誤嚥性肺炎を防ぐ食事方法と、絶食後の経口摂取再開の注意点とは

2017/12/12 記事改定日: 2018/10/15
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

高齢者になると発症リスクが上がる病気が誤嚥性肺炎です。この記事では、誤嚥性肺炎を発症を防ぐために、普段の食事でどのような点に注意すればよいのでしょうか。誤嚥性肺炎で絶食した後、食事を再開するときのポイントとともに解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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誤嚥性肺炎が高齢者になりやすい理由は?

誤嚥性肺炎とは、食物を食べる時に食道に入るべき食べ物が誤って気管に入ることで、肺に炎症が起こる病気です。食べ物を飲み込みにくいと感じたり、食べている時にむせることが多くなったとき、誤嚥を起こしている可能性があります。

誤嚥性肺炎は高齢者がかかることが多いと言われています。その原因として、まず高齢になるとものを飲み込む機能が衰えていることが挙げられます。また、口の中の唾液の分泌が減少するため、口が渇いて食べ物を飲み込みにくくなることもあります。

そして、口の中が乾燥して口内の雑菌が繁殖しやすいことも原因のひとつです。そのほか、脳梗塞や神経系の障害が起こったとき、寝ている間に唾液が少量ずつ気管に流れ込んでいることも、誤嚥性肺炎の発症原因となります。

誤嚥性肺炎の主な症状として、38℃の熱や咳、痰があります。ただ、微熱、呼吸数がわずかに増えている、なんとなく体のだるさが続く、食欲が落ちる、といった症状しかみられないこともあります。このような場合、症状を見落としやすいため、誤嚥性肺炎の発見が遅れることがあります。いつもとは少し様子が違うと感じたら、誤嚥性肺炎を起こしていないかを確認しましょう。

誤嚥性肺炎を起こしにくい食事は?

誤嚥性肺炎を起こしにくくするには、食べ物を飲み込みやすくすることが大切です。患者さんによって固形物が飲み込みにくい、水っぽいものが飲み込みにくいなど個人差があるので、それぞれに合った工夫が必要になります。

固形物が食べにくいと感じる人の場合、噛み砕きやすい硬さに調整したり、先に細かく刻んでおいたりなどの工夫をします。ただし、噛むことで食事を楽しむことも大切ですので、細かくしすぎないよう調整しましょう。

水っぽいものでむせてしまう人には、とろみをつけてあげると飲み込みやすくなります。調理法を工夫したり、片栗粉を使ってとろみをつけるなど、料理内容に合わせて工夫してみましょう。

食事中や食後の姿勢にも気を付けて

食事のときにむせないようにするには、食事中の姿勢も重要です。横になって寝ている姿勢よりも、上半身を起こして座っている姿勢のほうが飲み込みやすくなるので、負担にならない程度に上半身をしっかりと起こして食べてもらいましょう。ちなみに、少し前かがみになっているほうが気管にものが入りにくくなります。

食後の姿勢も重要です。食べたあとすぐ横になると、胃の中に入っている食べ物が口の方に戻りやすくなります。このとき戻ってきたものが気管に入ることも、誤嚥性肺炎の原因になります。食後は、できれば20分ほど座ったままで過ごしましょう

絶食から経口摂取を再開するときの注意点は?

絶食期間から経口摂取を再開するときには、いかにして誤嚥を減らし、誤嚥性肺炎の再発を防ぐかが非常に重要です。

誤嚥性肺炎は再発しやすく、絶食期間をおくと嚥下機能の低下が生じやすいため、食事再開時にはとろみの付いた流動食やゼリーなど誤嚥しにくいメニューを少量ずつ食べる必要があります。流動食やゼリーを食べて誤嚥がない場合には、柔らかいお粥などを取り入れ、徐々に普通のご飯が食べられるように訓練します。

ただし、食事再開後に発熱などの症状が見られた場合には、再度絶食する必要があります。

おわりに:調理工程や食事中の姿勢などを工夫しながら対応していこう

誤嚥性肺炎を防ぐには、食材の細かさを調整したり、とろみをつけたりといった日々の工夫が重要です。食事中の姿勢にも注意を払いつつ、自宅でできるケアを行っていきましょう。

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