記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
低血圧になると目立ちくらみ、めまい、頭痛、疲労感など、様々な症状が現れます。
低血圧は病気が原因のこともあり、原因疾患のなかには命に危険がおよぶものもあります。
この記事で低血圧と低血圧に隠れている可能性がある代表的な病気を見ていきましょう。
低血圧症とは正常血圧よりも低い状態のことであり、最高血圧が100mmHg以下の状態のことを指します。血圧が低いこと自体は病気ではありませんが、低血圧によって治療を必要とする何らかの症状が現れると「低血圧症」という病名がつけられます。
代表的な低血圧は、本態性低血圧症、症候性(二次性)低血圧症、起立性低血圧症、食事性低血圧症の4種類です。以下に、それぞれの特徴を紹介します。
この項目では低血圧を引き起こしている可能性がある病気を5つ紹介します。
起立性調節障害(OD)は学童期から思春期にかけての子どもに多い自律神経失調症の一つで、立ち上がったときに血圧の調整がうまくいかないために、血圧が低下して立ちくらみが起こります。
立っていると気持ちが悪くなったり、動悸や息切れ、食欲不振、疲れやすいなどの症状を伴うことが多いですが、成長と共に症状が改善していくことが多いです。
何らかの原因で甲状腺ホルモンの分泌量が低下する、40代~50代の女性の発症者が多い病気です。
低血圧以外にも、倦怠感や冷え、むくみ、皮膚の乾燥、生理不順などの症状が現れます。
心筋(心臓の筋肉)を栄養する冠動脈が詰まってしまうことで発症する病気で、詰まった血管の先に血液が送られなくなるため心筋が壊死していきます。壊死が進むと心臓のポンプ機能が正常に働かなくなるために、低血圧や強い胸の痛みが起こります。
処置が遅れると命に危険が及ぶこともあります。
アジソン病は自己免疫異常や結核などが原因で副腎皮質ホルモンの分泌が低下することで起きる病気です。進行すると心機能が停止して低血圧ショックを引き起こしたり、皮膚や粘膜の色素沈着、疲労感、脱力感、性欲減退などの症状があらわれます。
肺動脈に血栓などが流入して血管が詰まる病気です。
呼吸困難、胸痛、咳や血が混じった痰などの症状が現れ、急激に血圧が低下した場合は死に至る危険性もあります。
糖尿病は血液中のブドウ糖濃度が上昇して、全身の血管や神経にダメージを与える病気です。糖尿病が進行すると、手足を中心に末梢神経が障害されるようになります。その結果、血圧を調節するための血管収縮・拡張作用が低下し、起立時などに低血圧を引き起こすことがあります。
まずは、自分の血圧が正常なのかを把握する必要がありますので、毎日決まった時間に血圧を測り、自分の体のリズム確認しましょう。
その後、自分の体の状態を把握して低血圧の症状が出ていないを確認するためにも、下記の症状が出ていないかチェックしてみてください。
上記の項目で当てはまるものが多い場合は低血圧である可能性が高いです。一度病院で正確な血圧を測ってください。
急激に低血圧に陥る急性低血圧は重篤な病気が原因のことがあるので注意が必要です。
原因として挙げられるのは、心筋梗塞や心不全などによる心機能の悪化、消化管出血などによる重度の貧血、敗血症などの重度な感染症です。
これらが原因として生じる急激な低血圧は、脈が速くなって動悸を自覚したり、吐き気や意識障害などを生じるのが特徴です。重症であることが多く、救急処置が必要となりますので、休日・夜間を問わず早めに病院を受診するようにし、状態が悪い場合は救急車を要請しましょう。
規則正しいリズムで生活することは血圧を安定させることに役立ちます。
これは、病気が原因の二次性低血圧であっても同じです。
原因疾患の治療が優先ではありますが、可能な範囲内で適度な運動と休息をうまく組み合わせながら、自分が活動しやすいリズムをみつけて活動するように工夫しましょう。
また、低血圧の人は偏食気味になる傾向があるので、バランスのよい食事を毎日なるべく同じ時間に摂るように心がけましょう。
低血圧には<本態性低血圧症、症候性(二次性)低血圧症、起立性低血圧症、食事性低血圧症>の4種類で、それぞれの原因や症状は異なります。
中には病気が隠れている場合もあるので、疑わしい症状があれば病院で検査をしてもらいましょう。
病気が原因ではないとわかった場合は、血圧管理のために血圧を測定して自分の状態を常に把握するようにしましょう。
また、規則正しい生活を心がけて、症状が安定するように工夫することも大切です。
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