンパク質を摂り、献立や調理方法を工夫してエネルギーが不足しないようにしましょう。また、自分の1日の必要食品量を覚えておくようにしましょう
透析治療をしている間にはさまざまな食事制限が必要になります。
特にカリウムのとりすぎは命に関わるため、医師の指示に従いながら摂取量をきちんと管理しましょう。